労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和7年9月 徳島県の有効求人倍率1.19倍 採用市場の安定と課題

2025年11月28日

労務・人事ニュース

令和7年9月 徳島県の有効求人倍率1.19倍 採用市場の安定と課題

Sponsored by 求人ボックス
広告

最近の雇用失業情勢(令和 7 年 9 月分)(徳島労働局)

この記事の概要

令和7年9月、徳島労働局が発表した最新の雇用情勢によると、徳島県の有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍となり、前月より0.01ポイント上昇した。全国平均の1.20倍とほぼ同水準を維持しており、求人が求職を上回る「人手不足型」の傾向が続いている。正社員有効求人倍率は1.07倍で前年同月を0.04ポイント上回り、安定的な雇用需要が見られる一方、新規求人数は前年より減少しており、採用市場の活発さにはやや陰りが見える。この記事では、徳島県の労働市場の現状と、中小企業の採用担当者が有効求人倍率をどのように活かして戦略を立てるべきかを詳しく考察する。


令和7年9月の徳島県の有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍と、前月を0.01ポイント上回り、緩やかな改善が見られた。正社員有効求人倍率(原数値)は1.07倍で、前年同月を0.04ポイント上回る結果となった。求職者1人に対して1.19件の求人があるという状況は、依然として求人が求職を上回る構図を示しており、企業側の人手不足感が続いていることを意味する。しかし、求人の増加ペースは鈍化しており、景気や物価上昇の影響が企業の採用活動に慎重さをもたらしている。

有効求人数(原数値)は15,330人で前年同月比1.7%増と小幅な増加を示した。一方、有効求職者数は13,139人で前年同月比2.1%減少しており、求職者の減少が全体の倍率を支えている構図となっている。新規求人数(原数値)は5,085人で前年同月比2.6%減、新規求職者数は2,412人で前年同月比0.9%減と、求人・求職ともに減少傾向が続いている。つまり、徳島県の労働市場は「求人も求職も減少しつつ、高水準の倍率が維持されている」という静かな均衡状態にあるといえる。

産業別に見ると、製造業の新規求人数は444人で前年同月比22.6%減と大幅に落ち込み、県内製造業の活動が鈍化していることがわかる。宿泊業・飲食サービス業も12.7%減の219人と減少しており、物価上昇や人件費負担の増加が採用意欲に影響している。公務・その他分野は56.9%減と特に大きな落ち込みを見せた。一方で、教育・学習支援業は38.0%増、不動産業・物品賃貸業は94.6%増、生活関連サービス業・娯楽業も25.8%増と、対人サービスや教育分野では雇用需要が回復している。

地域別の状況を見ると、徳島地域の有効求人倍率(原数値)は1.42倍と最も高く、三好地域が1.18倍、阿南地域が0.98倍で、県央地域平均は1.22倍と県内でも比較的高水準を維持している。一方、小松島出張所では0.90倍、美馬で0.87倍、牟岐で0.84倍、吉野川で0.85倍と地域格差が顕著である。特に県南地域の平均倍率は0.96倍にとどまり、産業構造や人口動態の影響が大きく出ていることがうかがえる。

職業別では、保安職業従事者の有効求人倍率が6.60倍と極めて高く、建設・採掘従事者が4.21倍、社会福祉関連職が2.85倍、介護サービス職が2.61倍と、特定の分野で求人が集中していることが特徴である。これらの職種は地域社会における基盤的な業務であり、人手不足が慢性化しているため、中小企業にとっては採用戦略を見直すべき重点領域といえる。一方、事務職(0.53倍)や運搬・清掃・包装など(0.63倍)は求職者が多く、求人倍率が低くなっている。

徳島県の正社員求人は8,086人で前年同月比0.8%増、全求人のうち約52%を占めている。正社員志向の求人が安定的に維持されていることは、企業が長期的な雇用を重視していることを示す。新規求人のうち正社員が占める割合は54.1%で、前年同月比1.1ポイント増加している。この点からも、徳島県の企業は「即戦力を求める中長期的な雇用確保型」の傾向にあるといえる。

では、このような労働市場の中で、中小企業の採用担当者はどのように戦略を立てるべきだろうか。まず、注目すべきは「求人倍率の高さの裏にある人材不足構造」である。有効求人倍率が高いということは、一見すると採用機会が多いように思えるが、実際には「応募者が集まりにくい」「採用しても定着しにくい」という問題が潜んでいる。特に徳島県のように地域差が大きいエリアでは、採用難度が地域によってまったく異なるため、求人情報の出し方や採用地域の設定を細かく見直す必要がある。

例えば、倍率が1.4倍を超える徳島市周辺では求人が集中しており、同一職種内での競争が激化している。このような地域では、給与や勤務条件の改善だけでなく、企業の理念や地域貢献の姿勢など、「非金銭的な魅力」を伝える採用広報が鍵を握る。また、倍率が低い阿南市や牟岐町では、交通アクセスや通勤支援策、リモート勤務の導入など、求職者が働きやすい環境を整えることが応募数を増やす効果的な手段となる。

次に、徳島労働局の資料が示すもう一つの特徴は、45歳以上の常用就職件数が201件と全体の約45%を占めている点である。中高年層の再就職が活発化している背景には、地域密着型産業の労働力需要と、ベテラン層の経験を活かす現場志向のマッチングがある。中小企業はこの層を積極的に活用し、スキルを継承する形での採用を進めることで、人材不足の長期的な解決に結び付けることができる。

また、令和7年9月時点での徳島県の新規求人倍率(季節調整値)は2.12倍で、前月から0.30ポイント低下している。これは、新規採用を行う企業が減少している一方、求職者の動きが鈍っていることを示している。中小企業の採用担当者にとっては、採用タイミングの見極めがますます重要になる。求人を出す際には、季節的要因や地域行事、大学・高校の卒業時期などを考慮し、応募が増える時期に合わせた戦略的な求人公開が効果的である。

さらに、徳島県では介護や医療関連職の求人倍率が依然として高く、特に介護関連職では3倍前後を推移している。これらの分野は人材確保が難しいが、地域社会に不可欠な職種であるため、待遇改善だけでなく職場環境の柔軟化(シフト制の見直し、業務負担の分散など)を通じた採用力強化が求められる。

最後に、徳島県の雇用情勢全体を俯瞰すると、「求人は求職を上回りつつも、減少傾向を見せる安定期」にあるといえる。中小企業は採用活動を単なる「募集行為」ではなく、経営戦略の一部として捉え、データを基に地域性・職種性・世代特性を踏まえた採用戦略を展開することが求められる。採用活動のデジタル化やオンライン面接の導入、地域のハローワークとの連携強化など、地元密着型の採用モデルを確立することが今後の成否を分ける鍵となる。

この記事の要点

  • 令和7年9月の徳島県の有効求人倍率は1.19倍で前月比0.01ポイント上昇
  • 正社員有効求人倍率は1.07倍で前年同月比0.04ポイント上昇
  • 新規求人数は5,085人で前年同月比2.6%減、求人減少傾向続く
  • 製造業・宿泊業で求人減少、教育・不動産・娯楽分野で増加
  • 徳島地域1.42倍、県南地域0.96倍と地域格差顕著
  • 介護・福祉分野の求人倍率3倍超、人手不足顕在化
  • 中小企業は地域特性に応じた柔軟な採用戦略が必要

⇒ 詳しくは徳島労働局のWEBサイトへ

広告
パコラ通販ライフ
パコラ通販ライフ
PR記事作成サービス受付フォーム