2025年11月28日
労務・人事ニュース
令和7年9月 広島県の有効求人倍率1.40倍に低下 採用市場の変化を読む
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管内の雇用情勢(令和7年9月分)(広島労働局)
この記事の概要
令和7年9月の広島県の有効求人倍率は1.40倍と、全国平均を上回り中国地方で1位となりました。依然として求人が求職を上回る「売り手市場」が続いていますが、前月より0.01ポイント低下するなど、持ち直しの動きには弱さも見られます。この記事では、広島労働局の統計に基づき、産業別の求人動向と中小企業が今後どのように採用活動を進めるべきかを、現場視点で丁寧に解説します。
令和7年9月、広島労働局が発表した雇用情勢によると、広島県の有効求人倍率(季節調整値)は1.40倍となり、全国では第8位、中国地方では1位の水準を維持しました。これは依然として企業が人材を求める動きが強く、求職者数を上回っていることを意味しています。一方で、前月より0.01ポイント低下し、2か月連続の下落傾向にあることから、採用市場にはやや慎重な空気も漂っています。広島労働局の基調判断でも、「求人が求職を上回って推移しているが、持ち直しの動きに弱さがみられる。物価上昇等が雇用に与える影響に注意する必要がある」とされています。
有効求人倍率が1.0を上回る状況は、求職者1人に対して1件以上の求人があるという「人手不足」環境を示します。広島県の1.40倍という数値は、全国的に見ても高水準です。中小企業の採用担当者にとっては、人材獲得競争が依然として厳しい状況であることを改めて意識する必要があります。さらに、新規求人倍率は2.42倍と前月から0.04ポイント低下しており、新規の採用活動でも2か月連続の減少傾向が続いています。これらの動きは、企業が新規採用をやや控えめにする一方で、求職者の動きも鈍化している可能性を示唆しています。
産業別の求人動向を見ると、広島県では「医療・福祉」が5,294人と前年同月比3.1%の増加を示し、2か月ぶりの上昇に転じました。高齢化が進む地域特性を背景に、介護や医療現場での人材需要が引き続き旺盛であることが読み取れます。特に介護職や看護職では、資格保有者を対象とした求人が多く、経験者の確保が重要視されています。こうした分野では、待遇改善や働きやすいシフト設計など、実務者の声に寄り添う工夫が採用成功の鍵となるでしょう。
一方で、宿泊業・飲食サービス業は723人で前年同月比10.4%減と、12か月連続の減少となりました。観光需要の回復は見られるものの、人件費高騰や営業時間の短縮、経営合理化の影響で新規採用を控える企業が増えています。特に地方の宿泊施設では、慢性的な人手不足が続く一方で、応募者数が伸び悩む傾向があり、採用担当者には雇用条件の柔軟化や地域外からの人材流入を促す工夫が求められます。
製造業も2,325人で前年同月比13.9%の減少と、3か月ぶりに大きく落ち込みました。自動車関連や機械金属分野での需要調整や、原材料価格の上昇が影響しているとみられます。特に広島は自動車製造を中心とした産業構造を持つため、輸送用機械関連の求人動向が地域全体の雇用に大きな影響を与えます。企業にとっては、景気変動に左右されにくい技能職人材の確保や、若年層への技術継承の仕組み作りが中長期的課題です。
建設業は1,543人で前年同月比6.5%減となり、こちらも需要の鈍化が見られます。建設需要自体は一定水準を保っているものの、資材高騰や受注見通しの不透明さが採用意欲を抑制していると考えられます。特に公共事業に依存する小規模建設業では、長期雇用を前提とした採用よりも短期契約や外注対応が増えており、安定雇用の確保が難しい状況です。
これらのデータを踏まえると、広島県全体の雇用情勢は「横ばいからやや弱含み」といえます。求人総数は20,544人で前年同月比9.4%減、求職者数も42,872人で同1.2%減と、双方が減少していることから、市場全体の動きが鈍化している傾向が読み取れます。
中小企業の採用担当者がこの状況下で注目すべきは、単に求人を出すだけでは人が集まらないという現実です。有効求人倍率が高止まりする環境では、応募者がより良い条件を選びやすく、採用活動の質そのものが問われます。特に広島県の正社員有効求人倍率は1.23倍(前年同月比0.03ポイント上昇)と、非正規を含めた全体よりも低水準です。つまり、正社員希望者に対する求人は依然として多く、正規雇用人材の獲得競争は激化しています。
中小企業が採用を成功させるには、まず求人情報の「質」を見直す必要があります。求人票の表現を工夫し、仕事内容を具体的に示すことで、求職者の不安を減らすことができます。また、求職者が応募前に職場の雰囲気やキャリアパスをイメージできるように、写真や社員インタビューを活用するのも効果的です。さらに、給与水準や勤務条件だけでなく、「働きがい」や「地域貢献」といった非金銭的魅力を打ち出すことで、共感を生む採用が実現します。
また、データを細かく見ると、地域別に求人倍率の差が顕著です。たとえば広島市東部では1.84倍と高水準ですが、可部や廿日市では0.5倍前後にとどまっています。都市部と周辺地域での格差が広がる中、地方の中小企業は「通勤しやすさ」や「地域密着性」を前面に出す採用戦略が有効です。ハローワークの地域別データを活用すれば、自社の立地に応じた採用施策をより戦略的に設計できます。
今後、物価上昇や人件費増加が続く中で、採用活動には「量」よりも「質」が求められる時代に入ります。広島労働局のデータが示すように、求人倍率が高くても、求人内容と求職者の希望がマッチしないケースが多くなっています。中小企業の採用担当者は、単に人を採ることではなく、「入社後の定着」までを見据えた採用戦略を構築することが必要です。離職率の低減や研修制度の充実など、社内環境の整備が長期的な採用コスト削減にもつながります。
最後に、広島県の雇用情勢は引き続き安定的に推移しているとはいえ、外部環境の変化に敏感に対応する柔軟性が企業には求められています。採用市場の動きを定期的に確認し、自社の採用力をデータに基づいて検証する姿勢が、これからの中小企業にとって欠かせない経営リテラシーとなるでしょう。
この記事の要点
- 広島県の令和7年9月の有効求人倍率は1.40倍で全国第8位、中国地方1位
- 新規求人倍率は2.42倍で2か月連続の低下
- 医療・福祉業が増加、製造業・建設業・宿泊業は減少傾向
- 地域間で求人倍率に大きな差があり、都市集中が進行
- 中小企業は求人の質と情報発信の工夫が採用成功の鍵
- 正社員採用では競争が激化し、定着重視の戦略が必要
⇒ 詳しくは広島労働局のWEBサイトへ


