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2025年11月27日

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令和7年9月 兵庫県の有効求人倍率0.95倍 採用環境の持ち直し鈍化

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一般職業紹介状況(令和7年9月分)(兵庫労働局)

この記事の概要

令和7年9月に兵庫労働局が公表した労働市場の最新統計によると、兵庫県の有効求人倍率(季節調整値)は0.95倍となり、前月と同水準で推移した。求職者1人に対して求人が1件に満たない状態であり、全国平均の1.20倍を大きく下回る結果となった。新規求人倍率は1.70倍で前月比0.01ポイント上昇したが、求人・求職ともに減少しており、雇用情勢は「持ち直しの動きが弱まっている」と判断された。この記事では、兵庫県の労働市場の実態を分析し、中小企業がこの環境下でどのように採用活動を展開すべきかを専門的な視点から詳しく解説する。


令和7年9月の兵庫県の有効求人倍率(季節調整値)は0.95倍で、前月と同水準となった。これは求職者1人に対し0.95件の求人しかないことを意味し、全国平均の1.20倍を0.25ポイント下回る水準である。県内の雇用情勢は、求職が求人を上回る状態が続いており、「持ち直しの動きが弱まっている」との判断が示された。物価上昇や経済の先行き不透明感が企業の採用意欲に影響しており、企業側が慎重姿勢を強める一方で、求職者側も転職や再就職への行動をやや抑制している状況がうかがえる。

有効求人数は76,211人で、前月比1.2%減と4か月連続の減少となった。有効求職者数は80,596人で、前月比0.6%減と小幅に減少した。新規求人倍率は1.70倍で前月比0.01ポイント上昇しており、一定の回復を見せたものの、新規求人数自体は25,658人で前月比4.0%減と3か月ぶりの減少となった。新規求職者数も15,134人で前月比4.6%減と同様に減少しており、求人・求職の両面で動きが鈍化していることが分かる。

前年同月との比較では、有効求人数が75,944人で5.4%減と19か月連続の減少となった。これに対し、有効求職者数は80,386人で1.0%増と3か月連続の増加となっている。つまり、求人が減少し続ける中で求職者が増加していることから、労働需給のバランスが明確に「求職超過」へと傾いていることが確認できる。新規求人は25,802人で前年同月比5.6%減と5か月連続の減少となっており、採用意欲が全体として鈍化している。

兵庫県の産業構造を見ると、製造業や建設業、運輸業、医療・福祉などが雇用の柱であるが、これらの分野でも動きに差が見られる。製造業では自動車関連や機械部品分野で海外需要の減速が影響し、求人が減少している。一方で建設業は災害復旧や都市部の再開発プロジェクトの影響で一定の求人増加が見られるが、熟練人材の不足が深刻化しており、求人があっても充足しにくい構造が続いている。医療・福祉分野では高齢化の進展を背景に需要は高いものの、人材流出が止まらず、採用難が常態化している。

地域別にみると、神戸市や阪神間ではサービス業中心の求人が多く、淡路島や但馬地域では製造・運輸・建設業が中心となっている。特に但馬地域では求人倍率が0.8倍台と低水準にとどまっており、雇用機会の地域格差が顕著に見られる。一方で、姫路市や加古川市などの播磨地域は製造業が強く、技能職や技術者の求人が根強い。

全国的な動向と比較すると、兵庫県の0.95倍という数値は、近畿平均の1.13倍をも下回る。この背景には、県内企業の多くが中堅・中小規模であり、賃金・待遇面で都市圏大企業との競争に不利な立場にあることが挙げられる。加えて、物価上昇によるコスト増が企業の採用予算に影響し、求人抑制の動きを強めている。一方、求職者側も慎重で、転職や再就職に際してより安定性を重視する傾向が強まっている。

中小企業の採用担当者にとって、この0.95倍という数値は一見「採用しやすい環境」とも受け取れる。しかし実際には、求人の多くが人材の確保が難しい職種に偏っており、特に現場作業職・介護職・運転職・建設職などでは応募が集まりにくい。一方、事務職や販売職では求職者が多く、倍率が低くなる。つまり、採用活動を成功させるには、単に求人を出すだけでなく、職種ごとの需給バランスを的確に見極めた戦略が欠かせない。

具体的には、まず求人票の内容を再構築する必要がある。ハローワークや求人媒体での求人票は、求職者が最初に接する「企業の顔」である。職場の雰囲気、キャリアアップの機会、福利厚生、柔軟な勤務形態など、求職者が重視する要素を具体的に伝えることで、応募率を高めることができる。加えて、即戦力に限らず未経験者を受け入れる体制を整え、教育・研修制度を明示することも有効だ。

また、採用スピードの最適化も重要である。求人倍率が低水準であっても、求職者が複数企業を比較して選ぶ傾向は強い。面接から内定までの時間が長いと他社に先を越される可能性があるため、選考プロセスの効率化が必要である。さらに、内定後のフォローアップや入社後の定着支援を徹底することも、中小企業にとっては欠かせない戦略となる。特に、入社初期の不安を解消するメンター制度やコミュニケーション施策を整えることは離職防止に直結する。

兵庫県の労働市場は今後、人口減少と高齢化の影響で労働力供給がさらに縮小すると見込まれる。そのため、採用活動の主軸を「即戦力確保」から「育成型雇用」へとシフトする必要がある。たとえば、シニア層の経験を活かした人材活用や、子育て世代・女性の再就職支援の強化など、多様な人材の受け入れを促進することで、企業の採用基盤を広げることができる。

さらに、デジタル技術を活用した採用活動の推進も求められる。オンライン面接やAIマッチングを活用することで、採用の効率化を図りつつ、地域を超えた人材確保も可能になる。特に地方部の中小企業では、ハローワークのインターネットサービスを最大限活用することが、求人の露出を高める有効な手段となる。

総じて、兵庫県の有効求人倍率0.95倍という数字は、企業にとって「慎重な採用環境」と言える。しかしその中にも、人材確保のチャンスは確実に存在する。企業の採用力は、求人倍率という数字そのものではなく、労働市場の構造を理解し、自社の魅力を的確に伝える戦略にこそ左右される。これからの採用活動は「数」ではなく「質」の競争であり、地域の中小企業こそが、柔軟で人間的な採用を通じて新たな人材との出会いを創り出す時期に来ている。

この記事の要点

  • 令和7年9月の兵庫県有効求人倍率は0.95倍で全国平均を下回る
  • 有効求人数は76,211人で4か月連続減少
  • 新規求人倍率は1.70倍とわずかに上昇
  • 求人減少と求職増加で需給バランスは求職超過
  • 建設・福祉・製造業などで人材確保が課題
  • 中小企業は採用スピードと定着支援が鍵

⇒ 詳しくは兵庫労働局のWEBサイトへ

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