労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和7年9月 大阪府の有効求人倍率1.20倍 採用競争が再燃

2025年11月27日

労務・人事ニュース

令和7年9月 大阪府の有効求人倍率1.20倍 採用競争が再燃

Sponsored by 求人ボックス
広告

大阪労働市場ニュース(令和7年9月分)(大阪労働局)

この記事の概要

令和7年9月に大阪労働局が発表した最新の雇用統計によると、大阪府の有効求人倍率(季節調整値)は1.20倍で、前月と同水準を維持した。新規求人倍率は2.48倍と前月比で0.22ポイント上昇し、3か月ぶりの改善を示したが、業種によって動向に差が見られた。製造業や情報通信業、宿泊・飲食業で減少が続く一方、建設業や運輸業、小売業、専門技術サービス業では増加傾向が見られた。本稿では、大阪府の労働市場データを基に、採用競争が激しい中で中小企業がどのように採用活動を展開すべきかを専門的に解説する。


令和7年9月に公表された大阪労働局の最新データによると、大阪府の有効求人倍率(季節調整値)は1.20倍となり、前月と同水準を維持した。求職者1人に対して1.2件の求人がある状態を示すものであり、全国平均(1.20倍)と同値で推移している。大阪府の有効求人数(季節調整値)は185,048人で、前月比0.7%減少と2か月連続の減少となった。一方で有効求職者数(同)は154,657人で前月比0.1%減少しており、雇用情勢は「改善の動きが弱まっている」と総括された。

新規求人倍率(季節調整値)は2.48倍と、前月より0.22ポイント上昇しており、3か月ぶりの改善となった。新規求人数(同)は64,362人で前月比4.0%増と持ち直した一方、新規求職申込件数(同)は25,950件で前月比5.2%減と減少している。この結果、求人の増加と求職の減少が同時に進み、採用市場では人材の取り合いが再び強まる構図となった。就業地別の有効求人倍率(季節調整値)は1.02倍で、前月より0.01ポイント上昇しており、就業地ベースでも需給の逼迫傾向が見られる。

業種別に見ると、増加したのは「建設業」(前年同月比3.3%増)、「運輸業・郵便業」(同3.6%増)、「卸売業・小売業」(同1.0%増)、「学術研究・専門技術サービス業」(同3.8%増)、「生活関連サービス業・娯楽業」(同16.9%増)であった。特に建設業は21か月ぶりの増加であり、都市再開発やインフラ更新事業の影響が大きい。運輸・郵便業も物流需要の高止まりを背景に3か月ぶりの増加となり、堅調な動きを見せた。一方、減少した業種には「製造業」(同2.2%減)、「情報通信業」(同18.0%減)、「宿泊業・飲食サービス業」(同13.9%減)、「教育・学習支援業」(同5.3%減)、「医療・福祉」(同1.5%減)がある。特に情報通信業は9か月連続の減少で、企業のデジタル投資の抑制が影響しているとみられる。また、宿泊・飲食業の求人減少はインバウンド需要が一巡し、人件費負担が増加していることが背景にある。

職業別に見ると、「建設・採掘」(5.46倍)、「保安」(5.14倍)、「介護関連」(4.42倍)、「サービス」(3.23倍)、「輸送・機械運転」(2.19倍)などの職種では依然として高倍率が続いている。これは、現場系・労働集約型職種の人手不足が慢性化していることを示しており、中小企業が特に採用に苦労する領域である。一方、「事務職」(0.39倍)や「運搬・清掃等」(0.76倍)などは低水準で、求職者の多さが目立つ。つまり、大阪の労働市場は「職種間ミスマッチ」が顕著になっており、採用成功の鍵は職種ごとの需給バランスを踏まえた柔軟な戦略にある。

正社員の有効求人倍率(原数値)は前年同月比0.02ポイント上昇し、1.00倍をわずかに上回った。正社員求人の増加は安定雇用を志向する企業の動きが背景にあり、採用市場では「正社員志向」が明確に定着している。大阪では有効求職者のうち55歳以上が最も多く、前年比7.6%増とシニア層の労働参加が続いている。一方、25~34歳層も5.9%増で、転職によるキャリアアップ志向が強まっている。こうした世代間の動向を踏まえると、採用活動においては「定年後再雇用の受け皿づくり」と「若年層への職場魅力の訴求」を両立させることが求められる。

大阪府全体の雇用動向を地域別に見れば、北摂・大阪市内では求人倍率がやや低く、南部や東部では高水準が維持されている。特に堺市や東大阪市など製造業集積地域では、人材確保が経営課題の中核となっている。多くの中小企業が熟練技術者の確保や若手育成に苦戦しており、採用のための工夫が一層重要になっている。

では、中小企業の採用担当者はこの「有効求人倍率1.20倍」という数値をどのように読み解くべきだろうか。単に倍率が高い・低いという表面的な判断ではなく、その背後にある労働需給の構造変化を把握することが不可欠である。たとえば、求人倍率が高い職種では求職者が少ないため、賃金や待遇だけでは応募が集まらない。むしろ、職場の安全対策、労働時間の柔軟性、職業訓練や資格取得支援などの「働きやすさ」を示す情報を発信することが、採用力を高めるうえで極めて効果的である。また、ハローワークインターネットサービスなどの求人媒体では、企業の特徴を写真や具体的なエピソードで伝える工夫も有効だ。

さらに、中小企業は「スピード採用」と「定着支援」をセットで考えるべきである。有効求人倍率が1.20倍の状態では、求職者が複数企業を比較して選ぶ傾向が強まるため、採用プロセスが長引くと他社に流れる可能性が高い。面接から内定までのスピードを上げるとともに、入社後のフォローアップ体制を整備することが、採用の質を左右する。特に中小企業では、入社初期の不安を軽減するためのメンター制度やキャリア面談の導入が効果的である。

経済全体で見ると、大阪府の雇用保険被保険者数は前年同月比で40か月連続増加しており、雇用そのものは底堅い。就職件数も前年同月を0.5%上回り、8か月ぶりにプラスとなった。これらのデータは、採用市場が依然として活発であることを示している。つまり、中小企業にとって「採用できない時代」ではなく、「どう採用するかの質が問われる時代」である。

総じて、大阪の労働市場は安定した水準を維持しつつも、職種・業種・地域によって温度差が拡大している。中小企業の採用担当者は、自社が戦うべき市場を正確に見極め、「採用の差別化」を図る必要がある。たとえば、若年層にはキャリア成長の機会を訴え、ミドル層には安定と柔軟性を、シニア層には経験を活かせる環境を示すなど、ターゲット別のメッセージ戦略が鍵となる。

この記事の要点

  • 令和7年9月の大阪府有効求人倍率は1.20倍で前月と同水準
  • 新規求人倍率は2.48倍で3か月ぶりに上昇
  • 建設・運輸・小売・サービス関連業で求人増加
  • 製造・情報通信・宿泊飲食業で求人減少が続く
  • 正社員有効求人倍率は1.00倍を維持し安定志向が継続
  • 中小企業はスピード採用と定着支援を両立させる戦略が必要

⇒ 詳しくは大阪労働局のWEBサイトへ

広告
パコラ通販ライフ
パコラ通販ライフ
PR記事作成サービス受付フォーム