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2025年11月27日

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令和7年9月 福井県有効求人倍率1.81倍 高水準

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雇用失業情勢 (令和7年9月分)(福井労働局)

この記事の概要

令和7年9月、福井労働局が発表した最新の労働市場動向によると、県内の有効求人倍率(就業地別・季節調整値)は1.81倍となり、前月比0.05ポイントの低下となった。新規求人倍率も2.47倍と前月比0.18ポイント低下し、求人の勢いにやや鈍化が見られる。一方で、有効求職者数は前月比0.8%増と8か月ぶりの増加となった。求人が求職を大幅に上回る状態は継続しており、依然として企業主導の採用環境が続く中、中小企業は採用力と職場魅力の両面で戦略的対応を求められている。


令和7年9月の福井県の有効求人倍率(季節調整値)は1.81倍で、前月より0.05ポイント低下した。全国平均(1.20倍)を大きく上回り、都道府県別では全国第1位となった。依然として福井県の雇用市場は全国的に見ても「人手不足が最も深刻な地域」の一つであり、求人が求職を大きく上回る状態が続いている。有効求人数(季節調整値)は19,680人で前月比1.8%減、有効求職者数は10,867人で前月比0.8%増であり、求人の減少と求職者の微増という形で需給バランスに変化の兆しが見える。

新規求人倍率(季節調整値)は2.47倍で、前月から0.18ポイント低下した。新規求人数は6,366人で前月比6.6%減と減少傾向にあり、2か月連続の減少である。新規求職者数は2,574人で前月と同水準を維持した。求人・求職の双方が動きを鈍化させる中で、福井県労働局は「求人が求職を大幅に上回って推移しているものの、物価上昇等の影響に注視する必要がある」との判断を示しており、今後の採用活動における慎重な対応を促している。

原数値で見ると、有効求人数は19,375人で前年同月比2.8%減、新規求人数は6,328人で前年同月比6.4%減といずれも減少している。特に有効求人数は29か月連続で前年を下回っており、長期的に見ると求人の勢いがやや後退していることがうかがえる。一方で有効求職者数は10,729人で前年同月比2.4%増と8か月ぶりの増加であり、求職者側の動きが少しずつ戻りつつある。

産業別の新規求人動向を見ると、増加傾向を示したのは建設業(6.1%増、45人増)、学術研究・専門・技術サービス業(44.4%増、59人増)、医療・福祉(5.3%増、59人増)などであった。特に学術研究や技術サービス業では、高度専門職や研究職の採用が活発化しており、県内企業の技術開発や新規事業への取り組みが進んでいることが背景にある。一方で、卸売・小売業(17.7%減、240人減)、宿泊・飲食サービス業(2.8%減、13人減)、生活関連サービス業・娯楽業(28.3%減、54人減)、サービス業(18.1%減、131人減)などが減少しており、消費関連業種では人員調整が続いている。

製造業においては、地場産業である繊維工業が57.9%増(103人増)と大幅な伸びを見せた一方で、眼鏡等製造業は29.4%減(30人減)、電子部品・デバイス製造業は55.0%減(55人減)と明暗が分かれた。これは、海外需要や為替変動の影響を受けやすい業種が苦戦する一方、地域ブランドや国内需要に根差した業種が安定していることを示している。福井県の製造業は伝統産業と先端産業が混在する構造であり、各企業が独自の強みをどう発信していくかが今後の採用活動の成否を分けるだろう。

求職者の動向に目を向けると、年齢別では24歳以下が6.8%増、35〜44歳が5.5%増、55〜64歳が4.5%増と幅広い層で求職活動が活発化している。一方で25〜34歳は0.6%減とわずかに減少し、若手層の流出が懸念される。定年後も働く意欲を持つシニア層が増えていることから、企業は年齢に応じた多様な働き方を提示することが求められている。

求職理由では、在職者が10.8%増と最も伸びが大きく、離職者は0.9%増、無業者は9.9%増だった。特に「事業主都合による離職」が8.0%増と目立ち、物価高や経営環境の変化により人員整理を行う企業も出始めていることがわかる。

地域別の有効求人倍率では、三国2.30倍、福井1.78倍、小浜1.70倍、大野1.63倍、敦賀1.55倍、武生1.26倍と、地域ごとに差がある。福井市周辺や北部の三国地区では人手不足が特に深刻であり、求人倍率2倍超という高水準が続いている。

正社員有効求人倍率(原数値)は1.63倍で前月比ほぼ横ばいとなった。正社員求人の比率は全体の55.6%で前年同月比0.5ポイント増加しており、安定雇用を求める企業姿勢が引き続き強い。一方で求職者の正社員志向も高く、マッチングの難しさが浮き彫りとなっている。

このように、福井県の雇用市場は依然として求人が求職を大きく上回る「売り手市場」であるが、産業や地域によっては採用環境に陰りが見え始めている。特に中小企業にとっては、人材獲得競争の中で大企業との差をどう埋めるかが喫緊の課題である。

採用担当者が今注目すべきは、単に求人を出すことではなく、「どうすれば自社が選ばれるか」を考えることだ。条件面での競争だけでなく、企業理念、地域への貢献、社員の働きがいといった非金銭的要素を明確に伝えることで、応募者の心を動かす採用が実現できる。また、採用活動のスピード感も重要で、応募から内定までを迅速に進めることで、優秀な人材を逃さない体制づくりが求められる。

さらに、デジタル採用やリモートワーク導入など、時代に即した採用手法の活用も不可欠である。Uターン・Iターン希望者を対象にオンライン面接を実施したり、地方在住者向けに柔軟な働き方を提案することは、福井県のような地域型産業構造を持つ企業にとって特に有効である。

雇用市場の数字の背後には、地域経済と企業経営のリアルがある。採用担当者は有効求人倍率という統計値を「人材確保の難易度」を示すシグナルとして読み解き、自社の採用戦略を定量的に見直すことが、今後の安定経営と成長の基盤になる。

この記事の要点

  • 令和7年9月の福井県有効求人倍率は1.81倍で前月比0.05ポイント低下
  • 新規求人倍率2.47倍で前月比0.18ポイント低下
  • 有効求人数19,680人で前月比1.8%減 有効求職者数10,867人で0.8%増
  • 製造業では繊維工業57.9%増 眼鏡等製造業29.4%減
  • 三国地区2.30倍 武生地区1.26倍と地域差大
  • 正社員求人比率55.6%で安定雇用志向強まる
  • 中小企業は採用スピードと訴求力の両立が鍵

⇒ 詳しくは福井労働局のWEBサイトへ

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