2025年11月27日
労務・人事ニュース
令和7年9月 石川県有効求人倍率1.57倍 全国第3位の高水準
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最近の雇用失業情勢 令和 7年 9月分(石川労働局)
この記事の概要
令和7年9月、石川労働局が発表した最新の雇用動向によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.57倍となり、前月より0.03ポイント低下した。2か月ぶりの低下ではあるものの、全国平均(1.20倍)を大きく上回る水準を維持している。求人が求職を上回る状態が続いており、雇用情勢は全体として堅調に推移しているが、一部の産業で減少傾向が見られるため「注意を要する状態」とされている。中小企業においては、採用市場の競争激化を見据え、採用手法と訴求内容の最適化が重要な段階に入っている。
令和7年9月の石川県の有効求人倍率(季節調整値)は1.57倍で、前月比0.03ポイント低下した。2か月ぶりの低下であるが、全国水準を上回り、全国順位では第3位を維持している。有効求人数(季節調整値)は26,335人で前月比3.7%減、有効求職者数は16,811人で前月比1.6%減であり、求人・求職ともに減少したものの、求人が求職を上回る状態が継続している。これは景気全体の緩やかな持ち直しの中で、企業の採用意欲が一定程度続いていることを示している。
一方で、新規求人倍率(季節調整値)は2.57倍で前月比0.05ポイント低下し、2か月連続の下落となった。新規求人数(原数値)は9,321人で前年同月比3.2%減少し、業種によって動きにばらつきがみられた。製造業(19.3%増)や情報通信業(79.8%増)は好調だったが、宿泊業・飲食サービス業(19.0%減)、卸売業・小売業(12.6%減)、医療・福祉(9.1%減)などが減少しており、観光業や地域消費に依存する分野では依然として採用抑制の動きが残っている。
正社員の有効求人倍率(原数値)は1.42倍で、前年同月比0.14ポイント上昇した。正社員の有効求人数は14,030人、有効求職者数は9,849人で、前年より求人数が3.2%増加した一方で求職者数は7.2%減少しており、正社員採用を希望する人材の供給が減る中で企業間の競争が激化している。特に建設、製造、介護など現場職種では、慢性的な人手不足が続いている。
地域別に見ると、有効求人倍率の地域差が顕著である。金沢公共職業安定所では1.59倍、白山所は2.04倍、小松所は1.05倍、加賀所は1.69倍、七尾所は1.58倍、輪島所は1.61倍であった。特に白山・輪島地区では高水準を維持しているが、小松では1倍をわずかに上回る程度にとどまり、地域によって労働需給の偏りが見られる。これは、企業の立地条件や業種構成、災害の影響、交通アクセスの差などが背景にあると考えられる。
産業別では、製造業が986人(前年同月比19.3%増)と好調であり、特に電気機械や金属製品などの分野で求人が増えている。情報通信業も89人から160人へと79.8%の増加を示しており、デジタル分野の人材需要が拡大していることが明らかになった。一方で、宿泊・飲食サービス業は1,187人から961人に減少(19.0%減)し、インバウンド需要の回復にもかかわらず、人件費上昇や事業規模の縮小によって新規採用を抑える動きが見られる。
医療・福祉分野の新規求人は1,997人から1,816人に減少(9.1%減)しており、長期的な人材不足が続く中で、採用活動の効率化が課題となっている。介護職や看護師など専門性の高い職種では求人倍率が高く、介護関連職全体の有効求人倍率は4.68倍と極めて高い数値を示している。つまり、1人の求職者に対して約5件近い求人が存在する状態であり、企業側が人材を確保するのは極めて困難な状況である。
職業別に見ると、事務職の有効求人倍率は0.58倍と依然として低く、一般事務従事者では0.46倍にとどまっている。これは、オフィスワーク志向の求職者が多く、募集に対して応募が集中していることを示している。反対に、販売従事者は4.02倍、サービス従事者は3.55倍、建設・採掘従事者は5.30倍と、人手不足が顕著である職種が多い。特に建設現場では6倍以上の求人倍率を示す業種もあり、現場系人材の確保が企業経営に直結している。
石川労働局は雇用情勢について「求人が求職を上回って推移しているものの、一部注意を要する状態にある」と判断している。求人減少傾向がみられる業種がある一方で、地域経済を支える製造・建設分野では依然として強い需要が続いており、全体としては安定基調を維持しているといえる。
こうした中で、中小企業の採用担当者が注目すべきは、有効求人倍率の「高さの裏にある採用難の現実」である。1.57倍という数字は、一見すると雇用市場が活発であることを示すが、実際には「人が足りない企業が多い」ということを意味する。つまり、採用競争が激化しており、求職者の目線で見れば「選べる企業が多い」状況にある。採用担当者はこの環境下で「選ばれる企業」としての差別化を明確に打ち出す必要がある。
まず重要なのは、求人情報の表現力である。従来型の条件提示に加えて、「働きがい」「成長機会」「地域とのつながり」などの要素を盛り込み、応募者の共感を得ることが効果的である。また、採用スピードも鍵を握る。応募から面接、内定までの期間が長い企業は、他社に人材を奪われるリスクが高まるため、選考プロセスの効率化が求められる。
さらに、採用のデジタル化も欠かせない。オンライン面接やWeb説明会の活用により、県外のUターン・Iターン希望者にアプローチすることで、新たな人材層を確保できる。特に石川県では、能登半島地震の影響によって一部地域での雇用構造が変化しており、リモートワークや在宅勤務を取り入れた柔軟な働き方を提示する企業が注目を集めている。
今後、中小企業が持続的な採用活動を進めるためには、単に「人を採る」だけでなく「人が定着する環境をつくる」視点が欠かせない。採用後の育成・定着支援を通じて、社員の満足度を高めることが離職防止につながる。特に、職場のコミュニケーションや評価制度の透明性は、若年層にとって企業選択の重要な判断基準となっている。
この記事の要点
- 令和7年9月 石川県有効求人倍率1.57倍 前月比0.03ポイント低下
- 新規求人倍率2.57倍 前月比0.05ポイント低下
- 製造業19.3%増 情報通信業79.8%増 宿泊・飲食業19.0%減
- 正社員有効求人倍率1.42倍 前年比0.14ポイント上昇
- 白山2.04倍 輪島1.61倍 金沢1.59倍と地域差顕著
- 中小企業は採用スピードと求人表現力の強化が鍵
⇒ 詳しくは石川労働局のWEBサイトへ


