2025年11月26日
労務・人事ニュース
令和7年9月 富山県有効求人倍率1.52倍 人材争奪戦が激化
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2025年9月の富山労働市場ニュース(富山労働局)
この記事の概要
令和7年9月、富山労働局が発表した最新の労働市場動向によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.52倍となり、前月比で0.02ポイント上昇した。新規求人倍率も2.42倍と、いずれも2か月ぶりに上昇を見せた。求人が求職を上回る状況が続く中で、雇用情勢は持ち直しの動きを維持している。一方で、物価上昇などの経済環境が企業の採用姿勢に影響しており、中小企業は採用戦略の柔軟性とスピードが求められる局面にある。
令和7年9月の富山県の有効求人倍率は1.52倍で、前月より0.02ポイント上昇した。これは2か月ぶりの上昇であり、県内の雇用情勢が依然として堅調に推移していることを示している。有効求人数は22,926人で前月比0.9%減、有効求職者数は15,116人で前月比2.3%減となり、求人・求職ともに減少したが、求人が求職を上回る状態は継続している。新規求人倍率も2.42倍と前月から0.02ポイント上昇し、雇用市場の活発さを示す結果となった。
富山労働局は、雇用情勢について「求人が求職を上回って推移しており、持ち直しの動きがみられるが、物価上昇等が雇用に与える影響に引き続き注意する必要がある」との判断を維持しており、慎重な見方を崩していない。令和7年5月以降、同様の判断を5か月連続で続けている点からも、景気の先行きや企業の採用活動には依然として不確実性が残っていることがうかがえる。
原数値で見ると、有効求人数は22,504人で前年同月比5.3%増加し、5か月連続で増加している。対して有効求職者数は14,975人で前年同月比3.7%減少し、14か月連続で減少している。このため、実質的な採用環境は前年よりも厳しく、求職者数の減少が企業にとって人材確保の難易度を押し上げている。
正社員に限定した指標では、有効求人倍率(原数値)は1.49倍で前年同月より0.11ポイント上昇し、11か月連続の上昇となった。正社員の有効求人数は12,615人で前年同月比4.7%増加しており、6か月連続の増加。これに対し、正社員の有効求職者数は8,443人で前年同月比3.3%減少していることから、企業の正社員採用意欲が引き続き高い水準にあることが確認できる。特に製造業や建設業などの基幹産業で、技能職や現場人材の需要が高まっている。
産業別の新規求人動向では、宿泊業・飲食サービス業が前年同月比70.6%増(204人増)と顕著な伸びを示した。観光需要の回復やイベント再開による人手需要の高まりが背景にある。また、卸売業・小売業も16.7%増(149人増)と堅調に推移した。一方で、医療・福祉業は4.9%減(85人減)と減少しており、介護分野などでの人材確保難が続いている。
製造業においては前年同月比11.2%増(139人増)と堅調であり、特に輸送用機械器具製造業では61.4%増(27人増)、化学工業では10.6%増(13人増)と、技術系分野の求人が拡大している。建設業も14.7%増(139人増)と増加し、インフラ整備や再開発関連の需要に支えられている。反対に、生活関連サービス業や娯楽業は32.7%減と大幅に落ち込み、個人消費の変動が求人動向に影響を与えている。
年齢別に見ると、45歳から59歳の中堅層および60歳以上のシニア層の求職活動が活発で、60歳以上では前年同月比5.2%増と増加している。定年後の再就職希望者が増加している一方で、若年層(24歳以下)は12.6%減と減少し、県外就職や転職志向の強まりが見られる。若年層人材の地元定着が課題となっており、中小企業の採用戦略にも「若者に選ばれる企業づくり」が急務である。
就業地別の有効求人倍率は1.69倍で、前月より0.02ポイント上昇した。これは全国平均の1.20倍を大きく上回り、全国第2位の高さである。就業地ベースで見ても、県内の人材需要が高い水準を維持していることがわかる。特に富山市・高岡市を中心に、製造・卸売・建設関連業の求人が堅調であり、地域経済の下支えとなっている。
中小企業の採用担当者にとって、この数字の持つ意味は大きい。1.52倍という有効求人倍率は、求職者1人に対して1.5件の求人が存在する状態であり、企業間の人材獲得競争が激化していることを意味する。つまり、同じ条件の求人であっても、他社に先を越されやすい状況にある。採用を成功させるためには、スピードと訴求力の両立が不可欠である。
まず、採用スピードについては、応募から内定までの期間を短縮し、求職者が他社に流れる前に意思決定を下す体制を構築することが重要である。面接の迅速な設定や社内決裁の効率化など、採用プロセスの見直しが必要となる。また、訴求力の観点では、求人票や採用サイトにおいて「働きやすさ」「地域貢献」「成長機会」といった非金銭的魅力を伝える工夫が求められる。
さらに、デジタル採用の積極的な活用も重要である。富山県では依然としてハローワーク経由の求人が中心だが、オンライン採用ツールを活用することで、県外在住のUターン・Iターン希望者にも効果的にアプローチできる。特に富山のように自然と都市機能の両方を持つ地域では、「地元での安定した暮らし」をテーマに発信することで、若年層や子育て世代の関心を引きやすい。
一方で、物価上昇やエネルギーコストの上昇は、中小企業の採用活動に直接的な影響を及ぼしている。賃上げの動きが進む中で、給与以外の魅力、たとえば柔軟な働き方やスキルアップ支援など、総合的な職場価値を高める取り組みが求められる。
今後の富山県の雇用動向は、引き続き堅調に推移する見込みだが、人口減少の進行に伴う労働力確保の課題は深刻である。中小企業の採用担当者は、求人倍率という数値を単なる統計として見るのではなく、「採用市場の競争環境を示すシグナル」として活用し、より戦略的な人材確保策を講じることが重要である。
この記事の要点
- 令和7年9月 富山県有効求人倍率1.52倍で前月比0.02ポイント上昇
- 新規求人倍率2.42倍で2か月ぶりに上昇
- 有効求人数22,926人 有効求職者数15,116人で求人が求職を上回る
- 正社員有効求人倍率1.49倍で11か月連続上昇
- 宿泊・飲食業70.6%増 製造業11.2%増 医療・福祉4.9%減
- 就業地別有効求人倍率1.69倍で全国第2位
- 中小企業は採用スピードと求人魅力の向上が鍵
⇒ 詳しくは富山労働局のWEBサイトへ


