2025年11月26日
労務・人事ニュース
令和7年9月 新潟県有効求人倍率1.39倍 雇用改善に足踏み
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最終更新: 2025年11月26日 01:04
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最終更新: 2025年11月26日 00:36
一般職業紹介状況(令和 7 年 9 月分)(新潟労働局)
この記事の概要
令和7年9月に新潟労働局が発表した雇用動向によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.39倍で、前月比0.01ポイント低下した。新規求人倍率も2.17倍で前月より0.08ポイント低下し、求人の動きはやや鈍化している。一方で、有効求職者数は5か月ぶりに減少しており、求人と求職のバランスには変化の兆しが見える。中小企業は採用市場の動向を踏まえ、採用スピードと情報発信力の両立が求められる局面にある。
令和7年9月の新潟県の有効求人倍率(季節調整値)は1.39倍で、前月に比べて0.01ポイントの小幅な低下となった。全国平均の1.20倍を上回る水準ではあるが、県内の雇用情勢は「改善の動きにやや足踏み感がある」とされており、慎重な見方が続いている。有効求人数(季節調整値)は48,655人で前月比1.7%減、2か月連続の減少となった。一方、有効求職者数は35,129人で前月比0.6%減と、こちらも減少に転じた。求人・求職の両面で減少していることから、雇用市場は需要・供給の両面で一時的な停滞局面にあると考えられる。
新規求人倍率(季節調整値)は2.17倍で前月より0.08ポイント低下した。新規求人数は16,148人で前月比5.7%減、2か月連続の減少である。原数値でも16,416人と前年同月比4.8%減であり、新規の採用活動が鈍化している。特にパートタイムを除く求人は11,393人(前年同月比5.2%減)で、パートタイム求人も5,023人(前年同月比3.8%減)と、雇用形態を問わず減少傾向が続いている。
産業別に見ると、教育・学習支援業が前年同月比8.8%増と増加した一方、宿泊業・飲食サービス業は20.4%減、運輸業・郵便業は11.1%減、製造業は6.0%減、サービス業も4.2%減と、幅広い分野でマイナスを記録した。宿泊業や運輸業の減少は観光需要の季節的要因や燃料費高騰の影響を受けたものであり、製造業の落ち込みは原材料費の上昇や受注の変動による影響が考えられる。教育分野のみが堅調であったのは、学校・塾業界での人手不足が続き、教育関連サービスのニーズが安定しているためだ。
正社員の有効求人倍率(原数値)は1.38倍で前年同月比0.06ポイント低下した。正社員の有効求人数は28,312人(前年同月比0.4%減)で、3か月ぶりの減少となった一方、有効求職者数は20,453人(前年同月比3.8%増)で3か月連続の増加だった。つまり、正社員を希望する求職者が増加しているのに対し、企業の採用意欲が追いついていない状況が明らかである。正社員の就職件数は1,033件(前年同月比1.2%増)と増加しているが、依然として就職までの競争は厳しい。
これらの数字から見えてくるのは、新潟県の労働市場が「求職者増・求人減」という構造的なミスマッチを抱えているという現実である。有効求人倍率が1.39倍であるにもかかわらず、採用難が続くのは、求人の多くがサービス業や製造現場などであり、労働条件や勤務地に偏りがあるためである。求職者が希望する働き方と企業が求める人材像に乖離が生じており、採用担当者には求人の魅力を的確に伝える努力が求められる。
新潟労働局は、「物価高騰などが雇用に与える影響にも注意が必要」としており、企業は採用コストの上昇に直面している。給与引き上げや福利厚生の充実を行いたくても、原材料費やエネルギーコストの高止まりが重くのしかかっている。その結果、求人を出す企業の数自体が減少傾向にあり、求人倍率の数値が高くとも、実際には採用活動を積極的に展開している企業が限られるという現象が起きている。
このような状況下で、中小企業の採用担当者が取るべき戦略は、単に「人を採る」から「人に選ばれる企業をつくる」へと発想を転換することにある。給与や待遇だけではなく、働きやすさや地域社会への貢献など、非金銭的な価値をアピールすることが求められる。特に地方都市では、「地元で安定して働けること」や「家族との時間を確保できること」が求職者にとって大きな魅力となる。求人票にはこうした情報を具体的に記載し、働く人の生活に寄り添う姿勢を見せることが採用成功の鍵となる。
また、採用活動におけるスピード感も重要だ。新潟県内では求職者が複数の企業を同時に検討するケースが多く、選考期間が長引くと他社に先を越されるリスクが高い。採用担当者は面接から内定までのプロセスを短縮し、意思決定を迅速化することが望ましい。応募から内定までを1〜2週間程度に設定できれば、採用競争で優位に立つことができる。
さらに、デジタル採用の活用も欠かせない。地方企業でもオンライン面接やウェブ説明会を導入することで、首都圏や他地域からの応募者にリーチすることが可能になる。新潟はUターン・Iターン志向の人材が多く、オンライン採用によって遠隔地からの応募者を取り込む戦略が有効だ。
加えて、採用後の定着支援も採用活動の延長として重視されるべきである。離職者の増加が見られる中、教育研修やキャリア支援を行う企業は定着率が高い傾向にある。特に若年層においては、スキルアップの機会があるかどうかが企業選択の大きな要素となっている。
総じて、新潟県の雇用市場は緩やかに改善しているものの、産業構造の変化や人口減少による影響で、長期的な人材確保の難しさは続いている。中小企業の採用担当者にとっては、求人倍率という数字を「採用の難易度を示す指標」として正確に読み取り、数字の背後にある人材動向を理解することが不可欠である。求職者が何を重視し、どのような職場に魅力を感じるかを分析した上で、戦略的な採用計画を立てることが、これからの採用成功につながる。
この記事の要点
- 令和7年9月の新潟県有効求人倍率は1.39倍で前月比0.01ポイント低下
- 新規求人倍率2.17倍 前月比0.08ポイント低下
- 有効求人数48,655人で前月比1.7%減 新規求人数16,148人で5.7%減
- 正社員有効求人倍率1.38倍で前年同月比0.06ポイント低下
- 宿泊・飲食業20.4%減 製造業6.0%減 教育・学習支援業8.8%増
- 中小企業は採用スピードと求人魅力の発信強化が鍵
⇒ 詳しくは新潟労働局のWEBサイトへ


