2025年12月5日
労務・人事ニュース
2025年10月の中国経済、有効求人倍率1.12倍で雇用横ばい続く
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最終更新: 2025年12月4日 21:05
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景気ウォッチャー調査(令和7年10月調査)― 中国(現状)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年10月に実施された中国地方の景気ウォッチャー調査では、地域経済は観光や宿泊業を中心に持ち直しの動きが見られる一方で、物価上昇と購買意欲の低下、企業の採用負担増などの課題が明らかとなった。百貨店やホテルではインバウンド需要が売上を押し上げ、旅行代理店の受注は前年比130%と好調を維持している。一方で小売業や外食業では節約志向が根強く、雇用面では有効求人倍率が1.12倍で横ばい、新規求人数の伸びが鈍化している。中小企業では最低賃金引上げへの対応に苦慮する声も多く、地域経済の先行きには慎重な見方が広がっている。
令和7年10月の中国地方では、観光関連産業を中心に一定の回復が見られた。都市型ホテルでは稼働率を落とすことなく高単価で推移しており、宿泊部門の売上は前年を上回る。特に秋の行楽シーズンを迎え、2人以上の宿泊客が増加し、宿泊予約数は9月時点の予想を8%上回った。観光型ホテルでも団体ツアーの集客が好調で、週末は個人旅行客が増えるなど需要の底堅さが確認された。また、観光地や修学旅行生の回復により、土産物店や和菓子店でも来客数が増加している。
旅行代理店の受注は前年比130%と大幅に増加し、年末年始に向けた予約も活発である。海外旅行の先行予約が伸びており、コロナ禍以降で最も高い水準を記録している。一方で、商店街やスーパーでは物価高が続き、生活必需品以外の購買が控えられている。スーパーでは来客数が前年同月比で99%と横ばいながらも、販売点数は減少しており、売上増加は主に価格上昇によるものである。客の「必要なものだけを買う」傾向が顕著で、購買行動の慎重化が進んでいる。
百貨店ではハイブランドジュエリーやバッグなど高額品の販売が好調で、特に富裕層の購買意欲が向上している。金価格や株価の上昇も背景にあり、外商担当者からは「富裕層の支出が活発化している」との声が聞かれる。しかし、中間層の購買行動は依然として鈍く、高価格帯と低価格帯の二極化が進んでいる。商店街の代表者は「景気の低迷は続いているが、新首相就任により悪化は回避できるとの見方が広がっている」と述べており、消費者心理は慎重ながらも一定の安定感を保っている。
飲食業界では明暗が分かれた。高級レストランではイベント誘致が奏功し、来客数が増加しているが、一般レストランでは値上げの影響で来店控えが広がっている。平日のランチ利用は前年比110%と堅調だが、夜の利用は減少傾向で、特に21時以降の売上が低迷している。美容室や小売業でも来店頻度の減少が報告されており、生活防衛志向の強まりが地域経済に影響している。
製造業では、食料品製造業や輸送用機械器具製造業で受注が増加している。特に輸送機械関連では多忙な状況が続いており、地域産業をけん引している。通信業でもDXやAI関連分野で引き合いが増加し、企業のIT投資が活発化している。一方で、電気機械器具製造業では取引先の設備投資が鈍化し、原材料費の上昇が利益を圧迫している。建設業では予定物件が多く、今後の繁忙が見込まれるものの、資材価格と労務費の高騰が続いており、賃金上昇が追いつかない現状が課題となっている。
不動産業では前月比で来客数が3%減少、申込件数が5%減少しており、需要の減退が確認された。住宅販売では建築費高騰の影響で「購入したくても予算が届かない」との声が多く、販売数は横ばいで推移している。設計事務所からは「住宅や小規模ビルの引き合いはあるが、建築費の高止まりで契約が進まない」との報告がある。
雇用情勢をみると、有効求人倍率は1.12倍で前月と変化がなく、横ばいが続いている。新規求人数は前年より減少傾向にあり、最低賃金引上げの影響で採用活動を控える中小企業も増えている。職業安定所では「最低賃金の引上げは意義があるが、体力のない事業所にとっては負担が大きい」との懸念が示されている。求職者数は増加しているが、登録者の動きは鈍く、条件の良い職場を慎重に探す傾向が強い。人材派遣会社でも「求人数はやや上向きだが、登録者数は伸び悩み、採用までの期間が長期化している」との声がある。
大学や短期大学では、2026年4月および2027年4月入社の新卒採用活動が一段落し、内定率は9割を超えている。しかし、一部の企業では採用予定人数を満たせず、採用活動を終了せざるを得ない状況も発生している。フルリモート勤務を希望する学生は全体の1割程度で、対面勤務を希望する傾向が強い。企業は人材確保のため柔軟な勤務制度を模索しているが、採用難の解消には至っていない。
全体として中国地方の経済は、観光・輸出関連の回復基調に支えられつつも、消費低迷と雇用の停滞が続く構造的課題を抱えている。物価上昇と賃金格差の広がりが中小企業や家計に影響を与えており、地域経済の安定には持続的な雇用政策と人材育成の強化が不可欠である。
この記事の要点
- 中国地方の有効求人倍率は1.12倍で横ばい
- 旅行代理店の受注は前年比130%で好調
- 中小企業は最低賃金引上げ対応に苦慮
- 百貨店は富裕層消費が堅調で二極化進行
- 住宅販売は建築費高騰で停滞
- 求職者数は増加も採用活動は長期化
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


