2025年11月12日
労務・人事ニュース
求人前年比減少も前月比増、2025年10月の九州労働市場動向
- 訪問看護業務/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年11月12日 00:35
- 福岡県糟屋郡エリア/訪看のお仕事/未経験OK/車通勤可/即日勤務可
最終更新: 2025年11月12日 00:35
- 注目の在宅医療未経験者も歓迎しております/車通勤可/残業なし/即日勤務可
最終更新: 2025年11月12日 00:35
- 移動なし施設内訪問看護のお仕事/即日勤務可/土日祝休み
最終更新: 2025年11月12日 00:35
景気ウォッチャー調査(令和7年10月調査)― 九州(現状)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年10月の九州地方における景気ウォッチャー調査では、観光や宿泊関連産業が引き続き好調を維持する一方、物価上昇や賃金負担の増加により、個人消費と中小企業の経営環境には依然として厳しさが残っていることが明らかになった。雇用面では求人・求職双方で変化があり、高齢者の求職が増加する一方、新規求人数は前年を下回っている。人材派遣業では登録者が1割増加するなど人材の動きが活発化するものの、採用活動の長期化や企業の採用余力低下が課題として浮き彫りになった。
令和7年10月の九州経済は、秋の観光需要が回復し、地域の一部では堅調な動きを見せた。観光名所では前年の売上を大きく上回り、7月から10月にかけて売上が108%、125%、140%と連続して上昇した。特に外国人観光客の増加が目立ち、宿泊業や飲食業に波及効果をもたらしている。都市型ホテルでは販売量と客単価が前年比を上回り、イベント需要も重なり売上が増加した。観光型ホテルも前年に比べて売上が回復基調にあり、団体旅行や修学旅行などの予約が相次いでいる。タクシー業界では大型クルーズ船の寄港増加によりインバウンド客の利用が増えており、アプリ経由の配車依頼も上昇している。
一方、商店街や小売業では物価高の影響が続き、消費マインドの低下が顕著になっている。商店街ではイベントの開催による集客効果が限定的で、販売単価は上昇しても購買点数が伸び悩んでいる。スーパーでは来客数が前年比100.1%と横ばいだが、客単価は103.2%と微増にとどまり、食品部門以外では衣料品や住関連商品の買い控えが続いている。消費者の生活防衛意識は高止まりしており、特売品や値引き商品への依存度が強まっている。
百貨店ではインバウンド需要が国内消費を上回り、物産展や外国産品の催事では多くの来客が見られた。特に10月には「友の会100周年」を記念した催事が開催され、会場は連日盛況となった。しかし、衣料品の販売は気温の変動や購買意欲の低下で伸び悩んでおり、ショップの退店も続いている。こうした状況から、店舗側は売上確保に向けた品ぞろえの強化と販促施策の見直しを迫られている。
外食業界では回復の兆しがみられるが、依然として不安定な状況が続く。スナックや居酒屋ではインバウンド客の増加により来客数が回復しつつあり、9月から10月にかけて売上が前年水準を回復した。一方で、一般レストランや高級店では値上げが客離れにつながり、特に夜間帯の利用が減少している。美容室では来客数が伸び悩んでおり、単価を下げて顧客を呼び戻す動きもあるが、経営体力を消耗する結果となっている。
住宅関連では、資材価格や金利上昇への懸念が強まり、販売契約が停滞している。住宅販売会社では「建築資材の高騰で顧客の動きが鈍い」との声が多く、住宅支援制度の上限枠終了を見据えて購入を見送る動きもみられた。設計事務所や不動産業でも受注件数に大きな変化はなく、静かな横ばい状態が続いている。
製造業では明暗が分かれている。半導体製造装置関連では需要が低迷し、主要取引先からの受注が激減している。一方、農林水産業や土石製品製造業では受注が堅調で、特に加工食品や畜産業では高価格にもかかわらず引き合いが強い。輸送業では物流需要が回復しつつあるが、燃料費や人件費上昇によるコスト圧力が依然として経営を圧迫している。
金融機関の調査によると、物流費と人件費増加に苦慮する企業が増えており、中小企業の倒産件数がじわじわと上昇している。また、建築費の上昇により、事業計画を断念する企業も見られる。旅行関連では修学旅行の日数短縮など、費用抑制の動きが広がっており、企業活動全体にコスト意識の高まりが見られる。
雇用情勢に目を向けると、九州の新規求人数は3か月前に比べて増加しているが、前年同月比では減少しており、有効求人倍率も横ばいが続いている。人手不足感は依然強いが、企業の採用拡大は見られず、求人数は安定的に推移している。職業安定所では物価高を背景に高齢者の再就職希望や転職者が増加していると報告している。人材派遣会社では求職者登録が前年比約1割増加し、派遣就業件数も目標値を上回って推移している。人材紹介の動きも活発であり、特に社員欠員補充や働き方改革に対応した短時間勤務の需要が増えている。
一方で、学校関係者からは企業の採用活動が長期化しているとの報告があり、学生にとっては有利な状況が続く。採用活動を11月以降も継続する企業が多く、企業の人材確保は引き続き難航している。最低賃金の引き上げにより中小企業では採用コストの増加が課題となり、人手不足解消には至っていない。
このように、令和7年10月の九州経済は、観光需要の回復や派遣人材の増加といった明るい要素が見られる一方で、物価高と人件費上昇が企業経営を圧迫し、雇用の安定には課題が残る。求人は堅調ながらも採用活動は停滞し、人手不足が経済全体のボトルネックとなっている。
この記事の要点
- 九州の新規求人数は前年比減少も前月比増加で横ばい推移
- 人材派遣登録者数が前年比約1割増で就業件数も増加
- 観光関連産業は好調で宿泊・飲食業の売上回復
- 半導体関連の受注減少が製造業全体の重荷に
- 最低賃金引上げが中小企業の採用コストを圧迫
- 有効求人倍率は横ばいで採用活動は長期化傾向
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


