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2025年12月7日

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最低賃金引上げで採用抑制進む、2025年10月先行き沖縄労働市場の現実

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景気ウォッチャー調査(令和7年10月調査)― 沖縄(先行き)―(内閣府)

この記事の概要

令和7年10月の沖縄県における景気ウォッチャー調査では、新政権誕生による経済政策への期待感が広がる一方で、物価高と最低賃金の引き上げが企業経営や消費行動に重くのしかかっている実態が明らかになった。観光業や小売業では年末商戦や旅行需要による回復が見込まれるが、家計の節約志向は依然として強く、購買意欲の改善には時間がかかるとされている。雇用面では求人は堅調ながらも、最低賃金引上げの影響で企業が採用に慎重になる傾向が見られ、有効求人倍率の上昇は鈍化している。


令和7年10月の沖縄経済は、新首相就任により経済対策への期待が高まり、各業界で「緩やかな改善を見込む」との声が多く聞かれた。通信会社や小売業の担当者からは、「新政権の政策によって物価高対策が進み、消費マインドが回復するのではないか」との期待が寄せられている。特に年末年始の9連休が控える中で、人の動きが活発化すると見込まれ、観光関連産業や飲食業では来客数の増加が予想されている。

観光業では、観光型ホテルの予約件数が前年同月比で18%増加しており、引き続き好調な状況が続いている。しかしながら、翌年1月分の予約は前年比7%減少に転じており、観光需要の伸びが一服する懸念も指摘されている。一方で、レンタカー業界では個人利用の増加が顕著で、前年を上回る受注状況が続いている。旅行代理店では「会社の慰安旅行は増えているが、個人旅行は値上がりの影響で減少している」との声があり、企業需要が個人需要を下支えしている構図が見られた。

小売業では、気温の低下により冬物衣料の需要が高まりつつあるが、物販全体では依然として価格上昇が消費を抑制している。百貨店では贈答品需要の回復が見込まれる一方、土産物店では「観光客の増加はあるが、商品価格改定による購買抑制が懸念される」との声もある。スーパーでは、9月に電気・ガス料金支援が終了した影響で食料品の値上げが続き、家計負担の増加が顕著となっている。担当者は「年末商戦で消費が動く可能性はあるが、現時点では不透明感が強い」と話す。

また、衣料品専門店では「気温が高く冬物販売が苦戦している」「円安と仕入れ価格上昇により販売価格を上げざるを得ない」といった声が多く、厳しい経営環境が続いている。家電量販店では前年の省エネ家電買換えキャンペーンによる反動減から脱し、売上が回復基調にあるが、「高単価商品の売れ行きに偏りがある」との報告もあった。

飲食業では、年末に向けて歓送迎会やイベントの予約が増加しており、「今後2〜3か月は回復基調が続く」と見込まれている。ファーストフード業界では、観光客と地元客の動きが活発化することで売上増が期待されているが、「円安による輸入食材価格の上昇が続くため、利益確保が難しい」との指摘もある。バーや個人経営の飲食店では、「今月は良かったが、来月も好調が続く要因は見当たらない」と慎重な見方も見られた。

製造業に目を向けると、窯業・土石業では前月の繁忙期が落ち着き、受注は横ばい。食料品製造業では「景気が改善する兆しはないが、現状を維持できている」との声がある。一方で、建設業では工事案件の引き合いが続いており、「当面は堅調に推移する」との見方が出ている。住宅販売会社では「手取りが増えることで住宅需要が回復する可能性がある」との期待があるものの、「マンション価格の高騰が県民所得に追いつかず、郊外へのシフトが進んでいる」との現実も浮き彫りになった。

雇用面では、人材確保の難しさが際立っている。人材派遣会社からは「求人を出しても求職者の反応が鈍く、人手不足が続いている」との報告があり、最低賃金引上げによる影響を懸念する声が強い。求人情報誌制作会社でも「12月の最低賃金引上げに伴い、採用コスト増を理由に求人件数が減少する可能性がある」としており、採用活動の慎重化が進む見込みだ。

一方、教育機関では前向きな動きも見られ、専門学校では「2027年卒業予定者向けの求人票の問い合わせが活発で、学生の就職意欲も高い」との報告がある。インターンシップ参加率の上昇や早期内定の増加が見られ、若年層の就職環境は好調に推移している。ただし、求人の質や地域格差に課題が残り、「都市部と地方で就職機会に差がある」との指摘も出ている。

総じて、沖縄の景気は観光業を中心に明るい材料が見られるものの、物価上昇と最低賃金引上げによる企業負担が重く、雇用や消費の回復は限定的である。有効求人倍率は横ばい傾向を示しており、今後の経済回復には賃金上昇と実質消費の改善が不可欠とされる。

この記事の要点

  • 新政権発足により経済への期待が高まるが物価高が続く
  • 観光ホテル予約前年比18%増も翌月は7%減に転じる
  • スーパーや小売で値上げ続き家計の節約志向が強まる
  • 人材派遣・求人業で採用抑制傾向が鮮明化
  • 専門学校生の就職活動は活発化し早期内定者が増加

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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