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2025年11月12日

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求人増加鈍化と採用コスト上昇、2025年10月先行き九州雇用市場の実情

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景気ウォッチャー調査(令和7年10月調査)― 九州(先行き)―(内閣府)

この記事の概要

令和7年10月の九州地方では、新政権誕生と株価上昇を背景に経済への期待感が高まった一方で、物価高や人件費増加による企業経営への不安も根強く残っていることが明らかとなった。百貨店や観光業では年末商戦やインバウンド需要に支えられた明るい見通しが広がるが、スーパーや中小商店では物価高騰による消費抑制が続いている。雇用面では求人は例年並みを維持しているが、最低賃金の上昇に伴う採用抑制が顕在化しており、有効求人倍率の上昇は鈍化している。


九州地方の景気は、新政権発足による経済対策への期待が高まりを見せる中で、年末に向けた消費意欲の回復が見られている。特に百貨店では冬物衣料や歳暮商戦が始まり、来客数の増加が報告されている。営業担当者によると、2025年に入ってから続いていた売上減が10月には前年比100%を超える見込みで、購買意欲の回復傾向が鮮明になっている。高価格帯商品に加え、プレミアム商品券やポイント還元などの利用も浸透し、消費者が工夫しながら支出を維持している様子がうかがえる。

また、観光関連産業でも好調な動きが見られた。特に韓国からの観光客によるゴルフ場予約が前年を上回るペースで推移し、単価の上昇傾向も報告されている。観光型ホテルでは、国内外の旅行者増加を背景に年末年始の予約が堅調であり、閑散期となる12月以降も例年より高い稼働率が見込まれている。一方で、タクシー業界では乗務員不足が依然として深刻で、「短期的な人員増加策を講じることでやや回復が見込まれる」とする声もあるが、供給力の不足が課題として残っている。

一方、スーパーマーケットでは、ガソリン価格の下落や給付付き税額控除への期待があるものの、物価高の影響で消費者の支出が慎重になっている。「歳末セールでの回復を期待しているが、値上げによる購買抑制が強まっている」との声があり、実質的な売上の回復には時間を要する見込みである。家電量販店やコンビニエンスストアでも「値上げによる影響が続き、今後の売上動向は不透明」との見方が広がっており、生活必需品を中心に支出が偏る傾向が顕著である。

製造業では、化学工業や一般機械器具製造業において堅調な動きが見られ、人工衛星関連の部品製造を手掛ける企業からは「次期計画への参画が決まり、将来への投資意欲が高まっている」との前向きな報告もあった。一方、金属製品や繊維業では厳しい状況が続き、「賃金が1500円まで上昇するようであれば、工場の多くが1年もたない」と危機感を示す声が出ている。生産コストの上昇が収益を圧迫しており、賃上げと生産維持の両立が難しい現実が浮き彫りになっている。

建設・不動産業では、材料費や人件費の上昇による採算悪化が続く中で、新政権による公共事業拡大への期待が寄せられているが、「実際の発注増加には時間がかかる」との慎重な見通しが多い。設計事務所では「住宅着工量が減少しており、現場の稼働率は低下している」との声もあり、個人住宅需要の回復にはなお課題が残る。

雇用情勢については、職業安定所の報告によると全体の求人数は減少傾向にあるが、リゾート施設や農林漁業、運輸業などでは前年より新規求人が増加している。一方で、最低賃金引上げに伴い採用抑制の動きが強まっており、人材派遣会社では「企業が求人に制限をかける動きが見られる」との指摘もある。特に介護業界では他業種との賃金差が広がり、「採用環境がさらに厳しくなる」との懸念が高まっている。

新聞社の求人広告部門では「行事やイベントによる季節需要が景気上昇につながる可能性がある」としながらも、全体的な求人件数は大きく増えない見込みである。また、専門学校の就職担当者からは「物価上昇が続き、消費者の節約志向が強まっている」との声が上がり、消費低迷が雇用環境の回復を鈍らせている。

全体として、九州の景気は新政権への期待感によって心理的には明るさを取り戻しているが、実体経済の回復には時間を要する状況にある。雇用は底堅さを保っているものの、最低賃金引上げによる採用抑制が企業経営を圧迫し、有効求人倍率の上昇を抑えている。今後の経済動向は、政府による物価対策と中小企業支援策の実行力に左右される見通しである。

この記事の要点

  • 新政権発足で景気への期待感が高まるも物価高が消費を抑制
  • 百貨店や観光業で売上回復、前年比100%超の店舗も出現
  • 製造業は人工衛星関連で明るい動きも繊維業で倒産懸念
  • 最低賃金引上げが採用抑制を招き求人増加が鈍化
  • 介護業界で賃金格差拡大、人材確保難が深刻化

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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