2025年12月6日
労務・人事ニュース
求人は回復も最低賃金上昇が採用を抑制、2025年10月先行き 近畿労働市場
- 非常勤・サービス業界の看護師/残業なし/即日勤務可/週4日以下
最終更新: 2025年12月6日 01:01
- 福岡県糟屋郡エリア/訪看のお仕事/未経験OK/車通勤可/即日勤務可
最終更新: 2025年12月6日 06:34
- 訪問診療同行のお仕事/看護師/車通勤可/即日勤務可/土日祝休み
最終更新: 2025年12月6日 06:34
- 訪問看護業務および付帯する業務/車通勤可/即日勤務可/土日祝休み
最終更新: 2025年12月6日 06:34
景気ウォッチャー調査(令和7年10月調査)― 近畿(先行き)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年10月の近畿地方における景気ウォッチャー調査では、新政権発足による経済対策への期待が高まる中、百貨店や観光業を中心に前向きな見通しが広がった。一方で、大阪・関西万博の閉幕による一時的な需要減退や、物価上昇、最低賃金の引き上げが企業経営に重くのしかかり、中小企業では求人の出し控えが目立っている。民間職業紹介機関によると、年末に向けて求人数の増加が見込まれる一方、最低賃金の上昇による採用コストの増大が中小企業の経営を圧迫しており、有効求人倍率の伸びは鈍化している。
令和7年10月の近畿地方では、新政権の発足と株価上昇による心理的な明るさが広がっており、百貨店や観光業など消費関連分野で前向きな声が多く聞かれた。百貨店では年末商戦やクリスマス商戦を控えて来客数が安定し、富裕層を中心に高額品への需要が堅調である。外商担当者からは「有名宝飾ブランドの新作への問い合わせが増えている」との報告があり、インバウンド需要による免税売上も前年に比べて2桁増と好調に推移している。円安の影響で外国人観光客の購買意欲が高まり、関西圏の都市型百貨店では売上が前年を上回る勢いを見せている。
観光業でも、新政権の経済政策への期待感と株価上昇を背景に旅行需要が回復しており、観光型旅館では「年末年始に向けて予約が増加傾向にある」との声が多い。特に紅葉シーズンに合わせて観光客数が増加し、宿泊業界全体では稼働率が高水準で推移している。都市型ホテルでは海外からの旅行客が増えており、「円安による訪日客の増加が続いている」との報告もある。ただし、国内客の消費は依然として伸び悩み、「富裕層は支出を維持しているが中間層の消費意欲が戻っていない」との分析が出ている。
一方で、家計への負担は引き続き重く、物価上昇と賃金上昇のバランスが取れていない状況が続いている。スーパーでは食品の値上げが続き、米価の高止まりも相まって生活防衛志向が強まっている。「値上げが続く中で消費は必需品に集中し、その他の支出は控えられている」と店長は語る。コンビニエンスストアでは観光客による来店が増加した一方、地元住民の節約志向が強まり、売上の増加は限定的である。クリスマスや年末商材の価格上昇も影響し、年末商戦への期待感はあるものの、現場では慎重な姿勢が続いている。
製造業では、化学工業や金属製品製造業で明るい兆しが見られた。化学工業では食品関連の需要が年末に向けて堅調であり、インバウンドによる消費増も見込まれている。木材・木製品製造業では新規事業の立ち上げによって先行きに期待感が広がり、「年末には軌道に乗る見込み」とする企業もある。一方で、窯業・土石製品製造業や建設業では資材価格の高騰が続き、採算の悪化が経営を圧迫している。「資材価格が上がる中で価格転嫁が難しく、先行きに不安がある」との声が上がっており、特に住宅関連業では新築需要の減少が目立つ。住宅価格の高止まりと金利上昇が重なり、「実需層の購入が難しくなっている」との報告もあり、住宅市場は全体的に停滞気味である。
雇用情勢を見ると、年末に向けて求人はやや増加傾向を示している。民間職業紹介機関によると「年末に向けて求人数が増えそうだ」との声が上がり、特にサービス業や製造業で求人需要が拡大している。職業安定所では「地場産業の製造業や卸売・小売業で業績が好調な企業が増えている」との報告があり、求人活動が活発化していることが確認されている。また、2027年卒業予定の学生を対象とした採用活動が早くも本格化しており、「企業の採用予算は前年よりも増加傾向にある」と指摘されている。一方で、最低賃金の引き上げによる影響が中小企業を直撃しており、採用を見送る企業も出始めている。「賃金上昇によって従業員の給与を調整せざるを得ず、新規採用が難しい」とする経営者の声も多く、人件費負担が経営を圧迫している。
最低賃金の大幅な上昇は労働市場全体に影響を及ぼしており、職業安定所では「求人の出し控えや既存社員との賃金調整が必要」との懸念が示されている。人手不足による受注調整を行う企業も増えており、「案件があっても人手が確保できずに受注を見送るケースが増えている」との報告もある。これにより、有効求人倍率の上昇は鈍化しており、企業の採用マインドには依然として慎重さが残っている。
総じて、近畿地方の経済は新政権発足と株高による明るさを見せつつも、物価高と人件費増が企業経営の重荷となっている。雇用は底堅く推移しているものの、賃金上昇と採用コストの増大によって中小企業の体力が問われる局面にあり、今後の景気動向は政策の実行力と消費回復のバランスに左右される見通しである。
この記事の要点
- 新政権発足で経済期待が高まるも物価高と人件費増が企業を圧迫
- 観光業と百貨店で富裕層を中心に需要回復、免税売上は前年比2桁増
- 住宅市場は高止まりと金利上昇で停滞傾向が続く
- 年末に向けて求人増加傾向も採用コスト上昇が課題
- 最低賃金引上げで中小企業が求人を抑制、有効求人倍率の伸びが鈍化
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


