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2025年12月20日

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2025年7月〜9月の調査で明らかになった転職補充困難39.1%が示す採用難の深刻さ

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2025年11月26日 小企業の雇用・賃金に関する調査結果(日本公庫)

この記事の概要

2025年7~9月期における小企業の雇用と賃金の実態では、従業員過不足DIが31.2と2期ぶりに上昇し、人手不足がより深刻化していることが示された。給与水準DIは47.8となり5年連続で上昇しており、特に情報通信業や飲食店・宿泊業などで上昇割合が高い。所定内給与や平均時給、賞与、賃金総額の多くが「上昇」と回答され、多くの企業で人件費の増加が続いている。


2025年7~9月期の小企業動向を見ると、従業員の過不足に関するDIが31.2となり、前回調査から1.9ポイント上昇したことが報告されている。このDIは「不足」企業割合から「過剰」企業割合を差し引いた値であり、「不足」と答えた企業は38.4%、「過剰」とした企業は7.2%であった。特に運輸業では61.8%が人手不足を訴えており、情報通信業や建設業でも58%台の水準が示されるなど、人手不足が広く続いていることが確認できる。

従業員数の推移をみると、1年前に比べて「増加」と回答した企業は10.8%であり、運輸業が15.0%、建設業が14.2%、飲食店・宿泊業が12.9%と比較的高い割合を示した。一方で、今後の方針では「増加」が37.0%となり、多くの企業が採用意欲を高めていることが伺える。また従業員数が減少した理由には「転職者の補充が採用できなかった」が39.1%と最多で、採用難が継続している構造が浮き彫りになった。

人手不足が企業活動に与える影響としては、「需要の増加に対応できない」が44.9%、「人手を確保するため賃金を上げている」が42.7%となった。対応策では「増員」や「賃金の引き上げ」、「従業員の多能化」が増加した一方、「仕事の外注化」や「機械化・IT化」といった施策は低下しており、内製化の強化傾向がうかがえる。

給与水準に関しては、2025年の給与水準DIが47.8となり、前期より5.0ポイント上昇した。給与が「上昇」と答えた企業は50.7%であり、従業員規模が大きいほど上昇割合も高い傾向が示されている。業種別では情報通信業が63.0%と最も高く、次いで飲食店・宿泊業が55.0%、製造業が54.7%と続いていた。給与上昇の背景には「最低賃金の改定」が55.6%、「人材の定着・確保」が55.2%、「物価の上昇」が41.3%と続いており、多くの企業が外部環境に押し上げられる形で賃上げを進めている状況が確認できる。

給与が変わらなかった、あるいは低下した理由としては、「利益が確保できていない」が68.0%と圧倒的に多く、収益力の弱さが賃上げの壁となっていることが指摘される。また「借入金返済を優先」が31.5%、「十分な水準と考えている」が19.2%など、財務状況や既存の給与水準が据え置きの要因となっている。

所定内給与では2025年の実績で「上昇」が48.4%、「ほとんど変わらない」が48.9%、「低下」が2.7%であった。情報通信業で68.2%、運輸業で56.6%、建設業で56.2%が「上昇」と回答するなど、業種による差が明確となっている。同様に非正社員の平均時給も49.3%が「上昇」と回答しており、もっとも高い増加割合は情報通信業の60.7%、次いで飲食店・宿泊業が59.7%であった。

賞与では2025年の支給月数が「増加」と回答した割合が18.4%で、「ほとんど変わらない」が39.2%、「減少」が6.5%となった。規模が大きいほど賞与増加の割合が高い傾向がみられ、業種別では建設業の27.9%、製造業の22.0%が増加と回答している。

賃金総額の実績では、2025年に「増加」と答えた企業が51.2%、「ほとんど変わらない」が41.4%、「減少」が7.4%となった。増加の割合は情報通信業が58.7%と最も高く、飲食店・宿泊業が55.0%、運輸業が54.7%と続いており、多くの業種で人件費負担の増大が継続している。

以上の調査結果を見ると、中小企業においては人手不足の深刻化と賃金上昇が同時に進行し、その一方で収益の確保が難しい企業が多く存在する構造が明らかとなった。今後も雇用確保や賃上げと経営のバランスが課題となり、採用意欲が高い企業ではより一層の人材戦略が求められる。

この記事の要点

  • 従業員過不足DIは31.2で人手不足が進行
  • 給与水準DIは47.8で5年連続の上昇
  • 所定内給与は48.4%が上昇と回答
  • 平均時給は49.3%が上昇している
  • 賞与の増加割合は18.4%にとどまる
  • 賃金総額は51.2%が増加と回答

⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ

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