2025年12月16日
労務・人事ニュース
海外進出企業7,485社調査、2025年黒字予測66.5%の最新動向
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ジェトロ 2025年度 海外進出日系企業実態調査(全世界編) ―大きく変化する経営環境下でも、海外で稼ぐ日系企業―(JETRO)
この記事の概要
2025年度の海外進出日系企業実態調査では、世界82カ国・地域の1万7,708社を対象に実施したアンケートから7,485社の有効回答が得られ、黒字見通しの企業割合が66.5%に達するなど、厳しい経営環境下でも海外で稼ぐ企業が増加している実態が示された。米国の追加関税措置による影響、人手不足、賃金上昇など世界的な環境変化が続く中でも、インドやアフリカなどで事業拡大の意欲が高まり、人権デューディリジェンスへの取り組みも広がっている。
2025年11月20日に公表された海外進出日系企業実態調査は、海外事業の現状を全世界的に把握する唯一の定量調査として毎年実施されている。今回の調査は2025年8月から9月にかけて行われ、海外82カ国・地域に所在する日系企業1万7,708社を対象にオンラインでアンケートが配布・回収された。その結果、7,485社から有効回答が得られ、有効回答率は42.3%となった。世界経済の減速や国際情勢の不確実性が続く中で、海外で事業を展開する企業の実態がデータから明らかになっている。
調査では、営業利益の見通しが詳細に分析されており、2025年に黒字を見込む企業の割合は66.5%となった。黒字割合は2年連続で増加し、地域別では中東、南西アジア、中南米で7割を超え、アフリカでも初めて6割を超えている。一方で、米国との取引が多いメキシコ、ブラジル、韓国では、追加関税措置の影響から今後の業績悪化を見通す企業が増加しており、地域によって経営環境が大きく異なることが浮き彫りとなった。
事業展開の方向性では、インドで2年連続して8割超の企業が事業拡大を選択しており、アフリカでも製造業を中心に7割が拡大を志向している。グローバルサウス地域での展開が進む背景には、新興市場の成長期待や市場分散の必要性がある。業種別では医薬品、食品・農水産加工品などで7割以上の企業が拡大を検討しており、消費需要の増加を見越した動きが続いている。
米国の追加関税措置については、対米輸出を行う企業全体の約4割がマイナス影響を大きいと回答した。メキシコや中国ではその割合が5割を超え、自動車や自動車部品を中心としたサプライチェーンで影響が広範囲に及んでいることが明確になった。また、米国市場での需要減退に加えて、進出先市場で中国企業など第三国との競争が激化している点も懸念として挙げられた。これらに対応するため、企業はコスト削減、調達先の分散化、販売網の強化など、サプライチェーンの見直しを積極的に進めている。
人手不足は世界的に深刻化しており、過去2年間の人材確保状況では「悪化」と回答した企業が3割を超えた。特にベトナム、ブラジル、インドなど高い拡大意欲を持つ地域で悪化傾向が顕著であり、成長市場ほど人材確保が困難になっている。競合は地場企業が中心だが、ベトナムでは中国系企業が最大の競争相手となっている。企業の半数以上は福利厚生の改善、労働環境の見直し、賃上げなどで対応しているほか、大学連携やSNSを利用した採用、スキルアップ支援、社内イベントによる定着率向上など、採用と育成の双方に取り組む姿勢が示されている。
人権尊重の取り組みでは、人権デューディリジェンスを実施する企業が3割を超え、輸送用機器分野では6割以上が実施しており、2023年度調査から大幅に増加している。企業が挙げた効果としては「社内の人権リスク低減」が約8割、「従業員の働きやすさ改善」が4割を超えており、海外拠点の労働環境の改善につながる取り組みが進展している。
今回の調査結果は、世界的な事業環境の変動が続く中でも、海外で収益を確保しながら成長を図る企業が多いことを示すものとなった。同時に、地域ごとの課題を可視化し、今後の事業戦略の再構築に向けた重要な指標として位置づけられる。
この記事の要点
- 調査対象1万7,708社のうち7,485社が回答し回答率42.3%
- 2025年に黒字見込みの企業割合は66.5%で2年連続増加
- 中東、南西アジア、中南米で黒字企業が7割超
- インドで拡大志向が8割超、アフリカ製造業は7割
- 対米輸出企業の約4割が関税措置のマイナス影響を回答
- 人材確保は3割以上が悪化、ベトナムやインドで顕著
- 人権デューディリジェンス実施企業は3割超、輸送用機器では6割超
⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ


