2025年12月22日
労務・人事ニュース
2024年4月に義務化された合理的配慮への対応で事業者が押さえるべきポイント
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最終更新: 2025年12月22日 00:36
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事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化(政府広報オンライン)
この記事の概要
2024年4月1日から事業者による合理的配慮の提供が義務化され、障害のある人が社会生活で直面するバリアを取り除くための対応が求められるようになった。対応は個別の場面ごとに異なり、事業者と障害のある人が建設的に対話を行うことが重要である。2025年4月からは相談窓口の運用も本格化し、さまざまな相談手段が整備された。
障害のある人もない人も互いを尊重しながら生活し、社会の一員として活動できる環境を整えるためには、身の回りに存在するさまざまなバリアを取り除くことが欠かせない。障害者差別解消法は2013年に制定され、障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止を基本とし、合理的配慮を通じて障害のある人の活動の制限を減らすことを目的としている。この法律における障害者の範囲は広く、身体・知的・精神の障害だけでなく、社会に存在するバリアによって生活に制限を受ける人も対象となる。
事業者とは、営利か非営利かを問わず、反復してサービスを提供する意思を持つ者のことであり、企業だけでなく個人事業主やボランティアとして活動するグループも含まれる。事業者は障害を理由に正当な根拠なくサービスの提供を拒否することはできず、障害のない人と比較して不当に不利な扱いをすることは不当な差別的取扱いに該当しうる。例えば入店の拒否や、障害のある人だけ接遇の質を下げる対応などが典型例として示されている。
合理的配慮とは、障害のある人が社会生活で直面する制限を軽減するために、個々の場面に応じて必要な調整や工夫を行うことである。2024年4月1日からは事業者による合理的配慮の提供が義務化され、対応が不十分な場合には行政機関による助言や指導、さらには勧告が行われる場合もある。合理的配慮は一律の対応ではなく、あくまで状況に応じた柔軟な判断が求められる。
具体的な合理的配慮としては、車椅子利用者が飲食店で席に着くために椅子を片付けてスペースを確保する対応が挙げられる。また、弱視難聴の人が筆談を希望する際に細いペンが読みづらいという申し出があった場合、太いペンで大きく文字を書くことも合理的配慮となる。他にも、文字の読み書きに時間を要する人がホワイトボードの内容を写しきれない場面では、写真撮影を許可するという柔軟な変更も含まれる。
合理的配慮が求められる一方で、事業者に過重な負担となる対応は義務の対象外とされている。判断の際には事務や事業の目的や機能への影響、実現可能性、費用負担の程度、事業規模、人的体制などが総合的に考慮される。例えば、飲食店が食事介助を求められた場合、その店が介助を事業として行っていないのであれば対応できないと判断され、それは合理的配慮の義務違反には当たらないとされている。
合理的配慮の内容は個別性が非常に高いため、事業者と障害のある人が互いに情報を共有しながら解決策を見つける姿勢が重要となる。この対話を建設的対話と呼び、双方が状況や希望、制約を共有することで現実的な方法を見つけることが可能となる。習い事教室で騒音に敏感なこどもが集中できない場面では、防音工事が難しいという制約があっても、イヤーマフを使う方法を対話の中で見いだすことができた事例が示されている。
対話の際に避けるべき考え方も示されており、前例がないことを理由に対応を断る態度や、障害のある人を特別扱いと捉えて配慮を拒む姿勢、漠然とした危険の可能性のみを根拠に否定する対応、特定の障害をひとまとめにして対応できないと判断する考え方は、いずれも適切とは言えない。合理的配慮は特別扱いではなく、社会で互いに同じ機会を得るための調整であるという理解が不可欠である。
そして2025年4月からは、障害者差別に関する相談窓口が本格的に運用されている。この窓口は、合理的配慮や不当な差別的取扱いに関する相談を受け付け、内容を適切な窓口へ取り次ぐ役割を持つ。相談はフォームや手話を含む複数の方法で受け付けられ、平日のみならず利用できるなど利便性が高まっている。相談内容を受けた窓口では、状況に応じた事実確認や調整が行われ、問題の解決を図る流れとなっている。
合理的配慮や不当な差別的取扱いに関する判断は、どれも個別の場面ごとに検討する必要があるため、事業者側も障害のある人側も共通の理解を持ち、相談できる環境が整っていることが重要である。困ったときに相談できる窓口があることで、障害のある人が安心して社会生活を送ることができ、事業者も適切な対応を進めやすくなる。障害のある人もない人も、人として互いを認め合いながら共に生きる社会の実現に向け、制度の理解と対話を重ねていくことが求められる。
この記事の要点
- 2024年4月から合理的配慮が事業者の義務になった
- 合理的配慮は個別の事情に応じた柔軟な対応である
- 過重な負担の場合は義務の対象外となる
- 建設的対話によって最適な対応を模索することが重要
- 2025年4月から相談窓口が本格運用され相談体制が強化された
⇒ 詳しくは政府広報オンラインのWEBサイトへ


