2025年12月22日
労務・人事ニュース
所有者不明土地問題を3つの新制度で解決へ導く2026年の改革
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最終更新: 2025年12月22日 00:36
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相続登記が義務化!所有者不明土地を解消する不動産・相続の新ルールとは?(政府広報オンライン)
この記事の概要
相続登記を行わないまま土地が放置され、所有者の特定が困難になるケースが全国で増え続けている。所有者不明土地の面積は九州より広いとされ、防災や開発を妨げる社会問題になっている。2024年4月からは相続登記が義務化され、2026年には住所変更登記の義務化も始まる。新制度や相続土地国庫帰属制度の創設など、土地管理を適正化する仕組みが整備されている。
土地の相続に伴って名義変更が行われず、登記簿を確認しても所有者の特定ができない所有者不明土地が全国で増えている。所有者が分かっていても住所変更がされず所在が不明となるケースも多く、両者を合わせた面積は九州の面積を上回ると言われるほど深刻である。2022年度に行われた地籍調査事業では、不動産登記簿だけでは所在が判明しなかった土地の割合が24%に達し、今後も増加が予想されている。相続登記を放置すると数十年の間に相続人が増加し、権利関係が複雑化して管理や処分が困難になることが背景にある。
所有者が不明な土地が増えると、管理されないままの土地が荒廃し、周辺環境や治安に悪影響を与える。雑草や建物の老朽化が進み、安全面の不安が高まるだけでなく、防災対策のために必要な工事も所有者が分からないために着手できず、危険箇所が放置される状況が生じる。また、公共事業や市街地開発などの買い取り交渉にも支障が出て、地域の活性化を阻害するなど、所有者不明土地は社会全体の課題となっている。
この問題に対応するため、2021年4月に民法と不動産登記制度の大幅な見直しが行われた。所有者不明土地の発生を予防し、すでに生じている土地の利用を円滑に進めるため、複数の制度が導入された。その中核となるのが、相続登記の義務化である。これまで任意だった相続登記は、2024年4月から義務化され、相続人は所有権を取得した日から3年以内に申請しなければならない。また、遺産分割が成立した場合には、その成立日から3年以内の登記が必要で、正当な理由なく申請しなかった場合は10万円以下の過料が科される。
相続に関する手続きがまとまらない場合には「相続人申告登記」が2024年4月から導入されている。これは遺産分割が未確定であっても、自分が相続人であることを申し出ることで申請義務が果たせる制度であり、戸籍謄本を提出するだけで簡易に手続きが行える。相続登記を放置しがちだった人にとって利用しやすい制度として位置づけられている。
さらに、2026年4月からは住所変更登記が義務化される。所有者は住所などを変更した日から2年以内に登記を行う必要があり、怠った場合は5万円以下の過料の対象となる。この仕組みにより、長期間所在が不明となるケースの減少が期待されている。2026年には公的機関との情報連携により、所有者の住所変更が自動的に登記へ反映される仕組みも導入される予定で、長く問題視されてきた所有者情報の更新が改善される。
一方で、相続したものの使い道がなく、管理が負担となっている土地を手放せず困っている人も多い。こうした課題に対応するため、2023年4月には相続土地国庫帰属制度が創設された。相続や遺贈によって土地を取得した相続人であれば申請でき、国の承認を受けた上で負担金を納付することで土地を国に引き渡すことができる。申請時には1筆につき1万4,000円の審査手数料が必要で、承認後にはその土地の管理費用を基に算定される10年分の負担金を納付する。隣接する同種の土地であれば負担金は原則20万円となるが、宅地や農用地、森林では面積に応じた金額となる場合もある。
また、すでに発生している所有者不明土地を適切に活用するための制度整備も行われている。2023年4月には土地や建物のみに特化した財産管理制度が導入され、所有者の所在が不明だったり管理が不十分な場合に、利害関係人が裁判所に申し立てることで管理人を選任できるようになった。これにより、防災工事や取引が進められず停滞するケースの解消が期待される。
共有状態の土地についても問題解決に向けた見直しが行われている。共有者の所在が不明な場合には裁判所の決定を得ることで残りの共有者が管理や変更行為を行えるようになり、共有物を軽微に変更する際は持分の過半数で決定が可能となる。さらに、共有関係を解消する手続きも整備され、共有者が所在不明であっても裁判所の決定を経て持分を取得しやすくなった。
相続分に関する新たなルールも導入されている。相続が発生しても遺産分割が行われないまま長期間放置されると、相続が重なり相続人が増加して権利関係が複雑になり、遺産分割が一層困難になる。2023年4月からは死亡から10年を経過した後の遺産分割は、原則として法定相続分や遺言による指定相続分で画一的に行うこととされ、長期放置の問題解消が期待されている。
隣地トラブルの予防や土地の円滑な利用を促すための相隣関係の見直しも行われている。隣地の所有者が不明な場合でも必要な同意を得られず困るケースが多かったが、隣地使用権やライフライン設備の設置、越境した枝の切り取りに関するルールが整備され、土地の適正利用が進めやすくなった。
こうした制度の見直しは、所有者不明土地を減らし、地域の安全や経済活動を支えるための重要な取り組みである。相続登記や住所変更登記を適切に行うことは、個人の財産管理にとっても社会全体にとっても大きな意義がある。相続や不動産に関する手続きを正確に行い、トラブルを未然に防ぐことが今後の課題となっていく。
この記事の要点
- 所有者不明土地は九州より広い面積とされ社会問題化
- 相続登記義務化は2024年4月からで申請期限は3年以内
- 住所変更登記義務化は2026年4月からで2年以内に申請
- 申請を怠ると相続登記は10万円以下、住所変更は5万円以下の過料
- 相続人申告登記により相続人は簡易に義務を果たせる
- 相続土地国庫帰属制度は審査手数料1万4,000円と負担金が必要
- 土地管理制度や共有制度の見直しが2023年から施行
- 遺産分割が10年以上放置された場合は法定相続分で画一化
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