労務・人事ニュース

広告

福岡県の最低賃金（地域別・特定「産業別」）（福岡労働局）

この記事の概要

福岡県において5つの産業別特定最低賃金が改定され、製鉄業や電子部品関連、輸送用機械、自動車小売業などで1時間あたり1,065円から1,176円の範囲で新たな水準が示された。施行日は業種により異なり、2025年12月10日または2026年2月1日となる。最低賃金は雇用形態に関係なく全ての労働者に適用され、対象外の産業には地域別最低賃金が適用される。

福岡県で新たな特定最低賃金が公表され、5つの産業に対して適用される最低賃金が明確に示された。今回の改定は、働く人が安心して就労できる環境づくりを目的に設定されており、労働者全体の賃金水準を適切に守るための重要な基準となる。特に産業別に最低賃金が定められる仕組みは、業種ごとの労働内容の違いや経済状況を踏まえて設計されており、より実態に即した形で最低賃金が適用される点に特徴がある。

今回示された産業別最低賃金のうち、1時間あたり1,176円が適用されるのは製鉄業や製鋼・製鋼圧延業、鋼材製造業であり、これらは2025年12月10日から適用される。製造プロセスが多岐にわたるこれらの業種では、一定の技術力と安全性が求められる背景から、比較的高めの特定最低賃金が設定されていると考えられる。また、電子部品や電気機械器具、情報通信機械器具の製造業では1時間あたり1,137円が定められ、同じく2025年12月10日に施行される。高度な工程が求められる分野であることから、産業全体として専門性を反映した金額となっている。

輸送用機械器具製造業では1時間1,147円とされ、こちらも2025年12月10日に適用される。この業種は自動車をはじめとした輸送機器の製造に関わる分野であり、国内でも需要が多く、専門性や技術水準が求められる業種であることが背景にあると考えられる。さらに、自動車の新車小売業については1時間あたり1,131円が設定されており、施行日は同じく2025年12月10日となる。販売現場での専門知識や接客対応が求められる業務であり、一定水準以上の賃金額が必要とされる。

一方、百貨店や総合スーパーマーケットに適用される最低賃金は1時間あたり1,065円で、ほかの業種とは異なり2026年2月1日からの適用となる。多岐にわたる業務を担当する職場であることから、多様な働き方に対応するべく産業別の基準が設けられている。

今回の特定最低賃金に該当しない産業については、福岡県の地域別最低賃金が適用されることになり、業種ごとの特性により適切な基準が用意されている。また、最低賃金は正社員だけに適用されるものではなく、パートタイマーやアルバイト、派遣労働者を含むすべての労働者に適用される。働く形態に関係なく最低限守られるべき賃金水準が統一されている点は、労働者の生活を支えるうえで重要である。

最低賃金に含まれない賃金項目も明確に示されており、精皆勤手当や通勤手当、家族手当、時間外や休日労働の割増賃金、賞与、臨時の賃金は最低賃金額の比較対象にはならない。月給制の労働者は、月給を1か月平均の所定労働時間で割って計算し、最低賃金を下回らないか確認する必要がある。また派遣労働者については、派遣先で適用される最低賃金額が基準となるため、派遣元ではなく派遣先の賃金水準で判断される点も重要である。

今回の発表は、労働者の賃金水準を守り企業側にも明確な基準を提示するものであり、働く側と採用する側双方にとって必要な情報となる。最低賃金の適正な運用は現場の働きやすさや採用の安定にもつながるため、制度を正しく理解することが重要である。

この記事の要点

• 5つの産業別最低賃金が改定され金額が明示された
• 施行日は2025年12月10日または2026年2月1日
• 最低賃金は全ての労働者に適用される
• 最低賃金に含まれない賃金項目が明確に示されている
• 対象外の産業は地域別最低賃金が適用される

⇒ 詳しくは福岡労働局のWEBサイトへ

広告