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令和7年10月分　一般職業紹介状況（宮崎労働局）

この記事の概要

令和7年10月の宮崎県の有効求人倍率は1.17倍となり、前月より0.04ポイント低下しました。求人が減少する一方で求職者は増加しており、雇用市場には変化の兆しが現れています。新規求人は前年同月比で14.9％減となるなど、求人の動きは弱含みが続き、中小企業にとって採用活動の難易度が上がっています。本記事では、労働局が公表した数値をもとに、採用担当者がどのように戦略を組み立てるべきかを詳しく解説します。

宮崎労働局が公表した令和7年10月の雇用情勢によると、有効求人倍率（季節調整値）は1.17倍となり、前月の1.21倍から0.04ポイント低下しました。この低下は求人が減少し、一方で求職者が増加したことによるもので、求人側が優位にあった環境に変化が生じ始めていることを意味しています。有効求人倍率が1倍以上である状況が124か月連続となっている点からは、県内の労働市場が依然として求人数が求職者数を上回る状態であるものの、その強さは確実に鈍化しています。企業側が採用を抑制し始めたことが、数値に如実に表れています。

有効求人数は前月比で3.1％減となり、原数値では前年同月比で9.4％減少し、27か月連続で前年割れが続きました。求人数の減少がここまで長期間続いていることは、企業の採用活動が慎重化していることを示す重要な指標です。特に物価上昇による人件費負担の増加や、景気の先行き不安により、採用計画を見直す企業が増えています。一方、有効求職者数は前月比で0.2％増、前年同月比で1.3％増と上昇しており、求職者数が増えることで倍率は低下しました。

新規求職者数は4,313人で前年同月比0.1％減と小幅な減少にとどまりましたが、その内訳を見ると在職者が1.9％増、離職者が0.7％減、無業者が3.1％減となっており、求職者の背景が多様化しています。特に在職者の求職増加は、転職を視野に入れながらより良い条件を探す人が増えていることを示しており、この動きは採用市場の競争が高まっているサインともいえます。求職者が現職を維持しつつ慎重に転職先を選ぶ傾向が強まれば、企業にとっては応募者を確保するための魅力訴求力がこれまで以上に求められます。

新規求人は8,941件で前年同月比14.9％減と大幅に減少しました。特に産業別の動きを見ると、医療・福祉で15.0％減、卸売・小売業で35.9％減、製造業で32.5％減など、多くの主要産業が前年より大幅に採用を縮小しています。これらの数値は、県内経済の幅広い分野で採用意欲が落ち込んでいることを示しています。医療・福祉分野の求人減少は、慢性的な人手不足にもかかわらず採用が進まない状況を反映しており、働き手不足と採用コスト増加の双方が企業の負担となっていることが推測されます。

一方で、新規求人が増加した産業としてサービス業（他に分類されないもの）が31.5％増となっており、産業ごとに採用意欲の差が大きく出ています。また、農林漁業は15.8％増、学術研究・専門技術サービス業は24.0％増となっており、特定の分野では人材確保の動きが加速しています。このような業界間の二極化は、採用担当者が自社の属する産業の動向を冷静に評価し、採用難易度を理解した上で採用戦略を組み立てる必要があることを示しています。

地域別に有効求人倍率を見ると、宮崎所が1.27倍、延岡所が1.16倍、日向所が1.14倍、都城所が1.09倍、日南所が1.10倍、高鍋所が1.03倍、小林所が1.27倍となりました。地域によって求人と求職のバランスは大きく異なり、特に延岡所や都城所などでは前年同月比で大幅な低下が見られました。地域の特性を理解し、採用ターゲットを限定し過ぎず柔軟に広げていくことが必要です。たとえば、自社所在地の倍率が高く採用競争が激しい地域にある企業であれば、近隣地域にも視野を広げることで応募者数を確保しやすくなります。

正社員の有効求人倍率は1.04倍と前年同月比0.11ポイント低下し、正社員採用の難易度が上昇しています。正社員の有効求人数は12,442人で前年より減少し、常用フルタイムの求職者数は11,977人でほぼ横ばいでした。求人数が減っているにもかかわらず求職者数は減っていないため、採用の競争はさらに激しさを増しています。正社員採用を求める企業が多数ある一方、求職者の希望する条件とのミスマッチが起きやすく、中小企業にとっては採用戦略を工夫する重要な局面です。

これらの雇用データから、中小企業の採用担当者がどのように採用活動を進めるべきかを考えると、いくつかの重要な観点が浮かび上がります。

まず、有効求人倍率が下がり始めていることは、企業間の採用競争が急激に緩和されることを意味しているわけではありません。求人が減っているだけで求職者が大幅に増えているわけではないため、少ない候補者を多くの企業が取り合う構図は今後も続きます。そのため、自社を選んでもらうための魅力提案が不可欠です。給与水準や福利厚生だけでなく、職場環境の透明性、社員育成制度、働き方の柔軟性など、求職者にとって重要な情報を具体的に提示する必要があります。

次に、新規求人の減少は求職者の選択肢が狭まる一方で、企業の姿勢や情報発信が採用の成果を左右する度合いが高まることを意味します。求人票の作成においては、必要なスキルや業務内容を明確に伝えると同時に、未経験者や異業種からの転職者にも門戸を開きやすい書き方を心がけることが効果的です。人材不足が続く宮崎県においては、経験の有無にかかわらず柔軟に採用する姿勢が企業の成長力につながります。

また、求職者の動向を見ても、在職者の求職が増えていることから、働きながら転職活動を行う「慎重な転職者」が増えていると言えます。この層に向けては、応募後の対応スピードが極めて重要になります。連絡が遅い企業はそれだけで候補者の関心を失いやすくなります。応募から面接設定までの期間を短縮し、オンライン面接など求職者に配慮した柔軟な手法を用いることが効果的です。

地域間の倍率の違いも採用戦略に大きな示唆を与えます。例えば都城所は1.09倍と県平均より低く、求職者が比較的多い地域であるため、通勤圏を広げられる企業であれば採用しやすい可能性があります。反対に延岡所や小林所など倍率が高い地域では採用競争が激しいため、条件の提示方法や働き方改善への取り組みが応募獲得に大きく影響します。

さらに、産業別の求人の動きから見えるポイントとして、製造・小売・医療など主要産業での求人減が目立つ一方、サービス業や専門職で求人が増加しています。中小企業は自社の業界における求人動向を把握することで、市場の中でどのように差別化すべきかを考えることが重要です。業界全体で求人が減っている場合、自社の採用条件の魅力を高めることで競合より一歩先に進むことができます。

長期的には、人口減少が続く宮崎県において人材確保は構造的な課題であり、採用活動における継続的な改善が必要です。採用だけでなく定着支援にも力を入れ、働き続けやすい環境を整えることで企業の競争力は大きく高まります。

この記事の要点

• 宮崎県の有効求人倍率は令和7年10月時点で1.17倍
• 求人は27か月連続で前年割れし減少基調
• 新規求人は前年同月比14.9％減と大幅減
• 新規求職者は微減だが在職者の求職が増加
• 地域ごとに求人倍率に差が大きく採用難易度が異なる
• 正社員求人倍率は1.04倍で採用競争が続く
• 求人票の情報量と具体性が応募数を左右
• 選考スピードと柔軟な面接対応が求職者確保に不可欠
• 産業別求人の二極化が進み採用戦略の見直しが必要

⇒ 詳しくは宮崎労働局のWEBサイトへ

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