2025年12月27日
労務・人事ニュース
徳島県の2025年10月求人倍率1.20倍から読み解く採用環境の変化
- 薬剤師調剤薬局での勤務/春日市でのお仕事/WワークOK,車通勤OK,ミドル・シニア歓迎,交通費支給,社会保険完備
最終更新: 2025年12月26日 07:01
- 薬剤師調剤薬局での勤務/飯塚市でのお仕事/車通勤OK,ミドル・シニア歓迎,交通費支給,社会保険完備
最終更新: 2025年12月26日 07:01
- 商社での営業のお仕事/英語活用/未経験OK/営業
最終更新: 2025年12月27日 00:36
- 薬剤師調剤薬局での勤務/福岡市南区でのお仕事/車通勤OK,資格取得支援あり,交通費支給,社会保険完備
最終更新: 2025年12月26日 07:01
最近の雇用失業情勢(令和 7 年 10 月分)(徳山労働局)
この記事の概要
令和7年10月の徳島県の有効求人倍率は1.20倍となり、前月から小幅に上昇したものの、求人・求職ともに微減する中で横ばいで推移しています。新規求人数では製造業や建設業が伸びた一方、不動産業・運輸業などで大幅減がみられ、産業によって採用環境が大きく異なる状況です。本記事では、徳島労働局の詳細データを読み解きながら、中小企業の採用担当者が有効求人倍率をどう活用し、採用戦略をどう構築すべきかを独自の視点で解説します。
令和7年10月に公表された徳島労働局の雇用情勢によると、徳島県の有効求人倍率は季節調整値で1.20倍となりました。これは前月を0.01ポイント上回るわずかな上昇で、雇用環境は大きな改善こそ見られないものの、一定の持ち直しが続いている状態と言えます。求人が求職を上回る状況は引き続き維持されており、企業側にとって人材確保の難しさが続く一方で、求職者にとっては働く場の選択肢が広めに存在する市場環境が形成されています。
この状況をさらに深く理解するためには、求人・求職の構造を細かく見ていく必要があります。徳島県の有効求人数は15,584人で前年同月比0.9%増となりました。対して有効求職者数は13,105人と前年より4.7%減少し、人材側の数が減ることで倍率が上昇する構図となっています。求職者数の減少は、県内における人口構造の変化や働き手不足の構造的な要素が背景にあると考えられ、特に若年層の求職者数が長期的に減少傾向にあることがデータから確認できます。
新規求人数を見ると、全体では5,854件で前年同月比0.2%減と微減となりました。しかし、産業別に見ると大きな違いが現れています。建設業は10.2%増、製造業は15.5%増、医療・福祉は1.7%増など需要の強さが続いている分野があります。一方で、不動産業・物品賃貸業が63.0%減、運輸業・郵便業が17.4%減と需要の落ち込みが顕著な業種も存在しており、産業ごとの二極化がより鮮明になっています。
この中で大きな特徴となっているのが、医療・福祉分野の求人数の厚みです。医療・福祉だけで1983件と非常に大きな比重を占め、地域として高齢化が進んでいる影響も強く反映されています。高齢化が進む地方では介護関連の人材需要が安定的に高いため、中小企業が異業種から人材を採用する際には、この分野の需要動向を参考にしつつ、自社の求人情報と比較して待遇や働き方を改善する必要があります。
また、地域別の有効求人倍率を見ると、県央は1.24倍、県西は1.06倍、県南は0.96倍と地域ごとに差が見られます。特に県南地域は1倍を下回る倍率となっており、求人より求職が上回るエリアも存在します。中小企業の採用担当者は、こうした地域特性を踏まえ、採用ターゲットの設定や広告の出し方を工夫することが必要です。例えば、倍率が低い地域では応募が集まりやすいため、勤務地を柔軟に設定できる企業はその地域を対象に採用活動を展開することで、より効果的に人材確保ができる可能性があります。
さらに、新規求人倍率は2.22倍と依然として高く、新規求人を出すと複数の企業が同じ求職者を奪い合う競争状態にあります。これは、求人を出すだけでは応募が集まりにくいことを示しています。特に中小企業においては、求人票の内容を明確にし、働く環境の強みがわかりやすく伝わる表現が求められます。給与だけでなく、働く人のキャリアアップ支援や柔軟な勤務形態を提示することで、求職者が応募しやすい状況を作る必要があります。
年齢別の就職状況を見ると、45歳以上の常用就職件数が206件と高い割合を占めており、ミドルシニア層の就業意欲が非常に強いことがわかります。これは中小企業の採用戦略にとって重要なポイントであり、即戦力となり得る経験豊かな人材を積極的に受け入れることで、長期的な人材不足の解消にもつながります。求人倍率が職種によって大きく異なる点も見逃せません。例えば、保安職業従事者の倍率は7.23倍、建設・採掘従事者は4.38倍と非常に高い水準にあり、これらの職種は慢性的な人材不足に直面しています。逆に一般事務従事者は0.51倍と求人より求職者が多い構造となっており、事務職希望者が多い一方で企業側の求人数は限られています。
こうしたミスマッチは中小企業の採用担当者にとって戦略を立てる材料となります。事務職希望者が多いなら、事務補助やバックオフィス業務の拡充、パートタイム・短時間勤務の活用などを行えば採用は容易になります。一方、人手不足が顕著な職種では、未経験者を積極的に採用し、業務に必要なスキルを企業内で育成する体制の構築が重要になります。
採用の競争が激しい職種ほど、応募者対応のスピードが採用成功の鍵となります。新規求人倍率が2.22倍という状況では、応募者は複数企業の選考を同時に受けている可能性が高く、選考プロセスが遅い企業はそれだけで候補者を失う可能性があります。応募から面接設定までの時間を短縮し、即日対応できる体制を整えることが、中小企業にとっては特に重要になります。
また、賃金の提示が求職者の意思決定に強く影響している点もデータから読み取れます。職種別の求人賃金と求職賃金の差から、求職者の希望額と実際の給与設定が合致しない職種では、応募が集まりづらいことが明らかです。これは賃金の見直しが必要であることを示唆していますが、すべての中小企業が簡単に賃金を上げられるわけではありません。そのため、賃金以外の魅力をどう伝えるかが採用戦略として重要になります。柔軟な働き方、資格取得支援、キャリアアップ制度などを積極的に記載し、求職者にとって価値ある働き方を提示することで応募率は確実に向上します。
最後に、徳島労働局のデータから見える最大のポイントは、求人総数の伸びが鈍化し、求職者数が減少しているという事実です。これは人口減少と働き手不足が今後も続くことを示しており、中小企業は採用活動を「待ちの姿勢」から「攻めの姿勢」へ転換する必要があります。求人票の改善、採用広報の強化、ターゲット層の拡大、選考スピードの向上は、今後の採用活動の必須条件となります。
この記事の要点
- 徳島県の有効求人倍率は令和7年10月時点で1.20倍
- 求人と求職が微減する中で横ばい推移
- 製造業や建設業で新規求人数が増加
- 不動産業や運輸業などで減少が顕著
- 地域によって求人倍率に差があるため採用エリア戦略が重要
- 新規求人倍率2.22倍で企業間の採用競争が激しい
- 事務職は求職者が多く採用しやすい傾向
- 保安・建設などは深刻な人手不足
- ミドルシニア層の就業意欲が高く採用ターゲットに有効
- 求人票の質と選考スピードが採用成功の鍵
⇒ 詳しくは徳山労働局のWEBサイトへ


