労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和7年10月 島根県の有効求人倍率1.32倍

2025年12月27日

労務・人事ニュース

令和7年10月 島根県の有効求人倍率1.32倍

Sponsored by 求人ボックス
広告

島根の雇用情勢(令和7年 10 月分)(島根労働局)

この記事の概要

この記事では、令和7年10月に公表された島根労働局の雇用情勢データを基に、県内の有効求人倍率や求人数・求職者数の推移、産業別の求人動向などを詳しく解説する。さらに、最新の労働市場を踏まえ、中小企業の採用担当者がどのような姿勢で採用活動を進めるべきかを、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を軸にした視点で解説する。


令和7年10月における島根県の雇用情勢は、長らく続いていた雇用環境の改善の動きが弱まり、慎重な観察が求められる局面に入ったといえる。有効求人倍率(季節調整値)は県内で1.32倍となり、前月の1.40倍から0.08ポイント低下したことが最も象徴的である。この数字は、全国の1.18倍と比較すれば依然として高い水準に位置しているものの、求人側の勢いが鈍化してきたことを示すものであり、とりわけ採用難が慢性化している島根県においては、これまでに比べ状況が変化している兆しとして受け止めるべきである。資料1ページのグラフでも、令和6年後半から令和7年にかけて、有効求人倍率が緩やかに下降している傾向が視覚的に示されている 。

詳細に見ると、月間有効求人数(季節調整値)は15,043人で前月比5.5%減、月間有効求職者数は11,404人で横ばいとなっている。これは、求職者数がほぼ変わらない中で求人だけが減少している構造を示しており、企業側がこれまで続けてきた積極的な求人姿勢をやや抑制し始めたと読み取れる。物価上昇や人件費増加といった経営環境の変化が人材採用の判断に影響していると推測でき、実際に資料にも「物価上昇等の影響に留意が必要」と明記されている。

原数値ベースでの有効求人倍率は1.36倍で、前年同月の1.46倍から低下している 。月間有効求人数は15,228人で前年同月比10.8%減、これに対して有効求職者数は11,225人で4.3%減にとどまった。特に求人の減少幅が大きく、産業構造や県内企業の投資姿勢の変化を反映しているといえる。

産業別の動きに目を向けると、資料3ページには業種別の新規求人動向が示されているが、ここでは新規求人総数が5,415人で前年同月比13.2%減となっている 。増加した業種として特徴的なのは金融業・保険業(130.8%増)、生活関連サービス業・娯楽業(62.3%増)、医療・福祉(2.1%増)などである。特に医療・福祉は求人の絶対数が1,318人と突出しており、県内における社会保障・介護関連分野の慢性的な人材不足が続いていることがよくわかる。一方、製造業は23.6%減、卸売業・小売業は28.0%減、サービス業(分類R)は26.0%減と大きく減少し、県経済の柱である業種で求人が減っている点は注意すべきである。

正社員求人の動向に関しても重要な変化がみられる。正社員有効求人倍率(原数値)は1.26倍で前年から0.07ポイント低下しており、常用フルタイムの求職者に対して企業が提示する正規雇用の増勢がやや鈍化していることを示している 。ただし、正社員求人数は7,809人で有効求人全体の51.3%を占めており、島根県においては依然として正社員採用の割合が高い点も特徴である。企業の採用意欲そのものが完全に萎んでいるわけではなく、むしろ必要な職種を選択しながら採用活動を継続している状況と捉えるべきだろう。

求職者側の動きに目を向けると、新規求職者数は2,262人で前年同月比7.6%減となり、在職者・離職者・無業者のいずれも前年を下回った 。これは、労働市場全体が安定方向にあるというよりも、求職活動そのものを控える層が増えている可能性を示唆している。物価上昇の負担や生活環境の変化から、転職や再就職のタイミングを慎重に見定める動きも推察される。

就職件数は841件で前年同月比12.1%減、就職率は37.2%で1.9ポイント低下している 。求人が減り求職者数がさほど変化しないという状況では、ミスマッチの解消が難しい状態が続くため、就職率の低下は構造的な問題である可能性が高い。

企業の人員整理の状況を見ると、実施事業所数は27事業所で前年同月比22.9%減、離職者数は56人で12.5%減となった 。小売業・卸売業がもっとも多く、解雇者数も同分野から最多となっている。物価上昇と消費抑制が影響し、地域経済における零細・中小企業には依然として厳しい側面があると推察される。

以上のように、島根県の労働市場は大きな崩れこそないものの、求人の勢いが弱まり、求職者側も慎重姿勢を見せるなど、全体として静かな縮小局面に入りつつある。こうした環境下で、中小企業の採用担当者は有効求人倍率をどのように読み取り、採用活動に活かすべきかが重要になる。

まず、有効求人倍率が1.32倍という数字は、中小企業にとって依然として「売り手市場」に分類される状況である。つまり、求職者1人を複数の企業が求める構造は変わっておらず、人材獲得競争は継続している。求人の減少は採用難の緩和ではなく、むしろ「採用力の弱い企業から求人を減らしている」状況として捉えたほうが実態に近い。だからこそ採用担当者は、採用市場が少し落ち着いたと感じて活動を弱めるのではなく、逆に競合企業との差を広げる好機として戦略的に動くべきである。

特に重要になるのは求人情報の質である。同じ1件の求人でも、求職者にとって魅力的に映る求人とそうでない求人の差は大きい。労働市場が縮小傾向にある今、応募者が求人票を慎重に見比べる傾向はさらに強まる。仕事内容の明確化、働く環境の透明性、キャリア形成の支援方針、評価制度の説明など、応募者が実際の働き方を具体的にイメージできる情報を充実させることが欠かせない。

さらに、産業別求人の動きからも示唆が得られる。医療・福祉など慢性的に人材不足が続く分野とは異なり、製造業やサービス業では求人が減少しているため、求職者にとっては選択肢が絞られている状況が続く。これは中小企業にとっては採用のチャンスであり、求人減少の中だからこそ、競合が弱まった領域へ積極的にアプローチすることで優秀人材を確保しやすくなる可能性がある。

また、求職者の行動傾向から見ると、新規求職者数は減っているため、これまで以上に「潜在層へのアプローチ」、つまり転職を積極的に検討していない層への情報発信や魅力づけが重要になる。企業のSNS発信、社員インタビュー、仕事紹介動画など、多様な接点づくりが求められる。

総じて、島根県の採用環境は静かに変化しているが、企業側の姿勢次第で大きく成果は変わる。有効求人倍率を「市場の温度計」として丁寧に読み取り、採用活動を単なる作業ではなく、経営戦略の一環として考えることが、中小企業にとって今もっとも重要であるといえる。

この記事の要点

  • 島根県の有効求人倍率は1.32倍へ低下し求人減少が顕著
  • 求人数は前年同月比10.8%減と企業の採用姿勢が慎重化
  • 医療福祉は求人増だが製造業や小売業は大幅減
  • 新規求職者数も減少し求職者の慎重姿勢が強まる
  • 中小企業は求人内容の質向上と潜在層へのアプローチが重要
  • 倍率低下は採用活動の好機となりうるため戦略的対応が必要

⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ

広告
パコラ通販ライフ
パコラ通販ライフ
PR記事作成サービス受付フォーム