2025年12月26日
労務・人事ニュース
令和7年10月の愛知県求人倍率1.23倍から見る地域別採用難度
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最終更新: 2025年12月26日 02:45
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最終更新: 2025年12月25日 04:05
県内の雇用失業情勢について(愛知労働局)
この記事の概要
愛知労働局が発表した令和7年10月の雇用情勢では、有効求人倍率が1.23倍となり前月から0.02ポイント低下しました。6か月連続の低下であり、求人数だけでなく求職者数も減少している点が特徴的です。本記事では統計データの詳細を丁寧に整理し、愛知県の雇用環境の現状を読み解きながら、中小企業の採用担当者が求人倍率をどう活用すべきかを独自の視点で解説します。
令和7年10月の愛知県の有効求人倍率(季節調整値)は1.23倍となり、前月から0.02ポイント低下しました。資料1ページでは、有効求人数が前月比1.7%減、新規求職者数も1.0%減となっており、求人と求職の双方が縮小する傾向が見られます。特に注目すべきは、有効求人倍率が6か月連続で低下しているという点です。愛知県は自動車関連産業をはじめ製造業が大きな割合を占める地域であるため、企業の投資判断が雇用環境に直接影響しやすく、データに現れる変動も比較的敏感です。
全国の有効求人倍率は1.18倍で、東海地域全体では1.20倍、愛知県は1.23倍と全国より高い水準を保っています。東海地域では愛知県の存在感が大きいものの、ここ数年は全国との差を広げることが難しくなっており、企業側の採用活動が以前よりも厳しさを伴っていることがわかります。特に製造業の新規求人が広範囲で減少しているという資料4ページのデータは、地域経済の先行きを慎重に見極めようとする企業の姿勢を映し出しています。
地域別の求人倍率を見ると、名古屋が1.55倍、尾張が1.02倍、西三河が1.04倍、東三河が0.92倍と大きな差が存在しています。名古屋は都市部ならではの求人の多さから高水準を維持していますが、尾張・西三河では前年からの低下が続き、東三河では求人倍率が1倍を下回る状況が定着しつつあります。これはエリアによって採用難度が大きく異なることを示しており、企業が人材確保の戦略を練る際には、地域の需給バランスを正確に理解する必要があることを意味します。
新規求人倍率は2.31倍と前月から0.11ポイント上昇しており、求人活動そのものには一定の回復が見られます。ただし、新規求人数は増えているにもかかわらず、新規求職者数は減少しており、この乖離が採用の難しさを押し上げています。求職者の動きが鈍い背景には、在職者の転職控えや物価高騰に伴う生活不安が影響していると考えられます。
産業別の新規求人動向を見ると、製造業の多くの分野で求人が前年同月比で減少しています。特にプラスチック製品製造業は7.3%減、電気機械器具製造業は17.8%減、はん用機械器具製造業は15.5%減など、主要な製造産業が軒並み減少を記録しています。輸送用機械器具製造業は1,391人と大きな規模を維持していますが、それでも前年同月比で0.8%減となっており、需要の調整が進んでいる様子がうかがえます。
一方で、医療・福祉分野の求人は依然として高い需要が続いています。介護サービス職業従事者は新規求人が10,747人と非常に多く、前年から4.39倍の求人倍率を維持するなど、慢性的な人材不足が数値に明確に表れています。社会福祉関連職や保健医療サービスなどの職種も高い求人倍率を維持しており、愛知県における医療・福祉分野の採用需要は今後も続くと考えられます。
常用新規求職者のデータ(表5)では、前年同月比で1.8%減となっており、なかでも無業者、自己都合離職者、在職者の求職申込がいずれも減少しています。求職の動きが鈍い期間が続いていることから、企業は採用において「待つ姿勢」から「取りに行く姿勢」へと切り替えることが求められています。
正社員の有効求人倍率は1.10倍となり、52か月連続で1倍台を維持しています。これは正社員を希望する求職者よりも正社員求人が多い状態が続いていることを意味し、中小企業にとっては正社員採用の難しさが避けられない状況にあります。ただし、正社員の新規求人は前年同月比で0.3%とわずかに増加しており、企業が長期的な人材確保を必要としている兆しも見えます。
ここから、中小企業の採用担当者が求人倍率をどのように活用していくべきかを考えることが重要です。有効求人倍率1.23倍という数値は、企業が求人を出しても求職者が必要数に届きにくい状況であることを示しています。求人数が求職者を上回るという環境では、競争が激しくなるため、求人内容の魅力を高めることが採用成果を左右します。
まず、中小企業は求人票の情報量を充実させ、働き方や職場環境の具体的な魅力を丁寧に説明することが不可欠です。特に愛知県は製造業が多いため、仕事内容が似通いやすく、求職者が企業を比較する際の決め手が見つけにくい傾向があります。そのため、教育制度やキャリアパス、働きがいのある文化づくりなど、数字に現れにくい部分を積極的に伝えることが求められます。
また、新規求職者が減少している現状では、既存社員の紹介制度を活用したリファラル採用が中小企業にとって非常に有効です。社員の紹介は企業文化への適合度が高い人材につながりやすく、採用ミスマッチの低減にも寄与します。
選考スピードの改善も重要です。資料のデータから見ても求職者の数が減る中では、応募者を適切なタイミングで確保することが欠かせません。面接設定を迅速に行い、選考プロセスの無駄を削減することで、他社に先に採られてしまうリスクを抑えることができます。
さらに、地域ごとの求人倍率の差が大きいことを踏まえると、採用エリアの拡大も有効です。名古屋など倍率が高い地域に集中してしまうよりも、尾張や西三河など比較的倍率が低い地域へのアプローチを強化することで、応募数を増やす可能性があります。オンライン面接や柔軟な勤務体系を導入すれば、物理的な距離の問題も軽減できます。
採用担当者は、求人倍率という「採用競争の温度計」を読み解きながら、自社に合った採用戦略を構築することが不可欠です。愛知県の雇用情勢は変動が大きく、今後の経済動向によってさらに環境が変わる可能性もあります。定期的に労働局の統計を確認し、データに基づいて採用計画を柔軟に見直すことが、採用成功への最も確実な道となるでしょう。
この記事の要点
- 愛知県の有効求人倍率は1.23倍で6か月連続低下
- 新規求人は増加する一方、新規求職者は減少
- 製造業の求人が広範囲に減少し求人環境が鈍化
- 医療・福祉分野は高い求人需要が継続
- 地域によって求人倍率に大きな差
- 中小企業は求人票の情報充実と選考スピードが重要
- 採用エリア拡大とリファラル採用の活用が効果的
⇒ 詳しくは愛知労働局のWEBサイトへ


