2025年12月25日
労務・人事ニュース
神奈川県で求人倍率0.82倍(令和7年10月)採用活動を強化する視点
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最終更新: 2025年12月25日 04:05
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最終更新: 2025年12月25日 04:05
労働市場速報(令和7年 10 月分)を公表します(神奈川労働局)
この記事の概要
令和7年10月の神奈川県の有効求人倍率は受理地別で0.82倍、就業地別で1.01倍となり、いずれも前月から低下しました。求人数と求職者数がともに減少しており、企業側の採用意欲と求職者の動きが慎重さを増しています。本記事では、求人倍率の変化から読み解く中小企業がとるべき採用戦略について詳しく解説します。
令和7年10月に公表された神奈川県の労働市場データによると、有効求人倍率は受理地別で0.82倍、就業地別では1.01倍となり、どちらも前月から低下しました。特に受理地別の0.82倍という数値は求職者数が求人数を上回っている状態であり、企業にとっては人材を確保できる可能性が高まっているようにも見えます。しかし、求人を出す企業側の動きには縮小傾向がみられ、実際には採用活動が思うように進まないケースも増えているため、単純に倍率の低下だけを好材料として受け止めることはできません。
有効求人数は季節調整値で92,764人と前月比4.0%減、有効求職者数も113,645人で0.4%減という結果になりました。求人数と求職者数の双方が縮小しており、労働市場そのものが静かな動きを見せています。企業側が採用計画を慎重に見直している背景には、原材料費の高騰や円安による輸入コスト増などの影響が重くのしかかっていることが考えられます。雇用情勢判断でも「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と示されており、改善傾向が一時的に停滞している状況です。
新規求人の動きに目を向けると、新規求人数は受理地別で30,689人と前月比0.1%増でわずかに上向きましたが、就業地別では38,381人と前月比0.7%減となり、業種や地域によって濃淡があることがわかります。前年同月比では大幅な減少が見られ、特に宿泊業・飲食サービス業は52.7%減と深刻な落ち込みを示しました。情報通信業も24.4%減、卸売・小売業は15.4%減、運輸業・郵便業も14.7%減となり、幅広い業種で採用余力が縮小している現状が浮き彫りになっています。一方で、学術研究・専門・技術サービス業は3.9%増、サービス業は6.8%増となっており、一部の分野では人材確保に前向きな動きも続いています。
正社員の有効求人倍率は0.63倍と前年同月から0.07ポイント低下し、正社員採用の売り手市場が一段と緩和されていることが明らかです。正社員の有効求人数は44,424人で前年同月比7.0%減となる一方、パートを除く常用求職者数は71,060人で4.5%増加しており、正社員求人そのものが縮小しているのに対し、求職者数は増加しています。この構造は、中小企業にとっては“正社員採用の追い風”になり得る重要なポイントです。条件を整えさえすれば、以前よりも正社員希望者を確保しやすい環境になっているといえます。
しかし、求職者側の動きには注意が必要です。常用の新規求職者は前年同月比で3.3%増となり、離職者は6.2%増加、自己都合離職者も5.4%増加しました。これは働き方や職場環境に対する不満から転職を選択するケースが増えていることを示唆しています。つまり、採用に成功したとしても定着しなければ意味がなく、中小企業は「採用」と「定着」の両方を戦略的に考える必要があります。
こうした労働市場の変化を踏まえると、中小企業の採用担当者が重視すべきポイントは、まず自社の求人内容を見直し、求職者のニーズに寄り添った採用情報を整備することです。求職者は給与額だけでなく、働きやすさ、柔軟性、成長機会、職場の人間関係など、総合的な環境を重視する傾向が強くなっています。求人票には、具体的な業務内容や部署構成、キャリアパス、研修制度、福利厚生の詳細など、働くイメージを持ちやすい情報を積極的に盛り込むことが求められます。
さらに、求人倍率が低下している今こそ、採用プロセスを迅速に進めることも重要です。求職者にとって応募から採否までのスピードは企業選びの重要な指標となっており、選考期間が長い企業ほど敬遠される傾向があります。書類選考や面接の日程調整をスピーディーに行い、オンライン面接の導入などで柔軟な対応を進めることが、採用競争力の向上に直結します。
業種別の求人動向を見ると、神奈川県では製造業や情報通信業などの主要産業でも求人が減少していますが、これは必ずしも採用ニーズの低下だけを意味しません。人手不足とコスト増の影響から、企業が採用要件を厳しく設定しているケースも多く、求職者とのミスマッチが生じている側面も大きいのです。そのため、中小企業は求める人材要件を明確にしつつも、未経験可の枠を広げる、研修体制を強化して育成前提の採用を行うなど、柔軟な方針を設けることで、採用可能性を高めることができます。
また、神奈川県は横浜・川崎といった都市部と郊外地域の特性が大きく異なる点も採用戦略に影響します。都市部では求人数が多い一方、競争も激しく、求職者が企業を選びやすい環境があります。逆に郊外では求人が比較的少ないものの、地域への定着意識が高い人材が多く、長期的な雇用関係を築きやすい特徴があります。自社の立地や通勤アクセスの良さを活かし、ターゲット層を明確化した求人展開が望まれます。
最終的に、中小企業が今取るべき採用戦略は、求人倍率の低下による“チャンス”を見逃さないこと、そして採用後の育成や定着施策を強化することです。労働市場は静かに変化しており、その変化を敏感に察知しながら柔軟な採用計画を立てることが、企業成長の鍵になります。
この記事の要点
- 令和7年10月の神奈川県の有効求人倍率は受理地別0.82倍で低下
- 求人数・求職者数ともに減少し雇用市場が慎重な動き
- 宿泊業・製造業など幅広い業種で求人が大きく減少
- 正社員の有効求人倍率は0.63倍で採用機会が広がる
- 離職者増加により求職者ニーズの変化が進む
- 求人票の情報充実と働きやすさの見える化が重要
- 採用プロセスの迅速化とオンライン活用が効果的
- 未経験者採用や育成前提の採用戦略が中小企業に有効
⇒ 詳しくは神奈川労働局のWEBサイトへ


