2025年12月24日
労務・人事ニュース
令和7年10月岩手県の1.07倍が示す採用難の実態
- 商業施設・工場・ビルなどの空調設備や電気設備に伴う設計から施工管理全般のお仕事/英語活用/未経験OK/工事・土木施工管理
最終更新: 2025年12月24日 10:09
- 商社での営業のお仕事/英語活用/未経験OK/営業
最終更新: 2025年12月24日 00:37
- アイリスト/北九州市小倉北区/香春口三萩野駅/福岡県
最終更新: 2025年12月24日 01:08
- 物流・運輸業界の人事労務/英語活用/未経験OK/人事労務
最終更新: 2025年12月24日 10:09
岩手県内の一般職業紹介状況(令和7年10月分)について(岩手労働局)
この記事の概要
岩手労働局が公表した令和7年10月の一般職業紹介状況では、有効求人倍率が1.07倍となり、4か月連続で前月を下回ったことが示されました。求人が求職を上回っているものの、県内の雇用環境には弱さが見られるとされています。この状況を踏まえ、中小企業が採用活動をどのように進めるべきかを独自の視点から詳しく解説します。
この記事は、岩手労働局が令和7年11月28日に発表した令和7年10月分の一般職業紹介状況を基に、岩手県内の労働市場の現状を丁寧に読み解きながら、中小企業の採用担当者が取るべき戦略を実践的に示すものです。発表資料によれば、県内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は1.07倍で、前月の1.09倍から0.02ポイント低下し、4か月連続の下落が続いています 。新規求人倍率は1.79倍と前月を上回り、求人数自体は一定水準で維持されている一方、新規求人数は前年同月比で463件減少し5.4%の落ち込みとなっています 。求職者の動きも鈍化し、求人数と求職者数のバランスが月ごとに揺れ動く状況が目立ちます。
このデータは、県内の企業にとって採用環境が決して安定していないことを示唆しています。特に、有効求人数が前月比415件減少し1.8%の落ち込みを見せる一方、有効求職者数は微減にとどまったため、企業間での人材確保競争は引き続き続いています 。これらの背景には、全国的な労働人口の減少だけでなく、東北全体で求人倍率が1.14倍と前月よりも低下した広域的な傾向も影響していると考えられます 。
中小企業にとって重要なのは、有効求人倍率1.07倍という数値が「採用しやすい」状況を意味しないことを理解することです。倍率の低下は求人数の減少によっても起こるため、応募者が増えているとは限りません。むしろ、人材の母集団が縮小している中で求職者が企業を選別する傾向が高まっており、採用活動の難易度は上がっているといえます。採用担当者は、求人数と求職者数の推移を同時に追うことで、「今はどの層の人材が動いているのか」を見極める必要があります。
また、岩手県は全国平均1.18倍を下回る水準であり、都道府県別では33位という位置付けにあります 。これは、県外と比較した際に求職者の流入が必ずしも多くなく、地域内での人材確保が中心となる状況を意味しています。そのため、中小企業が優秀な人材を確保するためには、求人票の質を高め、地域の魅力や自社の働きやすさを明確に伝える工夫が欠かせません。給与や待遇はもちろん、キャリア形成の支援や柔軟な働き方の導入といった要素が求職者から重視されるようになっています。
具体的には、求職者が求人票を比較する際に重視するポイントを意識した情報発信が効果的です。特に成長機会の明示は重要で、研修制度の充実度、入社後のフォロー体制、キャリアステップの見える化などは、求職者が応募を決める際の大きな判断材料になります。新規求人倍率が1.79倍と高いことは、企業側の求人意欲が活発であることを示しており、求職者にとっては選択肢が増えている一方、企業にとっては埋もれないための戦略がこれまで以上に不可欠になっています。
求職者数の減少は、採用担当者にとって「採用計画の前倒し」を検討する良いタイミングでもあります。動きがある月に合わせて求人を出す、採用広報を強化する、説明会や面談の間口を広げるといった施策が有効です。また、ハローワークを活用した採用戦略にも改めて目を向ける価値があります。令和3年以降、オンライン応募が増加し、求職者の行動がデジタル中心に変化しているため、企業側もオンライン面談の導入や情報提供の充実を進めることでより多くの求職者と接触できるようになります。
さらに、中小企業は自社を選んでもらうための「働く理由」を明確にする必要があります。仕事内容のやりがい、地域社会への貢献度、社員同士の関係性、休日・残業の状況といった部分を丁寧に伝えることが、採用成功につながります。求職者は企業を選ぶ際、単に給与や福利厚生だけでなく、職場環境の透明性や安心感を重視しています。企業の採用担当者は、これらの情報を客観的かつ信頼性のある形でわかりやすく提示することで、求職者の不安を取り除くことができ、応募につながりやすくなります。
岩手県の労働市場は、求人が求職を上回る状況を維持しているものの、全体としては弱含みで推移しており、採用環境は決して安定的ではありません。このような状況下で成功するためには、採用プロセス全体の見直しを行い、応募から入社後の定着まで一貫した戦略を構築することが求められます。求職者との接点を増やし、迅速な連絡や丁寧な対応を徹底することで、企業の印象が大きく向上します。
中小企業が採用力を高めるためには、自社が提供できる価値を明確に伝え、地域に根ざした企業としての強みを再認識し、それを採用活動に反映させることが欠かせません。人口減少が続く東北地方では、地域における働きがいを伝える力が、採用成果を左右する大きな鍵になります。今回の岩手労働局のデータは、企業が採用戦略を再構築するための重要な判断材料となるため、今後も継続的に動向を確認し、変化に合わせた柔軟な対応を進めることが重要です。
この記事の要点
- 岩手県の有効求人倍率は令和7年10月に1.07倍で4か月連続低下
- 新規求人倍率は1.79倍で企業側の求人意欲は強い
- 求人数は減少傾向にあり採用競争は引き続き継続
- 中小企業は求人票の質向上と情報の透明性確保が重要
- 採用の前倒しとオンライン対応の強化が効果的
- 地域に根ざした企業価値の発信が応募増加につながる
⇒ 詳しくは岩手労働局のWEBサイトへ


