2025年12月24日
労務・人事ニュース
令和6年 北海道 監督指導427事業場中300事業場で違反、割増賃金73件など課題鮮明
- 管理職/北九州市小倉南区/福岡県
最終更新: 2025年12月24日 02:02
- アイリスト/福岡県/北九州市若松区
最終更新: 2025年12月23日 05:05
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最終更新: 2025年12月24日 02:19
- 看護助手/福岡県福岡市南区/JR博多南線/博多南駅
最終更新: 2025年12月24日 02:02
外国人技能実習生の実習実施者に対する令和6年の監督指導状況 ~実習実施者の 70.3%で法令違反~(北海道労働局)
この記事の概要
外国人技能実習生を受け入れる実習実施者に対する監督指導が2024年に行われ、調査対象427事業場のうち300事業場で法令違反が確認され、違反率は70.3%となりました。安全基準の不備が23.0%と最も多く、次いで割増賃金の未払いが17.1%、健康診断結果に基づく医師の意見聴取の未実施が12.6%でした。
2024年に外国人技能実習生の受け入れ事業場を対象として行われた監督指導の結果がまとめられ、調査対象となった427事業場のうち300事業場で労働基準関係法令の違反が認められた。これは全体の70.3%に当たり、技能実習生を取り巻く労働環境の課題が依然として解消されていない状況が明らかになった。監督指導は外国人技能実習制度の健全な運用を確保し、労働者の権利と安全を保護するために行われており、今回の結果は制度の信頼性に直結する重要な指標といえる。
違反内容の内訳をみると、安全基準に関する違反が98件と全体の23.0%を占め最も多く確認された。機械の安全措置が十分に講じられないまま使用されていた事例や、高所作業における墜落防止措置が不十分であったケースなどが含まれ、作業現場での基本的な安全管理の不足が浮き彫りとなった。特に、機械の運転停止措置を講じないまま清掃作業を行わせていたことから負傷事故が発生した事例では、実習生の理解度に合わせた母国語教育の必要性が指摘され、安全対策の基礎強化が求められている。
割増賃金に関する違反は73件で17.1%を占め、時間外労働に対する適切な割増賃金が支払われていないケースが多数確認された。技能実習生は繁忙期に長時間労働を強いられる場面が少なくないが、36協定を超える時間外労働が行われていたケースもあり、労働時間管理が不十分な事業場が依然として存在している。ある調査事例では、1か月の時間外労働が上限を超えていたことが発覚し、是正勧告後に労働時間の管理体制が見直され、採用体制や配置転換による業務負担の調整が進められた。
健康診断に関連する違反も目立ち、健康診断結果に基づく医師の意見聴取が行われていなかった事例が54件で12.6%確認された。健康診断の未実施やフォロー不足は実習生の健康維持に重大な影響を及ぼすものであり、特に外国人労働者の場合は異常所見の説明や医師の判断内容を適切に伝えるための配慮が求められる。診断結果に基づいた対応が行われないまま業務を続ける場合、過重労働による健康障害が発生する可能性が高く、事業場として責任ある管理が求められる部分である。
その他の違反としては、労働条件の明示が25件、賃金支払いに関する違反が38件、年次有給休暇に関する違反が30件、就業規則の未整備が39件、賃金台帳の不備が19件など、基本的な労務管理に関する項目も多数含まれている。これらの違反は労働者の権利保護に直結するものであり、適切な説明や記録管理が行われていないことは、技能実習生が安心して働くための環境が不十分であることを示している。
全国の状況と比較しても、北海道の違反率70.3%は全国の73.2%とほぼ同水準であり、技能実習制度を取り巻く課題が地域に関係なく広がっていることがわかる。制度の趣旨は技能の習得を通じて国際的な人材育成を進めるものであるが、その前提となる安全で健全な労働環境が整わなければ、本来の目的を達成することは難しい。今回の監督指導結果は、事業場が制度を適切に運用するための改善点を明確に示しており、今後の対策に活用する必要がある。
実際の指導では、安全措置の改善や労働時間管理の是正、教育の充実といった具体的な指示が行われており、事業場側が自主的な改善に取り組むことが求められている。技能実習生は言語や文化の違いを抱えながら働いており、職場の環境が整っていなければ理解不足から事故につながるリスクも高まる。そのため、作業内容や危険箇所を正確に理解できる環境づくりや、健康管理の徹底が不可欠である。今回示された違反状況は、各事業場が法令遵守と安全対策を強化するための重要な指標として位置付けられる。
この記事の要点
- 監督指導対象427事業場のうち300事業場で法令違反が発覚
- 違反率は70.3%で安全基準と割増賃金の違反が中心
- 安全基準違反は98件で最も多く確認
- 割増賃金の未払いは73件で17.1%
- 医師の意見聴取の未実施は54件で12.6%
- 労働時間管理の不備や就業規則の未整備も確認された
⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ


