2025年12月24日
労務・人事ニュース
山口県の令和7年10月有効求人倍率1.30倍、中小企業向け採用分析
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最終更新: 2025年12月23日 02:06
山口県の雇用情勢(令和7年10月分)について(山口労働局)
この記事の概要
令和7年10月の山口県の有効求人倍率は1.30倍となり、前月から0.03ポイント低下した。月間有効求人数は26,138人で前月比2.1%減、新規求人も前年同月比6.6%減となり、雇用情勢は緩やかな持ち直しの中で求人減少の動きが目立つ。一方、求職者数は微増しており、中小企業は採用競争における環境変化を踏まえた柔軟な戦略が求められている。
令和7年10月に山口労働局が公表した一般職業紹介状況は、県内の雇用環境が緩やかな持ち直し傾向にありながらも、採用市場に徐々に難しさが広がっていることを示している。資料1ページには、過去10年以上の求人・求職の推移がグラフで示されており、令和7年10月の有効求人倍率は季節調整値で1.30倍と前月から0.03ポイント低下したことがわかる。
この倍率は依然として求人が求職を上回っている状態を示すが、前月比の低下に表れているように求人数の減少が進んでいる点には注意が必要である。同じく1ページの表では、有効求職者数が20,123人で前月比0.0%増、有効求人数は26,138人で前月比2.1%減となっており、求職者より求人の減少幅が大きい構図が確認できる。
2ページの詳細データを見ると、新規求人数は9,886人で前年同月比6.6%減となり、6か月連続で前年割れが続いている。特にパートタイムを除く一般常用の新規求人は6.3%減と強い減少が続いている一方、パートの新規求人は3.0%減で下げ幅は比較的小さい。この動きから、企業が即戦力の常用雇用を控え、短時間労働など柔軟な雇用形態を活用する傾向が強まっていることが読み取れる。
産業別の動きは3ページと6ページの表・グラフが示している。製造業の新規求人は1,044人で前年同月比8.4%増と上昇しているが、その内訳を見ると業種間のばらつきが極めて大きい。例えば輸送用機械器具製造業は41人増(55.4%増)、電子機器関連は20%増など大幅増加の業種がある一方、金属製品製造業は21人減、化学工業は28人増加したものの前年比では振れ幅が大きい。また、食品製造業は前年比−7.7%と減少しており、製造業全体の改善は一部の業種に支えられているにすぎないことも確認される。
サービス業ではより顕著な差が生まれている。宿泊業・飲食サービス業は前年同月比30.4%減と大幅に落ち込み、生活関連サービス業・娯楽業は14.1%増となっており、需要構造の変化が激しい。飲食業の求人減少は原材料費高騰や人件費の増大、中小規模店舗の採用コスト負担増が背景にあるとみられ、採用余力が縮んでいる実態を反映している。
医療・福祉の新規求人は3,046人で前年同月比2.6%減と比較的安定しているものの、医療業では111人減と課題が見られる。一方で社会保険・介護事業では1.9%の増加となり、介護分野での人材確保意欲が引き続き強いことがうかがえる。
地域別の求人倍率を見ると、10ページの職業紹介主要指標に示されるように、市町ごとの差が非常に大きい。宇部所は1.44倍、山口所は1.48倍、岩国所は1.20倍と比較的高い数値だが、柳井所は1.11倍、萩所は1.08倍であり、地域によって求人需要にばらつきがある。実際、下関所は1.44倍と比較的高いものの、求人増加の背景には運輸業やサービス業の構造変化が強く関係している。
求職者側の動きを見ると、新規求職申込件数は4,409件で前年同月比1.6%増となり、求職者の増加が確認できる。8ページの表を参照すると、離職者は前年同月比4.8%増、無業者は6.0%増と増加している一方、在職者の求職は3.2%減であり、転職市場には慎重姿勢が広がっていることがわかる。これは物価上昇など生活環境の変化が影響している可能性があり、安定を求めて職場に留まる人が増えているとも解釈できる。
一方で就職件数は1,387件で前年同月比2.0%増と増加しており、求人・求職のマッチングは一定程度成功している。ただし紹介件数は3,568件に対して充足数は1,414件であり、紹介から就職に至る割合は高いとは言えない。企業側の求人条件と求職者の希望条件のズレが依然として残っていることを示唆している。
こうしたデータを踏まえ、中小企業の採用担当者は有効求人倍率の変動をどのように活用すべきか。まず重要なのは、求人倍率が1.30倍という数字だけを見るのではなく、その背後にある求人減少や求職者属性の変化を理解することである。倍率が高いからといって応募が集まりやすいわけではなく、むしろ求人が減少している分、求職者が慎重に企業を選ぶ傾向が強まっている。
求人票の質を高めることはますます重要性を増している。特に正社員有効求人倍率は1.29倍(3ページ)で、前年同月比0.11ポイント低下している。これは正社員求人が減っている一方で、正社員希望者が一定数存在しているため、待遇条件やキャリア形成の見通しを明確に提示する企業が選ばれやすい状況にあることを意味する。
また採用スピードの向上も欠かせない。資料の新規求人倍率は季節調整値で2.05倍(2ページ)となり、求人に対して求職者が少ない状態が続いている。応募があった際には面接設定までの時間を短縮し、迅速な合否判断を行うことで、競合他社に人材を奪われるリスクを減らすことができる。
さらに、地域ごとの求人倍率差を踏まえた採用活動が効果的である。都市部では採用競争が激しいため、働き方の柔軟性や職場環境改善による差別化が必要となる一方、倍率が低い地域においては採用対象エリアを広げることで応募者の増加が期待できる。これはテレワークや時差勤務など柔軟な働き方を導入する企業にとって特に有利に働く。
産業別の求人減少が続く時期には、未経験者を含む幅広い層の採用を検討することも有効である。山口県では生活関連サービス業や一部製造業など、採用意欲が高い分野も存在するため、自社が求めるスキルと近い領域からのキャリアチェンジを積極的に取り込むことで、採用計画の安定化につながる。
総じて、令和7年10月の山口県の雇用情勢は、倍率の高さだけでは測れない複雑さを帯びている。求人の減少、求職者動向の変化、産業構造の揺らぎなど、多くの要素が交錯しているため、中小企業はデータを丁寧に読み解きながら、採用戦略を多面的に組み立てる必要がある。
この記事の要点
- 令和7年10月の山口県有効求人倍率は1.30倍で前月比低下
- 有効求人数は26,138人で前月比2.1%減
- 新規求人は6.6%減と落ち込みが続く
- 産業別では宿泊・飲食で大幅減少、製造業は業種間でばらつき
- 新規求職者は増加し求職者の属性にも変化が見られる
- 中小企業は求人票の質向上と採用スピード強化が必要
- 地域別の求人倍率差が大きくエリア戦略が重要
⇒ 詳しくは山口労働局のWEBサイトへ


