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2026年1月20日

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令和7年11月奈良県の有効求人倍率1.10倍から考える中小企業採用戦略

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奈良県の一般職業紹介状況(令和7年11月分)について(奈良労働局)

この記事の概要

令和7年11月の奈良県における有効求人倍率は1.10倍となり、前月から0.03ポイント低下したものの、求人が求職を上回る状態は維持されている。本記事では、奈良労働局が公表した最新の一般職業紹介状況をもとに、求人・求職の動向や正社員求人、産業別の特徴を丁寧に整理しながら、中小企業の採用担当者が有効求人倍率をどのように読み取り、今後の採用活動にどう生かすべきかを実務目線で考察する。


令和7年11月の奈良県の有効求人倍率は1.10倍となり、前月の1.13倍から0.03ポイント低下した。この数値は、求職者1人に対して約1.10件の求人が存在する状態を示しており、倍率そのものは低下したものの、引き続き求人が求職を上回って推移している点が特徴である。全国の有効求人倍率は同月で1.18倍、近畿全体では1.10倍であることから、奈良県は近畿平均と同水準に位置し、全国平均よりはやや低い水準にある。この位置づけは、採用市場が極端な売り手市場でも買い手市場でもない、判断が難しい局面にあることを示している。

有効求人数は20479人となり、前月比で520人減少し、2.5パーセントの減少となった。一方で、有効求職者数は18681人と前月比43人増加し、0.2パーセントの増加となっている。求人が減少し、求職者がわずかに増加するという組み合わせが、有効求人倍率の低下につながった形である。この動きからは、企業側が採用に慎重な姿勢を強めている一方で、仕事を探す人が再び動き始めている状況がうかがえる。中小企業の採用担当者にとっては、応募が増える可能性がある一方で、他社との比較がより厳しくなる局面に入っていると捉える必要がある。

新規求人倍率は1.84倍となり、前月から0.05ポイント低下した。新規求人数は7065人で前月比2.2パーセント増加しているが、新規求職者数も3850人と前月比5.5パーセント増加しており、求職者側の動きがより活発になったことが倍率低下の要因となっている。新規求人倍率が1倍を大きく上回っていることは、新たに募集を開始した求人に対して競争が起きやすいことを意味している。特に中小企業では、募集開始から早い段階で応募者の関心を引けるかどうかが、採用成否を左右しやすい。

県内の雇用情勢については、有効求人倍率が低下しているものの、引き続き求人が求職を上回って推移しており、一部の求人には持ち直しの動きが見られるとされている。ただし、物価上昇などが雇用に与える影響には引き続き注意が必要とされており、企業経営の不確実性が採用判断に影を落としていることは否定できない。このような環境下では、採用活動を単なる人手補充として捉えるのではなく、経営状況と連動した中長期的な視点で設計する姿勢が重要になる。

正社員求人に目を向けると、令和7年11月の奈良県における正社員有効求人倍率は1.05倍となり、前年同月から0.01ポイント上昇している。前月の1.01倍からも改善しており、正社員求人に関しては緩やかな回復傾向が見られる。正社員新規求人数は3651人で、前年同月比では1.1パーセント減少しているものの、新規求人に占める正社員求人の割合は51.6パーセントとなり、前年同月から3.1ポイント上昇している。この数字は、企業が非正規雇用よりも正社員採用に重心を戻しつつあることを示している。

ただし、正社員有効求人倍率の算出に用いられる求職者数には、派遣労働者や契約社員を希望する人も含まれている。そのため、実際に長期雇用を前提とした正社員を希望する人材とのマッチングは、数字以上に難しいと感じる中小企業も少なくないだろう。管理的職業や事務的職業など、一部の職種では正社員有効求人倍率が職業計を下回っており、職種ごとの需給差が大きい点も特徴である。

産業別の新規求人動向を見ると、令和7年11月は医療・福祉が2580人と最も多く、前年同月比1.9パーセント増加している。運輸業・郵便業は1051人で7.6パーセント増、建設業は374人で12.0パーセント増となっており、人手不足が続く分野では引き続き求人が堅調である。一方で、製造業は720人で21.2パーセント減、卸売業・小売業は539人で28.5パーセント減、宿泊業・飲食サービス業は398人で25.2パーセント減と、大きく減少している。奈良県は製造業や観光関連産業の比重が高い地域であるため、これらの分野での求人減少は地域全体の採用環境に影響を与えやすい。

このようなデータを踏まえると、有効求人倍率1.10倍という数字を中小企業の採用担当者がどう活用するかが重要になる。倍率が1倍を超えている以上、基本的には企業側が人材を選ぶ立場ではなく、求職者から選ばれる立場にあると認識すべきである。その一方で、全国平均より低い水準であることから、条件や伝え方次第では十分に採用成功の可能性があるとも言える。重要なのは、数字の上下に一喜一憂するのではなく、その背景にある求人・求職の動きを理解することである。

特に奈良県の場合、就業地別の有効求人倍率は1.27倍と、受理地別よりも高い水準にある。これは、県外のハローワークで受理された求人のうち、実際の就業地が奈良県内である求人を含めると、人手不足感がより強いことを示している。県外からの通勤や転職も視野に入れた採用設計を行うことで、人材確保の選択肢は広がる。中小企業の採用担当者は、県内だけで完結した採用活動に固執せず、通勤圏や働き方の柔軟性を含めた情報発信を検討する余地がある。

有効求人倍率は、採用市場の難易度を測るための重要な指標であると同時に、自社の採用活動を見直すための鏡でもある。令和7年11月の奈良県のデータは、採用環境が大きく改善しているわけでも、急激に悪化しているわけでもない、いわば調整局面にあることを示している。このような時期だからこそ、中小企業は給与や休日といった条件面だけでなく、仕事内容の具体性や職場環境、成長機会を丁寧に伝えることで、求職者の不安を和らげ、信頼を獲得することが求められる。有効求人倍率1.10倍という現実は、採用活動の質を高めるための重要なヒントを与えていると言えるだろう。

この記事の要点

  • 令和7年11月の奈良県の有効求人倍率は1.10倍で前月から低下した
  • 求人は減少し求職者は微増する中で採用環境は調整局面にある
  • 正社員有効求人倍率は1.05倍と改善し正社員比率も上昇している
  • 産業別では医療・福祉や運輸業が堅調で製造業や小売業は減少している
  • 中小企業は有効求人倍率を踏まえ選ばれる採用活動を設計する必要がある

⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ

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