2026年7月12日
労務・人事ニュース
2026年5月調査で80.0%の企業が中東情勢による経営悪化を実感、原材料コスト上昇が深刻化
2026年調査で判明、価格転嫁できている企業はわずか12.7%にとどまる厳しい経営環境
2026年6月、中東情勢の長期化が企業経営に与える影響について実施された調査結果が公表されました。調査は2026年5月11日から5月18日にかけて実施され、約1,400社を対象に行われたもので、有効回答数は105件となっています。建設業やサービス業、製造業、小売業など幅広い業種から回答が寄せられ、中東情勢が地域経済に与える影響の実態が明らかになりました。
回答した事業者の従業員規模を見ると、5人以下の小規模事業者が最も多く、次いで6人から20人以下、21人から50人以下の順となりました。地域経済を支える中小・小規模事業者が今回の調査の中心となっており、国際情勢の変化が身近な経営課題として受け止められている状況がうかがえます。
中東情勢による経営への影響について尋ねたところ、「多少マイナスの影響がある」と回答した事業者は49.5%、「マイナスの影響が非常にある」は30.5%となりました。両者を合わせると80.0%に達しており、回答した企業の大半が何らかの悪影響を受けていることが分かりました。一方で、「ほとんど影響がない」は17.1%、「プラスの影響があった」は2.9%にとどまっています。
具体的な影響内容では、「原材料や資材などの調達コスト上昇」が80.0%で最も多くなりました。続いて「原材料や燃料、資材などの調達難や遅延」が72.9%、「エネルギーや燃料費のコスト上昇」が50.6%となっています。企業活動に必要な資材や燃料の価格上昇が経営を圧迫している実態が浮き彫りとなりました。
また、ナフサの入手困難による影響は24.7%、物流の遅延は15.3%となりました。さらに顧客需要の減少や取引先の活動停滞、売上や利益の減少による資金繰り悪化を挙げる企業もみられています。調査では、建設資材や塗料、接着剤、ケーブル類、照明器具、自動車部品、コーヒー豆など幅広い品目で供給不足や調達難が発生しているとの回答も寄せられました。
コスト上昇に対する価格転嫁の状況については、「価格転嫁できている」と回答した事業者は12.7%にとどまりました。「一部のみ価格転嫁できている」は35.4%となった一方で、「ほとんど価格転嫁できていない」と「価格据え置きである」を合わせると54.4%に達しています。原材料費やエネルギーコストが上昇しても販売価格へ十分に反映できない企業が過半数を占める結果となりました。
価格転嫁できない理由としては、「自社の努力で吸収できる範囲である」が28.1%で最も多く、「発注先が価格転嫁を認めない」が21.9%、「売上減少が怖いため価格転嫁していない」が18.8%で続きました。制度上の理由から価格転嫁が難しい業種もあり、経営環境の厳しさがうかがえます。
中東情勢がさらに長期化した場合の事業継続への影響については、「2~3か月後に支障が出る」が13.5%で最も多く、「既に支障がある」と「半年後に支障が出る」がそれぞれ10.6%となりました。現時点では影響を見通せないとする回答も56.7%ありましたが、状況によっては事業継続への懸念が高まる可能性も示されています。
雇用面への影響については、「現時点では影響はない」が62.7%となりました。しかし、「人材確保がさらに困難になる」は15.7%、「採用の縮小や見送りを検討している」は11.8%、「賃上げの見直しを検討している」は10.8%となっており、今後の経営環境次第では雇用にも影響が及ぶ可能性があります。
中東情勢以外の経営課題については、「物価高騰」が76.9%で最も多くなりました。次いで「人件費上昇」が40.4%、「電気・ガス料金の高騰」が39.4%、「人手不足」が33.7%、「受注減少」が20.2%となっています。企業経営は既に複数の課題を抱えており、その上に中東情勢の影響が重なっている状況が浮かび上がっています。
マイナス影響への対応策としては、「経費削減」が47%で最も多く、「販売価格の見直し」が44%、「納期交渉」が24%、「調達先を増やす」が22%となりました。企業側はコスト削減や価格見直しなどを通じて影響緩和を図ろうとしているものの、厳しい対応を迫られている状況が続いています。
また、有効と考える支援策としては、「エネルギーや資材高騰分に対する補助金」が80.2%で最多となりました。続いて「超低金利の特別融資制度」が39.5%、「雇用関連支援の拡充」が19.8%、「省エネやDX関連設備への投資支援」が14.0%となっています。企業からは資金繰り支援や補助制度の充実を求める声が多く寄せられました。
今回の調査では、中東情勢の長期化が原材料価格や燃料費、物流、雇用など幅広い分野に影響を及ぼしている実態が示されました。特に中小・小規模事業者では価格転嫁が進まず、コスト上昇を自社で吸収しているケースも少なくありません。今後の国際情勢によっては企業活動への影響がさらに広がる可能性もあり、経営環境の変化に対する継続的な注視が求められそうです。
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