2025年5月31日
労務・人事ニュース
AI導入予定企業が17.8%に到達、業務改革と人材需要の加速を示す調査結果
- 「車通勤OK」/正看護師/介護施設/研修が充実で安心
最終更新: 2025年6月13日 23:03
- 「ブランクOK」/准看護師・正看護師/クリニック/車で通えます
最終更新: 2025年6月13日 23:03
- 「時短勤務可」/助産師/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年6月13日 23:03
- 「駅チカ」/正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月13日 23:03
デジタル化に取り組む中小企業の実態に関する調査結果(日本公庫)
2025年5月21日に日本政策金融公庫が発表した特別調査「デジタル化に取り組む中小企業の実態に関する調査」では、日本全国の中小企業を対象に、デジタル化の進捗状況と今後の方針、また導入したデジタルツールによる成果などが詳細に分析されました。この調査は、2025年1月から3月期にかけて行われた「全国中小企業動向調査・中小企業編」の一環として実施され、有効回答数は4,328社、回答率は32.1%にのぼります。
まず注目すべきは、現在デジタル化に積極的に取り組んでいる企業の割合です。「かなり積極的に取り組んでいる」と「積極的に取り組んでいる」の合計は全体で43.6%となり、従業員規模が大きい企業ほど取り組みが積極的である傾向が見られました。特に従業員100人以上の企業では57.5%がデジタル化に前向きな姿勢を示しており、規模の経済がデジタル化推進の一因であることが示唆されます。
次に、デジタルツールの導入状況について見てみると、「ホームページ・SNS」「会計システム」「Web会議システム」が最も導入率の高いツールである一方、今後の導入予定として最も注目されているのが「AI(人工知能)」であることが明らかとなりました。AIは2023年度以前に導入した企業が5.4%、2024年度に新規導入あるいは大幅改修を行った企業が9.2%、そして導入予定があると答えた企業が17.8%にのぼり、全ツール中で最も高い導入意向を示しています。これは、AIがもたらす多面的な業務改善効果に対する期待の高さを物語っているといえるでしょう。
実際に、AI導入による具体的な成果として最も多く挙げられたのは「業務の効率化」で81.9%の企業がこれを実感しています。加えて、「人手不足の解消」(21.1%)、「既存事業・サービスの品質向上」(18.4%)、「新事業・サービスの創出」(17.7%)など、AIによる業務の高度化が着実に進んでいることが分かります。「意思決定の迅速化」(13.7%)や「ビジネスモデルの変革」(13.7%)といった経営の根幹に関わる成果も挙がっており、AIが単なる業務ツールにとどまらず、企業の経営戦略における中核として位置付けられている実態が浮き彫りになっています。
また、デジタル化による業績全体への影響については、「期待以上の成果があがっている」が2.0%、「期待どおりの成果があがっている」が43.7%という結果が出ており、およそ半数近くの企業が導入効果を実感している状況です。特に従業員規模が大きくなるほど成果を感じる割合も高まっており、人的・財務的リソースが整っている企業ほどデジタル化の恩恵を享受しやすいことが示されています。
2024年度に中小企業がデジタル化に投じた金額は「100万円以上1,000万円未満」が48.7%と最多で、平均額は586.5万円、中央値は130万円となりました。規模別にみると、従業員数100人以上の企業では平均で1,304.3万円を投資しており、デジタル化に対する投資姿勢の違いが明確に表れています。注目すべきは、「かなり積極的に取り組んでいる」と回答した49人以下の小規模企業でも平均投資額が745.3万円にのぼり、これは100人以上の「あまり取り組んでいない」企業の269.8万円を大きく上回る結果となっており、取り組みの意志が投資規模に大きく影響していることを物語っています。
今後5年間の方針についても、「かなり積極的に取り組む予定である」が6.2%、「積極的に取り組む予定である」が48.3%と、合わせて54.5%の企業が今後もデジタル化を強化していく姿勢を示しています。ここでも企業規模が大きいほど前向きな傾向が見られましたが、同時に、現在すでに積極的に取り組んでいる企業ほど将来にわたっても継続的な取り組みを計画しているという相関関係が確認されています。
企業の採用担当者にとって、これらのデータは単なる統計情報ではなく、人材戦略を考える上での極めて実践的な材料になります。とりわけAIの導入や業務のデジタル化が進む中で、それに対応できるITリテラシーの高い人材、データを活用した意思決定ができる人材、そして新しいビジネスモデルを構築できる企画・開発人材の需要が急速に高まることが予想されます。また、今後の組織運営においては、デジタル化の推進を主導する人材の採用が成否を分ける鍵となるでしょう。
特に中小企業においては、大手企業に比べて採用競争力が弱いとされがちですが、「積極的にデジタル化に取り組む姿勢」や「AI活用による業務革新への実績」は、求職者にとって魅力的な職場の条件となる可能性が高まっています。企業のブランディングや採用広報においても、こうした取り組み実績を積極的に発信することが重要です。逆に、デジタル化への対応が遅れた企業では、今後の採用活動で不利になる懸念もあるため、早急な戦略の見直しが求められています。
⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ