2025年8月18日
労務・人事ニュース
令和7年10月3日から千葉県の最低賃金が1,140円に、5.95%増
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最終更新: 2025年8月17日 22:49
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千葉県最低賃金の64円の引上げを答申(千葉労働局)
この記事の概要
千葉県において、最低賃金が現行の1,076円から64円引き上げられ、1,140円となることが答申されました。この改正は令和7年10月3日からの施行が見込まれており、県内すべての労働者とその雇用主に影響を及ぼします。
千葉県最低賃金の改正が令和7年8月7日に千葉地方最低賃金審議会より答申され、現在の時間額1,076円から64円引き上げられ、1,140円に改正されることが明らかになりました。この答申は、千葉労働局長が同審議会に諮問した内容に基づくもので、審議の結果として、5.95%の引き上げ率をもって適当と判断されたものです。答申後は異議申出の公示などの手続きが進められ、問題がなければ令和7年10月3日から新たな最低賃金が施行される見通しです。
今回の改正は、過去5年間にわたる最低賃金の上昇傾向の中でも特に大きな金額となっており、企業経営や人材採用、パート・アルバイトの雇用環境に対して大きな影響を及ぼすと考えられます。参考までに、令和2年度から令和6年度までの最低賃金の推移を振り返ると、令和2年度は925円で、令和3年度が953円、令和4年度は984円、令和5年度が1,026円、令和6年度が1,076円と、年々着実に引き上げられてきました。引き上げ額としても、過去最大は令和6年度の50円でしたが、今回の64円という数字はこれをさらに上回るものとなっています。
このような最低賃金の上昇は、政府全体の賃上げ方針や物価高騰、労働者の生活保障といった社会的背景とも密接に関係しており、企業側にはこれに対応する柔軟かつ戦略的な姿勢が求められます。千葉県内においては、産業や業種、雇用形態、年齢などに関係なく、すべての労働者とその使用者がこの新たな最低賃金の対象となります。これは、正社員だけでなく、パートタイマーや臨時雇用者、さらには派遣労働者までも含む適用範囲であることを意味しています。
注意すべき点として、最低賃金に含まれない手当や賃金項目についても明確に定められています。例えば、精皆勤手当、通勤手当、家族手当のような固定的な手当や、結婚祝いや一時金など臨時に支払われる賃金、賞与などの1か月を超える期間ごとの支給、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金は、最低賃金の計算に算入されません。したがって、企業が従業員の基本賃金を最低賃金以上に設定する際には、これらを除いた純粋な時給ベースでの見直しが必要となります。
さらに、最低賃金の違反には罰則も設けられており、違反した使用者は最低賃金法第4条違反として、50万円以下の罰金を科される可能性があります。これはあくまで法的な制裁措置であり、企業イメージや信頼の低下といった社会的制裁にもつながりかねません。特に中小企業や人手不足の業種にとっては、今回の引き上げは賃金コストの増加という現実的な負担となるため、経営計画の見直しが急務です。
一方で、賃上げを積極的に進めることは、企業にとっても長期的にはメリットがあります。労働環境の改善や人材の定着率向上、モチベーションアップなどを通じて、生産性の向上や顧客サービスの質の向上につながる可能性があります。また、採用活動においても「最低賃金を上回る待遇」を前面に出すことで、求職者からの注目を集めることができ、採用競争力の強化にもつながります。
今回の千葉県最低賃金の改正は、県内すべての企業にとって共通の課題であると同時に、企業の在り方を問う大きな転機でもあります。業種によっては賃金水準がすでに最低賃金を大きく上回っているケースもある一方で、ギリギリのラインで運営している小規模事業者などは、対応策を講じなければ法令違反となるリスクがあります。今後の企業運営においては、労務管理と人事戦略を見直し、従業員の処遇改善をどのように実現していくかが問われています。
また、今回のような賃金改正が続く限り、企業には継続的なコスト試算や人件費見直しの仕組みが求められるため、一時的な対策ではなく、長期的な視点からの人材戦略と生産性向上のための投資が不可欠となります。従業員のスキルアップ支援や業務効率化のためのデジタルツール導入、柔軟な勤務体制の導入など、多角的な視点からの取り組みが、今後の企業成長を左右すると言っても過言ではありません。
このように、最低賃金の改正は単なる金額の変更にとどまらず、企業の経営全体に対する影響力を持つ重要な制度です。千葉県における1,140円という新たな水準は、労働者にとっては生活の安定を、企業にとっては組織体制の見直しを促す契機となるでしょう。今後の動向を注視しながら、各企業が適切かつ迅速に対応を進めていくことが強く求められています。
この記事の要点
- 千葉県最低賃金が1,140円へ引き上げ答申
- 引上げ幅は過去最大の64円で、施行は令和7年10月3日見込み
- 最低賃金は全ての雇用形態に適用され、違反には罰則あり
- 最低賃金に含まれない手当を把握し、基本給での見直しが必要
- 中小企業にはコスト負担となる一方、労働環境改善の好機でもある
- 人材確保・採用活動において新たな戦略構築が求められる
- 長期的な経営戦略としての人件費・労務管理の見直しが不可欠
⇒ 詳しくは千葉労働局のWEBサイトへ