2025年4月22日
労務・人事ニュース
CO2排出量5.8億トンに減少、令和4年度温室効果ガス集計結果を公表
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地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における令和4年度温室効果ガス排出量の集計結果の公表について(環境省)
2025年4月1日、環境省および経済産業省は、地球温暖化対策の推進に関する法律、通称「温対法」に基づき、令和4年度における温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度に関する最新の集計結果を公表しました。この制度は、一定量以上の温室効果ガスを排出する企業に対し、自らの排出量を把握し、国に報告する義務を課すことで、排出状況の透明化と自主的な削減行動を促進するものです。今回の公表は、そうした報告に基づいた排出実態を明らかにし、企業や国民全体の温暖化対策への意識向上を目的としています。
制度において対象となるのは、「特定排出者」と呼ばれる一定規模以上の温室効果ガス排出を行う事業者です。この中には、主に製造業やエネルギー関連事業者などの施設を保有する「特定事業所排出者」と、物流や旅客輸送を担う「特定輸送排出者」が含まれています。令和4年度に報告を行った特定事業所排出者は全国で12,044事業者(15,258事業所)であり、これは前年度の11,963事業者(14,915事業所)から微増しています。一方で、これら事業者から報告された温室効果ガスの総排出量は、5億5,951万トンのCO2換算量であり、前年の5億8,797万トンと比べて約2,846万トンの減少となりました。さらに、国内認証による排出削減量や原燃料の使用を考慮した「調整後排出量」では、5億3,050万トンとされ、こちらも前年度比で3,763万トンの減となっています。
また、特定輸送排出者として報告を行った事業者は1,335社に上り、前年度の1,321社よりもやや増加しましたが、報告された排出量は2,695万トンで、前年の2,562万トンから増加しており、輸送分野では依然として排出量削減の課題が残っている状況です。これら二つの区分を合わせた特定排出者全体での排出量の合計は、令和4年度で5億8,647万トンとなり、令和3年度の6億1,358万トンから2,711万トンの削減が実現しました。これは、経済活動の再活性化が進む中でも、エネルギー効率の改善や再生可能エネルギーの導入拡大などが一定の成果を上げた可能性を示唆しています。
排出量の算定においては、他人から供給された電気の使用に伴うCO2排出量も対象に含まれており、これは電力会社別の排出係数(令和3年度実績)に基づいて算出されています。このような算定方法は、企業が間接的に排出する温室効果ガスも可視化するものであり、全体的な排出責任を正確に把握するために不可欠な仕組みとされています。特に大規模な製造業や物流企業にとっては、事業活動に伴うエネルギー使用全体を見直すきっかけとなり、さらなる効率化の原動力ともなっています。
また、環境省と経済産業省は、これらの排出データを令和7年4月1日より公表ウェブサイトにて公開しており、事業者別の排出実績に加え、業種別・地域別の傾向分析も可能となっています。これにより、競合企業との比較や、産業界全体の動向を把握するためのデータベースとして、多くの企業で戦略的に活用されています。なお、公表されたデータは今後も継続的に精査され、必要に応じて更新が行われる予定であり、信頼性と透明性の確保が強く意識されています。
この制度は、報告義務を通じて企業に対して排出削減の自覚を促すとともに、報告された情報の公開を通じて、社会全体の脱炭素化に向けた気運を高める仕組みです。排出量を明確にすることは、ESG経営やサステナビリティ経営を重視する企業にとって不可欠であり、特に投資家や消費者からの信頼を得る上でも大きな影響を持ちます。こうした報告制度を通じた取り組みの積み重ねが、国内外の温暖化対策との整合を図りながら、持続可能な経済成長と環境保全の両立を実現するための鍵となるでしょう。
企業の採用担当者にとっても、こうした制度は重要な意味を持ちます。脱炭素経営に積極的な企業であることは、若年層や高スキル人材の採用において大きなアピールポイントとなります。特に、環境意識の高い学生や転職希望者は、企業の環境対応を重視する傾向があり、報告制度を通じて透明性を確保している企業は信頼を得やすくなります。また、社内での環境教育や、社員一人ひとりの環境行動の可視化といった取り組みにもつながる可能性があり、社員の意識向上や企業文化の形成にも好影響を与えるでしょう。
⇒ 詳しくは環境省のWEBサイトへ