2025年4月23日
労務・人事ニュース
ESG融資残高の割合が1.4%に上昇、前年比0.3ポイント増
- 「駅チカ」/正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「残業ゼロ」/正看護師/介護施設/住宅補助あり
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「土日祝休み」/正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
2024年度ESG地域金融に関するアンケート調査結果の公表について(環境省)
環境省は2025年3月、地域金融機関のESG金融に関する取組の実態と課題を明らかにするため、2024年度のアンケート調査結果を公表しました。調査対象は全国の都市銀行や地方銀行、信用金庫、信用組合など508機関であり、そのうち89.0%にあたる452機関からの回答が得られました。調査期間は2024年8月から10月にかけて行われ、環境省の委託を受けた野村総合研究所が実務を担当しました。
調査の背景には、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素の加速、GX推進法の成立、そして官民合わせて150兆円超のGX投資実現に向けた国の方針があります。こうした状況を受けて、地域金融機関にもESG金融の推進が強く求められています。特に、地域に根差した課題解決や持続可能な資源活用を支えるために、ESGの視点を取り入れた投融資の重要性が高まっています。
今回の調査では、金融機関の約半数がESG資金需要の拡大を実感しており、成長領域として今後も資金需要が増加するとの見通しを持っていることが分かりました。ただし、前年度と比較するとこの割合はやや減少しており、需要の伸びに対する慎重な見方も見受けられます。とくに、製造業、建設業、運輸業といった業種でのESG資金需要は引き続き高く、これらの業種に属する企業への支援が重視されている状況です。
一方で、ESG金融の推進にはいくつかの課題が浮かび上がっています。多くの金融機関が課題として挙げたのは、取引先企業の理解不足や人的リソースの限界、ESG関連融資の体制整備の不十分さです。例えば、ESG関連融資商品を用意していても、それを現場の職員が理解して活用できる体制が整っていない、あるいは取引先企業側にESGの必要性を伝えることが難しいという声が聞かれました。
このような中、金融機関ではESG人材の育成にも力を入れ始めています。外部セミナーや資格取得支援、社内勉強会などの施策を通じて、持続可能性の視点を理解する職員の育成が進められています。実際、回答機関の92%がSDGsやESG全般に関する知識習得を人材育成の目的に掲げており、また半数以上が投融資先との対話やエンゲージメントの深化を目指していることが明らかになりました。
地域との連携も、ESG金融を浸透させるうえで重要な要素となっています。全体の約47%の金融機関が自治体や大学、地域企業と連携して具体的な取組を実施しており、脱炭素コンソーシアムの設立や伴走型支援プログラムの展開といった具体的な事例も挙げられました。こうした取り組みは、単独では限界のある金融機関の支援能力を補完し、地域ぐるみでの課題解決を可能にします。
さらに、ESG要素を組み込んだ事業性評価の実施も進んでおり、約半数の金融機関がESGを評価項目として明文化したと回答しています。中でも、気候変動への対応や労働環境、法令遵守といった分野が評価の中心であり、特に排出量の算定支援や企業の持続可能な経営支援といった具体的なサービスも提供されています。実際に、企業の排出量算定支援やSDGs宣言のサポート、ESG要素を盛り込んだ金融商品の開発などが挙げられており、これらが企業の経営改善にも寄与していることが期待されています。
サステナビリティ情報の開示についても着実に進展しています。金融機関の約4割が情報開示を実施しており、その多くが投融資先との対話や投資家とのエンゲージメントに活用しています。中でもScope3の開示に関する評価や、統合報告書の活用による戦略理解の深耕が行われており、情報開示の高度化が着実に進んでいることが伺えます。
今後の展望としては、循環経済や自然再興といった広義の環境課題への対応が求められるようになります。現時点では、脱炭素への対応が先行していますが、今後はより広範なESG課題への取り組み方針を策定し、金融機関の組織全体へ浸透させることが不可欠です。また、地域金融機関は取引先企業に対して、経営課題の一環としてESG対応を促し、企業価値向上に繋がる支援を展開することが期待されています。
最後に、本調査から得られた知見は、「ESG地域金融実践ガイド3.0」にも反映されており、地域金融機関がESG金融を深化させていく上での重要な手引きとなります。環境省は今後もこうしたデータをもとに、政策形成や支援策の検討を進めていく予定であり、ESG金融のさらなる普及拡大に向けた取組が一層加速していくことが期待されます。
⇒ 詳しくは環境省のWEBサイトへ