2025年8月21日
労務・人事ニュース
令和7年11月16日から福岡県最低賃金1,057円、65円アップ
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/スポーツジム/介護施設
最終更新: 2025年8月22日 22:37
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「車通勤OK」/正看護師/訪問看護
最終更新: 2025年8月22日 22:37
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「ブランクOK」/准看護師/産婦人科/麻酔科/クリニック/残業ありません
最終更新: 2025年8月22日 22:37
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非常勤・病院・クリニックの看護師/即日勤務可/週4日以下/シフト
最終更新: 2025年8月23日 07:02
福岡県最低賃金の改正決定について(答申)(福岡労働局)
この記事の概要
福岡県は最低賃金を現在の時給992円から65円引き上げ、令和7年11月16日から1,057円とする方針を決定しました。この改定は、物価上昇と生活費の変化に対応し、労働者の生活の安定を図る目的で行われるものです。
福岡県における最低賃金の改定が、令和7年11月16日を目処に行われる見通しとなりました。今回の改定では、現行の時給992円から65円引き上げられ、1時間あたりの最低賃金は1,057円となります。これは引き上げ率にして6.6%に相当し、中央最低賃金審議会が示した全国一律の目安である63円を上回る水準です。この判断は、福岡地方最低賃金審議会による慎重な審議を経てなされたもので、労働者の生活費や賃金水準、企業の支払い能力などを総合的に勘案した結果とされています。
この改定に至るまでには、福岡労働局長からの諮問を受けた地方最低賃金審議会が、専門部会を設けて複数回にわたり協議を行ってきました。審議の中では、県内の労働者や事業者からの意見を聴取し、物価上昇や地域経済の状況、雇用情勢などの現実的な要素を丁寧に分析したうえで、最終的な答申がまとめられました。福岡県では、最低賃金が生活保護水準を下回っていないことも確認されており、法的基準との整合性も保たれた上での改定となっています。
近年の福岡県における最低賃金の推移を振り返ると、平成29年度の789円から令和6年度の992円に至るまで、毎年着実に引き上げが行われてきました。特に令和5年度から令和6年度にかけては、前年比で51円の増額が実施され、5.42%という高い伸び率を記録しています。今回の65円の引き上げは、この流れをさらに加速させるものであり、労働者の生活の安定を図るうえで重要な意味を持っています。
一方で、最低賃金の引き上げは、雇用を提供する事業者、とりわけ中小企業や小規模事業者にとっては大きな課題ともなり得ます。そのため、福岡地方最低賃金審議会は、政府に対し中小企業・小規模事業者が賃上げに対応できる環境整備の必要性について建議を行っています。建議の中では、まずパートナーシップ構築宣言の拡大とその実効性の向上が求められています。特に、川下に位置する中小企業などが労務費の上昇分を適切に価格転嫁できるよう、取引条件の改善や社会的理解の醸成が必要であると指摘されています。
さらに、賃上げに積極的に取り組む企業への税制優遇措置や補助金の強化、生産性向上への支援も重視されています。これは単に最低賃金の引き上げに対応するだけでなく、企業の長期的な収益力向上や事業承継への支援を通じて、地域経済全体を持続的に成長させることを目的とした方策です。特に都市部以外の地域では、小規模事業者が地域社会の基盤を支えていることから、その役割を果たし続けられるような支援が求められています。
加えて、最低賃金の改定により労働者の収入が一定額を超えることで、社会保険料の負担が生じるケースが多く見られます。これが実質的な手取りの減少につながる懸念があるため、労働力確保や働き続ける動機付けを損なわないよう、社会保障制度の在り方についての早期の議論開始も提案されています。特に非正規雇用の労働者については、キャリアアップ助成金や人材確保等支援助成金といった制度の充実を通じて、処遇改善を後押しする必要性が明示されています。
また、最低賃金の改定が地域の雇用や企業経営に与える影響についても、今後さらに詳細な分析が必要であるとされています。そのためには、都道府県ごとや産業別の調査研究を進めたうえで、最低賃金のあるべき水準や決定方法についての議論を深めていく必要があります。このようなプロセスを通じて、地域経済の実態に即した最低賃金制度の運用が期待されます。
さらに、地方最低賃金審議会における審議の質を高めるため、中央最低賃金審議会から提供されるデータの地域別詳細化や、審議日程の見直しも求められています。これにより、より明確な根拠に基づいた議論が可能となり、地域事情に合った賃金決定が実現されることが期待されます。
今回の最低賃金引き上げは、単に労働者の賃金を増やすだけではなく、福岡県の経済全体に影響を与える重要な施策です。労働者の生活安定を図ると同時に、中小企業や小規模事業者が健全に成長できるよう、支援体制の強化が求められています。こうした包括的な視点で最低賃金の在り方を捉え直し、労使双方にとって持続可能な制度として運用されることが重要です。
この記事の要点
- 福岡県の最低賃金が1時間1,057円に引き上げられる予定
- 改定は令和7年11月16日を目処に実施
- 引き上げ額は65円、引き上げ率は6.6%
- 労働者の生活安定を目的とした改定
- 中小企業・小規模事業者への支援体制強化の必要性が建議された
- 社会保険制度の見直しや助成金制度の充実も求められている
- 今後は地域実情に即した最低賃金制度の運用が期待されている
⇒ 詳しくは福岡労働局のWEBサイトへ