2025年8月18日
労務・人事ニュース
令和7年10月4日から北海道最低賃金1,075円へ65円引き上げ
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「夜勤なし」/准看護師/有料老人ホーム/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年8月20日 22:37
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/内科/消化器内科/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年8月20日 22:37
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「夜勤なし」/准看護師/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年8月20日 22:37
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「ブランクOK」/准看護師・正看護師/特別養護老人ホーム/介護施設/残業ありません
最終更新: 2025年8月20日 22:37
令和7年度北海道最低賃金額の改正を答申(北海道労働局)
この記事の概要
北海道地方最低賃金審議会は令和7年度の最低賃金を65円引き上げ、時間額1,075円とする答申を行いました。これは前年から6.44%の上昇であり、物価高騰や賃金上昇の状況を踏まえた判断です。発効は令和7年10月4日が見込まれており、中小企業には助成金や支援制度が用意されています。企業の採用担当者にとって、人件費の上昇や人材確保への影響を理解することが不可欠です。
北海道における最低賃金の改正は、単なる数値の変動ではなく、地域経済や労働市場の実態に深く根差した大きな変化を意味しています。今回、令和7年度における最低賃金が1,075円へと改定されることは、過去5年間の中でも特に大きな引き上げ幅となりました。令和3年度には889円であった最低賃金が、令和4年度に920円、令和5年度に960円、令和6年度に1,010円と段階的に上昇し、今年度はさらに65円増額されることで、わずか5年間で186円の引き上げが実現したことになります。
今回の審議において重視されたのは、労働者の生活費、賃金の水準、そして企業の支払い能力という最低賃金法に基づく3つの要素です。まず生活費に関しては、北海道における消費者物価指数が全国平均を上回る伸びを示しており、特に食料品の価格は前年同期比で6.5%の上昇となりました。これにより、最低賃金水準で働く人々の購買力が低下し、生活に困難を感じるケースが増えていることが背景にあります。また賃金水準においても、北海道内の労働組合や中小企業の賃上げ率が昨年を上回り、全国的にも高い伸びを示しています。連合北海道の調査では賃上げ率が4.91%となり、全国平均の5.25%には及ばないものの、前年からは確実に改善している状況が示されています。
一方で企業の支払い能力については、原材料費やエネルギーコストの高騰により、中小企業を中心に厳しい経営環境が続いています。財務省の調査によると、北海道の中小企業景況感は一部で改善が見られるものの、価格転嫁が進まず賃上げ原資を確保できない企業も少なくありません。そのため、今回の答申では単に引き上げ幅を決めるだけでなく、助成金や制度による支援が不可欠であることも強調されています。
中でも注目すべきは「業務改善助成金」や「キャリアアップ助成金」、「働き方改革推進支援助成金」などの支援策です。例えば、業務改善助成金では事業場内の最低賃金を引き上げた上で設備投資を行った場合、最大600万円の助成を受けられる仕組みが整っています。さらに、非正規雇用労働者の待遇改善を目的としたキャリアアップ助成金では、基本給を3%以上引き上げた場合に最大7万円の助成が受けられ、企業規模によってはより高い支援が得られるケースもあります。これらの制度を組み合わせることで、中小企業でも人件費負担の増加を吸収しつつ、生産性向上や人材確保につなげることが可能となります。
また、北海道の最低賃金が生活保護基準と比較して下回っていないことも確認されており、最低賃金制度が社会的セーフティーネットとして機能していることが示されています。これは、労働市場全体における公平性を確保する観点からも重要であり、最低賃金改正の妥当性を裏付けるものです。しかし一方で、労使双方の意見には隔たりが見られました。労働者側は今回の65円引き上げを地域間格差の是正に向けた前進として評価する一方で、依然として全国加重平均との乖離が残ることを課題視しています。対して使用者側は、最低賃金の引き上げが急速すぎるとして、中小企業の経営負担に配慮した慎重な運用を求めています。この対立は今後も議論の中心となるでしょう。
企業の採用担当者にとって、この最低賃金の改定は大きな意味を持ちます。最低賃金の引き上げは単なるコスト増ではなく、人材確保や労働市場の競争力に直結します。時給1,075円という水準は、全国的にも上位に位置する数字であり、求職者にとっては魅力的な条件の一つとなります。特に人手不足が深刻な業種では、賃金水準の引き上げが採用活動の成果を左右する要因となることが予想されます。また、待遇改善を前面に打ち出すことで企業のブランド価値や従業員満足度の向上にもつながり、定着率を高める効果も期待できます。
今回の改正を契機に、企業は単に最低賃金を順守するだけでなく、積極的に支援制度を活用しながら賃金体系の見直しや労働環境の改善に取り組むことが求められます。特に助成金を活用した設備投資や人材育成は、長期的に見て企業の競争力を高めるための投資となり得ます。賃金引き上げは一時的な負担増であっても、労働生産性の向上や人材確保を通じて持続可能な成長につながる可能性を秘めています。
したがって、北海道における最低賃金1,075円という数字は、地域経済の現実を反映した結果であると同時に、企業経営や採用活動に新たな課題と機会をもたらすものといえます。今後も企業が柔軟に対応し、制度を有効に活用することが、地域全体の発展に不可欠であると考えられます。
この記事の要点
- 北海道最低賃金は令和7年度に1,075円へ改正
- 前年より65円引き上げ、上昇率6.44%
- 消費者物価の上昇により最低賃金水準の生活者は困難を抱える傾向
- 中小企業への支援策として各種助成金や制度が用意されている
- 労使間で引き上げ幅を巡る意見の隔たりが存在
- 採用活動において賃金水準は人材確保の大きな要素
- 待遇改善は定着率や企業ブランドの向上にもつながる
⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ