2025年8月20日
労務・人事ニュース
令和7年10月12日発効予定 茨城県最低賃金1,074円、69円アップ
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最終更新: 2025年8月20日 22:37
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最終更新: 2025年8月20日 22:37
令和7年度茨城県最低賃金の改正答申について(茨城労働局)
この記事の概要
令和7年度の茨城県最低賃金が、現行の1,005円から69円引き上げられ、1,074円に改定される見通しとなりました。これは過去5年間で最大の上昇幅となり、引上率は6.87%に達しています。発効予定日は10月12日であり、事業者には早急な対応が求められます。
令和7年度における茨城県の最低賃金が大幅に引き上げられることが明らかになりました。茨城地方最低賃金審議会は、茨城労働局長からの諮問を受け、専門部会を設けて慎重な調査と審議を進めてきました。その結果として、現行の最低賃金時間額である1,005円を69円引き上げ、1,074円とすることが適当であると答申が行われました。この引上げ額は近年の改定額の中でも特に大きく、前年からの引上率は6.87%に達しています。最低賃金の改定は、物価上昇や労働市場の変化に対応し、労働者の生活の質を確保するための重要な施策です。
発効予定日は令和7年10月12日とされており、企業にとっては賃金体系の見直しを迫られる局面となります。最低賃金の引き上げは、特に人件費に敏感な中小企業やサービス業、飲食業などにとって経営上の負担となることが多く、適切な準備と対応が求められます。茨城労働局では、事業主に対し「賃上げ支援助成金パッケージ」の活用を推奨しており、支援策を通じて円滑な賃上げの実現を後押ししています。この支援制度は、一定の条件を満たすことで助成金の受給が可能となり、具体的には賃金を一定額以上引き上げた中小企業が対象となります。こうした制度は、地域の雇用環境を安定させ、持続可能な経営基盤を構築するために設けられたものであり、賃上げによる影響を和らげる重要なツールとなります。
ここ数年間の茨城県における最低賃金の推移を見てみると、令和3年度には879円、令和4年度には911円、令和5年度には953円、令和6年度には1,005円と、段階的に引き上げが行われてきました。今回の改定により、最低賃金は5年間で195円、率にして22.2%上昇することになります。このような継続的な上昇は、単なる一時的な対応ではなく、長期的な労働環境の改善を目指した政策の一環であることを物語っています。特に今回は、過去5年間で最も高い引上率となっており、労働者の生活水準を確保しながら、経済全体の活性化を図る狙いがあります。
最低賃金の改定に至るプロセスは、まず中央最低賃金審議会における目安審議から始まります。その後、各地方の最低賃金審議会にて地域ごとの事情を考慮した審議が行われ、最終的に労働局長による決定が公示されるという流れです。この間には、労使双方から異議の申出が可能であり、公平性と透明性が確保されています。今回の茨城県の改定についても、こうした丁寧な手続きを経て決定されたものであり、行政としての責任と公正な運営がなされていることがうかがえます。
企業の人事・労務担当者にとって、最低賃金の引き上げは給与制度の見直しだけでなく、労働条件全体の整備にも影響を及ぼします。最低賃金ギリギリで雇用している労働者だけでなく、周辺の給与層にも調整が求められるため、社内全体のバランスを取るための綿密な検討が必要となります。また、企業間競争が激化する中で、人材確保の観点からも魅力ある労働条件の整備が不可欠です。適正な賃金水準の確保は、企業の信頼性を高めるとともに、従業員の定着率の向上にもつながるため、経営戦略の一環として捉えることが求められます。
一方で、最低賃金の引き上げは消費者にも間接的な影響を及ぼすことが考えられます。賃金上昇によるコスト増加が商品やサービスの価格に転嫁されることで、物価上昇の一因となる可能性があります。しかしながら、適正な所得の増加は家計の購買力を高め、地域経済全体の消費活動を活発にする要因にもなり得ます。労働者の生活を守ることと、企業の持続的な成長を両立させるためには、行政と民間企業が連携し、バランスの取れた対応が必要です。
茨城県のように地方部でも最低賃金が着実に上昇している背景には、地域間格差の是正という国家的な課題もあります。都市部と地方部では物価や生活水準に違いがあるとはいえ、あまりにも大きな賃金格差は労働移動を阻害し、結果として地域経済の停滞を招く可能性があります。そのため、最低賃金の全国的な底上げは、単なる福祉政策ではなく、国全体の経済戦略としての側面も持っています。
今後、茨城県内の企業がどのようにこの最低賃金引き上げに対応していくかは、大きな注目を集めるでしょう。既に賃上げを前向きに進めている企業もあれば、支援制度を活用してようやく対応できる企業もあります。特に中小企業においては、経営資源が限られている中での賃金改定となるため、行政による継続的な支援や相談体制の充実が求められます。
まとめとして、今回の最低賃金の改定は、単なる数値の変更ではなく、茨城県の労働市場全体に影響を及ぼす大きな転換点となるものです。雇用の安定と地域経済の発展を実現するために、企業、労働者、そして行政がそれぞれの立場から協力し、持続可能な労働環境の実現に向けた取り組みが今後ますます重要となります。
この記事の要点
- 令和7年度の茨城県最低賃金は1,074円に引き上げられる予定
- 引上額は69円、引上率は6.87%で過去5年間で最大の上昇幅
- 発効予定日は令和7年10月12日
- 事業者には賃上げ支援助成金の活用が推奨されている
- 最低賃金の引き上げは労働者の生活安定と地域経済の活性化が目的
- 企業には賃金体系の見直しや人材確保のための対策が求められる
- 継続的な最低賃金の上昇は国全体の経済戦略の一環
⇒ 詳しくは茨城労働局のWEBサイトへ