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2025年8月19日

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令和7年10月8日から石川県最低賃金 時給1,054円、70円アップ

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令和 7 年度石川県最低賃金の改正答申について(石川労働局)


この記事の概要

令和7年10月8日より、石川県の最低賃金が現行の984円から70円引き上げられ、1,054円へと改定されることが決まりました。これは平成14年以降で最大の引き上げ幅となり、賃金水準の改善に向けた大きな一歩となります。


石川県内で働くすべての労働者にとって、大きな節目となる最低賃金の改定が発表されました。令和7年10月8日から施行される新たな最低賃金は、時間額1,054円と定められ、これは前年から70円の引き上げとなります。引き上げ率で見ると7.11%に達し、石川県で最低賃金が時間額で定められるようになった平成14年以降で最大の上昇幅となりました。

今回の最低賃金改定においては、中央最低賃金審議会が示した引上げ額の目安(石川県では63円)を上回る70円という結果となっており、地域における労働環境や物価上昇などの社会的背景が反映された判断といえます。この目安はあくまで指針であり、各都道府県の最低賃金審議会では、地域の経済状況、雇用情勢、中小企業の支払い能力などを総合的に勘案し、最終的な金額を決定します。石川県においても、公益代表、労働者代表、使用者代表による専門部会が慎重な審議を重ねた上で、今回の答申に至りました。

最低賃金の引き上げは、生活の安定を図るとともに、地域経済全体に活力を与える重要な政策のひとつです。とりわけ非正規雇用の労働者にとっては、その賃金水準が直結する問題であり、日々の暮らしへの影響も大きいものです。一方で、最低賃金の上昇は企業側、特に中小企業や小規模事業者にとっては人件費の増加を意味するため、その対応には慎重な準備と支援策が必要となります。

そのような背景の中で、厚生労働省および石川労働局は、業務改善助成金やキャリアアップ助成金といった支援制度の活用を呼びかけています。これらの制度は、「賃金引上げ支援助成金パッケージ」としてまとめられており、企業が賃上げに対応するための設備投資や人材育成、非正規雇用者の待遇改善などに活用することができます。これにより、企業が単にコスト増として賃上げを受け入れるのではなく、将来的な生産性向上や事業の持続性を見据えた前向きな取り組みへとつなげることが期待されています。

特に注目すべきは、業務改善助成金において、労働能率を向上させる設備の導入や業務フローの改善が助成対象となっている点です。これにより、事業主が経営改善と労働環境の向上を同時に進めやすくなっています。また、キャリアアップ助成金では、有期雇用から正規雇用への転換や賃金体系の整備など、より安定した雇用形態への転換が促進されており、働く側にとってもメリットの大きい制度です。

さらに、今回の改定によって石川県の最低賃金が初めて1,000円を超えたことは、象徴的な意味を持ちます。これは単なる数字の上昇にとどまらず、石川県全体として労働条件の向上を社会全体で受け止め、改善に向けて取り組む姿勢の表れといえます。これまでの推移を見ても、令和元年度の832円から数年で大幅に引き上げられており、その間に行われてきた政府や自治体、関係団体の努力が反映されています。令和2年度こそ新型コロナウイルスの影響もあり1円の引き上げにとどまりましたが、それ以降は毎年20円以上の引き上げが続き、令和6年度には984円となっていました。

今後のスケジュールとしては、本答申内容についての異議申し出の公示が行われた後、正式に官報にて改正内容が公示されます。そして、最短で令和7年10月8日から新しい最低賃金が発効となる予定です。この間、企業は新たな賃金体制への移行準備を進める必要があり、特にパート・アルバイトを多数雇用する業種では、労働契約内容の見直しや就業規則の改定なども求められる可能性があります。

今回の最低賃金改定は、単に労働者の賃金を引き上げるだけでなく、地域経済の底上げと企業の経営体質改善という二つの側面を同時に推進するものとして位置づけられています。従って、企業側にとっても単なる負担ではなく、経営の見直しや働き方改革を進める好機として前向きに受け止めることが求められます。これに伴い、国や自治体からの支援制度を活用しながら、経済の好循環を生み出す取り組みが今後一層期待されるところです。

働く人々の暮らしを守る最低賃金制度が持つ意義は、単なる法定のルールにとどまりません。それは、労働の価値を社会全体で認め合い、誰もが安心して働ける環境づくりを目指すものであり、まさに社会的共通資本と呼ぶにふさわしい制度といえます。令和7年度の石川県最低賃金改定を契機に、働く人、企業、そして地域社会がそれぞれの立場から協力し合い、持続可能な経済社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出すことが求められています。

この記事の要点

  • 令和7年10月8日から石川県の最低賃金が1,054円に改定
  • 前年度から70円引き上げ、平成14年以降で最大の上昇幅
  • 引き上げ率は7.11%で中央の目安を上回る結果
  • 中小企業向けに業務改善助成金やキャリアアップ助成金の活用を推奨
  • 最低賃金の引き上げは地域経済や労働環境の改善にもつながる
  • 支援制度を通じて企業の前向きな取り組みを促進

⇒ 詳しくは石川労働局のWEBサイトへ

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