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2025年9月8日

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令和7年12月1日から岩手県最低賃金 時給1,031円、79円アップ

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岩手県最低賃金の改正決定の答申について(岩手労働局)


この記事の概要

岩手県における最低賃金が、令和7年度より時給1,031円へと引き上げられることが決定しました。これは現行の952円から79円の増額であり、引き上げ率は8.30%となります。本記事では、最低賃金制度の基本的な仕組みや、今回の改正決定に至るまでの審議の流れ、過去20年にわたる岩手県内での最低賃金の推移を詳しく解説します。企業の人事・労務担当者が押さえておくべき重要な内容を、制度の意義や経済的背景にも触れながら丁寧にお伝えします。


岩手県における最低賃金の改正が正式に答申され、令和7年度から新たに時給1,031円が適用される見通しとなりました。これは、現在の時給952円から79円の引き上げとなり、引き上げ率にして8.30%の上昇となります。この改正は、令和7年8月28日に開催された第4回岩手地方最低賃金審議会において決定され、今後は所定の手続きを経た上で官報に公示され、早ければ令和7年12月1日から適用開始となる予定です。

この決定は、岩手労働局長からの諮問に基づき、岩手地方最低賃金審議会が県内の景気動向や賃金の状況、さらには中央最低賃金審議会が示す引上げ額の目安などを総合的に勘案しながら、慎重な調査と議論を重ねた上で導き出された結果です。岩手労働局によれば、この賃金改定は、地域における労働者の生活の質の向上を目指すと同時に、企業間の健全な競争を促す効果も期待されています。

最低賃金制度は、国が法的に最低限の賃金を定めることで、すべての労働者が一定水準以上の報酬を受け取ることを保証する仕組みです。この制度の目的は、低賃金による生活困窮を防ぎ、労働環境の健全化を図ることにあります。加えて、企業間の賃金競争に一定のルールを設けることで、公正な経済活動の基盤をつくり、地域経済全体の安定と発展にも寄与することを目指しています。

地域別最低賃金は、都道府県ごとに設定されており、すべての業種や職種に関係なく、該当地域で働く労働者に一律で適用されます。これに加え、特定の産業に限定して適用される「特定最低賃金」も存在します。今回の改正は、地域別最低賃金の変更に該当し、岩手県内で働くすべての労働者と、その労働者を1人以上雇用しているすべての事業者に対して適用されることになります。

最低賃金の決定には、「審議会方式」が採用されており、これは労働者・使用者・公益の三者を代表する委員によって構成される最低賃金審議会によって調査審議が行われる制度です。審議においては、労働者の生計費、現在の賃金水準、そして通常の事業の賃金支払能力といった三つの要素が総合的に考慮されます。これらは、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むために不可欠な条件であり、生活保護の水準とも整合性を図るよう努められています。

今回の引き上げ幅79円という数字は、全国平均に近い水準であり、岩手県が全国的な水準に歩調を合わせていることを示しています。また、この改定額は中央最低賃金審議会による「目安制度」を参考にして決定されており、毎年全国をA、B、Cの3つのランクに分けて改定の指針となる引上げ額を提示していることが特徴です。もっとも、提示された目安額は地方最低賃金審議会にとって拘束力を持つものではなく、あくまで参考資料として扱われています。

岩手県における最低賃金の過去の推移を見ると、平成14年度時点では時給605円でした。そこから着実に引き上げが進められ、令和6年度には時給952円に達しています。特に直近の数年においては、物価上昇やコロナ禍の影響を背景に、賃金の引き上げ幅が大きくなっている傾向が見受けられます。例えば、令和4年度には33円、令和5年度には39円、そして令和6年度には59円という大幅な引き上げがなされています。こうした背景には、国全体としての最低賃金引き上げ方針と、それに伴う地域経済への影響を慎重に見極めながらも、労働者の生活安定を第一に考える行政の姿勢が反映されているといえるでしょう。

一方で、企業側にとっては人件費の増加という形での負担が懸念されます。とりわけ中小企業や小規模事業者にとっては、賃金の引き上げが経営を圧迫する要因にもなり得ます。しかしながら、適正な賃金水準の確保は、労働者の定着率の向上や生産性の改善にもつながる可能性があります。企業としては、賃金コストの増加を単なる経費として捉えるのではなく、優秀な人材を確保し、長期的な事業成長を見据えるための投資として捉える視点が求められます。

今回の改正により、岩手県内で働くパートタイム労働者やアルバイト、契約社員といった非正規雇用の人々にも直接的な恩恵が及ぶことになります。とりわけ、最低賃金に近い水準で働いている人々にとっては、今回の79円の引き上げは生活費の補填として大きな意味を持つものとなるでしょう。さらに、賃金水準の上昇は消費の拡大を促す効果もあり、地域経済全体の活性化にもつながることが期待されています。

このように、最低賃金の引き上げは、単に労働者の報酬が増えるというだけでなく、労使関係や地域経済に多方面での影響を及ぼす重要な政策です。今後も社会情勢や経済環境の変化を見据えつつ、継続的な見直しが求められることは間違いありません。岩手県内の企業においても、今後の経営戦略においてこの最低賃金改定を重要な要素として取り入れ、柔軟かつ前向きな対応が期待されます。

この記事の要点

  • 岩手県の最低賃金が令和7年度から時給1,031円に引き上げられる
  • 改定額は現行より79円増で、引き上げ率は8.30%に達する
  • 最低賃金は審議会による調査と答申を経て決定される
  • 改正は早ければ12月1日から施行予定
  • 平成14年度の時給605円から着実に引き上げが続いている
  • 最低賃金制度は労働者の生活保護と企業間の公正競争を目的とする
  • 中小企業にとっては人件費負担が増える懸念もあるが、労働力確保の視点が重要
  • 非正規雇用者にも恩恵が及び、地域経済の活性化が期待される

⇒ 詳しくは岩手労働局のWEBサイトへ

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