2025年4月18日
労務・人事ニュース
JR東日本の運賃改定、通勤定期は平均12.0%値上げで企業負担増大
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最終更新: 2025年5月1日 09:34
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「東日本旅客鉄道株式会社からの鉄道の旅客運賃の上限変更認可申請事案」に関する答申について(国交省)
2025年4月1日、国土交通省は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)から申請された鉄道旅客運賃の上限変更について、運輸審議会の答申を受けて正式に認可する方向で進めることを明らかにしました。この答申は、令和6年12月にJR東日本が提出した申請に基づき審議されたものであり、同年2月には公聴会も開催され、利用者や関係者からの意見が広く聴取されました。その結果、申請内容は鉄道事業法上の認可要件を満たしていると判断され、申請通りの運賃上限改定を認可することが適当であると結論づけられました。
今回の改定で特に注目されるのは、普通旅客運賃と定期旅客運賃の改定率の違いです。平均的な普通運賃の改定率は7.8%、定期運賃全体では11.0%の値上げが認められており、通勤定期は12.0%、通学定期でも4.9%の引き上げが実施されます。これは、JR東日本が管轄する広範な地域、すなわち1都16県にわたるエリアでの運賃体系に直接的な影響を与える大規模な改定です。
また、今回の運賃見直しでは、従来別枠で設定されていた「電車特定区間」および「山手線内」の特別な運賃区分が廃止され、これらが標準的な「幹線」運賃に統合されることも重要なポイントです。この見直しにより、長年にわたって低価格で提供されてきたこれらの区間でも値上げが実施されることになり、都心部の通勤・通学者を中心に影響が及ぶことが予想されます。
運賃改定の背景には、コロナ禍による鉄道利用者の減少や、少子高齢化、物価高騰、人件費の上昇といった複合的な経営課題があります。JR東日本はこれまでも、新幹線の延伸、在来線の輸送力増強、直通運転の実施といったサービス拡充を通じて収益改善とコスト削減に努めてきました。実際、発足当初に比べて輸送人キロは約1.15倍に増加し、鉄道事業に携わる人員は7万2,000人から3万3,000人へと大幅に削減されています。これらの取り組みにより、消費税率引き上げ以外の運賃改定は避けられてきたという歴史があります。
しかし、近年はテレワークの定着による通勤者数の減少、オンライン会議の普及による出張需要の低下、加えてエネルギー価格や資材費の上昇といった経費の増大が、経営を大きく圧迫しています。さらに、安全性の維持やバリアフリー化、老朽化した設備の更新、災害への備えとしての耐震化、さらには羽田空港アクセス線などの新規プロジェクトへの投資も必要であり、安定した収益基盤の確保が喫緊の課題となっていました。
運輸審議会の審議では、将来の需要予測や社会動向も考慮されました。特に、北陸新幹線の敦賀延伸、訪日外国人観光客(インバウンド)による利用増、そして運賃改定による利用者数の変化といった複雑な要素を反映させたシミュレーションが実施されました。その結果、令和8年度から令和10年度にかけての平均的な年間収支率は99.8%と見込まれ、改定後の運賃でも適正な原価と利潤を大きく超過することはないと判断されました。
このような制度的枠組みにおいて、運賃改定の可否は鉄道事業法第16条に定められた「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えない」かどうかという基準によって決まります。今回の答申は、この条件を満たしていることが明確に示されたものです。
一方で、今回の改定は利用者への影響も大きいため、運輸審議会は国土交通省に対して、JR東日本が丁寧な説明責任を果たすよう助言することも併せて要望しています。とりわけ、「電車特定区間」や「山手線内」の区分廃止に関しては、区間別・券種別の値上げ率を明確に説明し、改定の合理性と必要性を丁寧に伝えることが重要であるとしています。
企業の採用担当者や人事部門にとって今回の運賃改定は、従業員の通勤コストに直接的な影響を及ぼすため、注視すべき事案です。たとえば、通勤定期代が平均12.0%上昇することになれば、企業が従業員に支給する通勤手当の総額も増加する可能性が高く、年間で数十万円単位のコスト増となるケースもありえます。特に社員数が多く、都心部に本社を構える企業にとっては、予算計画や福利厚生制度の見直しを余儀なくされる局面も出てくるでしょう。
また、通学定期の改定率が4.9%に抑えられている点は、学生の経済的負担への配慮ともとれますが、企業が支援するインターンシップや若年層の移動支援に間接的な影響を与えることも考えられます。交通コストの上昇は、人材の流動性や通勤距離の選択に影響し、結果的に勤務地の選択や職場定着率にも波及することがあります。
今後、運賃改定が実施される令和8年度以降において、企業側でも交通費支給制度の柔軟化、テレワークやフレックスタイム制の導入促進などを通じて対応する動きが加速することが予想されます。通勤手段や頻度が変化する中で、従業員がより働きやすい環境を整えるための制度設計が求められる時代に突入しているといえるでしょう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ