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2025年8月21日

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令和7年度 香川県最低賃金が過去最高1,036円に引き上げ、66円アップ(8月20日時点の発表)

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令和7年度香川県最低賃金の改正答申について(香川労働局)


この記事の概要

香川県において、令和7年度の最低賃金が大幅に引き上げられることが発表されました。時間額は前年度比66円増の1,036円となり、これは平成14年度以降で最大の上昇幅となります。


香川県において、令和7年度の最低賃金が大幅に引き上げられる見通しとなりました。香川地方最低賃金審議会は、今年7月15日に香川労働局長から「香川県最低賃金の改正決定について」の諮問を受け、専門部会を設けて調査審議を行ってきました。その結果、8月20日に時間額1,036円とする旨の答申をとりまとめ、同日に香川労働局長へ報告されました。この記事を執筆している時点は、効力発生予定日の記載は書類の中には記載がなかった。

この新たな最低賃金は、現在の時間額970円から66円の引き上げとなり、改定額としては過去最大となる記録的な上昇幅です。平成14年度に最低賃金が時間額単独方式に改定されて以来、これほど大きな引き上げは前例がありません。今回の改定は、中央最低賃金審議会が8月4日に示した全国的な引き上げ目安に基づき、香川地方最低賃金審議会が地域の実情を踏まえたうえで慎重に審議し、経済的・社会的な影響を総合的に考慮した結果導き出されたものです。

香川県内の最低賃金の変遷を見てみると、令和3年度には時間額848円であり、それが令和4年度に878円、令和5年度には918円、令和6年度には970円と、年々着実に引き上げが行われてきました。令和7年度の1,036円への改定により、過去5年間での上昇額は実に188円に達します。上昇率で見ると、令和6年度の5.66%を上回る6.80%の上昇となり、賃金水準の向上が急速に進んでいることが分かります。

こうした最低賃金の引き上げは、地域経済にとって大きな影響をもたらすとともに、企業の経営方針や採用戦略にも直接的な関わりを持つものです。特に人手不足が深刻化している中小企業にとっては、人材確保のための賃金競争力の確保が課題となる一方、コスト増への対応も迫られることになります。企業の採用担当者にとっては、今後の賃金制度の見直しや、人件費の再配分、求人条件の再設定といった対応が求められる局面に差し掛かっていると言えるでしょう。

香川労働局によると、今後はこの答申内容に対する異議申し出を受け付ける期間が設けられ、その後、正式に最低賃金の改正決定がなされる予定です。異議申し出の調査審議が必要となる場合には、それを経たうえで最終決定とされ、公示をもって効力が発生します。こうした一連の流れは、中央及び地方最低賃金審議会が協力し、社会全体のバランスを取りながら賃金政策を推進していく中で、極めて重要な手続きとされています。

また、四国四県の最低賃金推移を見ると、香川県は常に他県よりやや高めの水準を維持しています。徳島県・愛媛県・高知県と比較しても、香川県はこの5年間で最も大きな引き上げ率を記録しており、地域間の賃金格差が徐々に広がりつつある状況です。これは香川県内の経済活動が比較的活発であり、企業の業績や雇用需要の高さが賃金改定に反映されているとも解釈できます。

一方で、企業側には新たな課題も生じています。特に非正規労働者を多く雇用している業種、例えば小売業や飲食業では、賃金の引き上げが直ちに経営コストに跳ね返るため、その影響は無視できません。こうした業界では、価格転嫁や業務効率化、人員配置の見直しなどが急務となるとともに、労働者側にとってはより良い雇用条件が求められる中で、働く環境の改善にもつながる可能性があります。

最低賃金の上昇は、単なる金額の問題ではなく、雇用の質、地域の労働環境、生活水準にまで波及する重要な政策です。賃金引き上げによって地域住民の可処分所得が増加すれば、消費の活性化や地域経済の循環促進にも寄与することが期待されます。ただし、そのためには企業と行政が一体となり、労働環境の整備と安定的な雇用創出を目指す協力体制が不可欠です。

香川労働局では、引き続き企業や労働者に対する丁寧な周知と、制度改定に伴うサポートを強化していく方針です。特に今回のように過去最大の賃金引き上げとなる局面では、情報の正確な伝達と、現場における理解の促進が求められます。雇用の現場では、労働者のモチベーション向上と企業の持続可能な運営の両立を図る必要があり、その鍵を握るのが、まさにこの最低賃金改定の現実的な運用なのです。

この記事の要点

  • 令和7年度の香川県最低賃金は1,036円となる予定
  • 前年度からの引き上げ額は66円で過去最大
  • 上昇率は6.80%で近年でも特に高い水準
  • 過去5年間で最低賃金は188円上昇
  • 引き上げによる企業側のコスト増への対応が課題
  • 人材確保と賃金競争力の維持が採用戦略に直結
  • 異議申し出を経て正式決定、公示後に効力発生
  • 最低賃金改定は地域経済全体への波及効果が大きい

⇒ 詳しくは香川労働局のWEBサイトへ

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