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2025年8月18日

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令和7年10月4日 宮城県最低賃金1,038円へ65円引き上げ

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令和7年度宮城県最低賃金の改正答申について(宮城労働局)


この記事の概要

宮城県最低賃金審議会は令和7年度の最低賃金を65円引き上げ時間額1,038円とする答申を行いました。引き上げ率は6.68%であり、発効予定日は令和7年10月4日とされています。


今回の宮城県最低賃金改正答申は、地域経済や労働市場における現状を踏まえ、労働者の生活安定と企業経営の両立を図る上で重要な意味を持ちます。答申によって最低賃金は1,038円に設定され、前年の973円から65円の増額となりました。この改定幅は過去数年間の中でも比較的大きく、6.68%という上昇率は物価高騰や人件費上昇に対する調整の結果であるといえます。特にエネルギー価格や食料品を中心とする物価の上昇が県内の家計を圧迫している現状において、最低賃金の引き上げは労働者にとって生活を支える重要な政策的措置と位置づけられます。

宮城県の最低賃金推移を振り返ると、令和3年度には853円であったものが、令和4年度に883円、令和5年度に923円、令和6年度に973円と上昇を続けており、わずか4年間で185円もの増加。この動向は、政府が掲げる「構造的賃上げ」の方向性と合致しており、地域格差の是正と生活水準の向上に資するものです。

一方で、中小企業にとっては賃金引き上げが経営に直結する大きな負担となるのも事実です。原材料費の高騰やエネルギーコストの上昇が続く中、価格転嫁が難しい企業では人件費増加への対応が急務となっています。そのため宮城労働局は、事業主に対して「賃上げ支援助成金パッケージ」の積極的な活用を呼びかけています。具体的には、業務改善助成金では30円から90円の引き上げ幅に応じて最大600万円まで支給される仕組みが整えられており、生産性向上に資する設備投資を伴うことで助成対象となります。

さらに、非正規雇用労働者を対象としたキャリアアップ助成金では、賃金規定を3%以上改定した場合に一人あたり最大7万円の助成が支給され、企業規模や改定率によって助成額が変動します。加えて、働き方改革推進支援助成金は労働時間削減や年次有給休暇取得促進を図る取り組みを行う中小企業に対し、成果に応じて最大550万円の支援を行うものです。また、人材確保等支援助成金は雇用管理制度や職場環境整備を通じて離職率を低下させた企業に最大287.5万円を助成し、人材の定着と安定的な雇用の実現を支えています。

人材育成の観点からは、人材開発支援助成金が職業訓練を実施した企業に対し訓練経費や賃金の一部を助成し、さらに訓練後に5%以上の賃上げを実施した場合は追加の助成が行われます。具体例として、中小企業が正規雇用労働者に10時間の訓練を実施し、その後資格手当を支給して3%以上の賃上げを行った場合、7万円の助成を受けることが可能です。こうした支援策は、人材育成を通じた企業の競争力強化に直結するだけでなく、採用活動における魅力向上にも寄与します。

また、成長分野であるデジタルやグリーン関連業務に従事する労働者を新たに雇用した場合や、中途採用率を拡大した際に5%以上の賃上げを実施すれば、従来の助成金額の1.5倍が支給される特例も設けられています。このような施策は、人口減少が進む宮城県において労働移動を円滑化し、人材の流動性を高めることを目的としています。特に採用担当者にとっては、賃金水準の改善を通じて求職者に対する訴求力を高めることができ、企業ブランドや従業員満足度の向上に直結する点が注目されます。

さらに、今回の最低賃金改定は単なる金額調整ではなく、企業の労働環境整備や雇用戦略に大きな影響を与えるものであると考えられます。最低賃金の上昇により、人材確保競争は一層激化することが予想され、採用活動における柔軟な戦略が求められます。その一方で、待遇改善を通じた人材の定着は離職率低下につながり、長期的な人件費削減という側面も持ち合わせています。

総じて、宮城県最低賃金1,038円という数字は、労働者の生活安定と企業経営の持続可能性を両立させるための重要な指標であり、採用担当者にとっては今後の採用計画や人事戦略を見直す契機となるものです。企業が各種助成金を効果的に活用しつつ、生産性向上と人材育成を進めることで、地域経済全体の発展へとつながっていくことが期待されます。

この記事の要点

  • 宮城県最低賃金は令和7年度に1,038円へ改定
  • 前年から65円引き上げで上昇率は6.68%
  • 4年間で185円増加
  • 中小企業には最大600万円支給の業務改善助成金など支援策が充実
  • 非正規雇用労働者へのキャリアアップ助成金は一人あたり最大7万円支給
  • 採用活動や人材定着に直結する待遇改善が企業経営に影響

⇒ 詳しくは宮城労働局のWEBサイトへ

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