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2025年9月16日

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令和8年3月卒予定 求人倍率4.38倍!宮城県の高校新卒者採用状況で読み解く人材確保の難しさ(令和7年7月末現在)

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令和8年3月新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況(令和7年7月末現在)について(宮城労働局)


この記事の概要

宮城労働局は、令和8年3月に高等学校を卒業予定の生徒に関する最新の求人・求職状況を公表しました。令和7年7月末時点のデータによると、求人倍率は前年に比べてやや減少したものの、県内企業の採用意欲は引き続き高水準にあります。産業別や職種別、企業規模ごとの詳細な求人傾向も明らかにされており、企業の採用担当者にとって有益な情報がまとめられています。


宮城労働局は、令和8年3月に高等学校を卒業予定の生徒を対象とした最新の求人・求職状況について、令和7年7月末時点の統計を公表しました。これによると、県内のハローワークを通じて受理された求人数は10,051人で、前年同月比で2.2%、具体的には231人の減少となっています。一方で、求職者数は2,850人、そのうち県内での就職を希望する生徒は2,294人であり、県内の求人倍率は4.38倍と高い水準を維持しています。この数字は、求人数が求職者数の4倍以上に及んでいることを意味し、企業にとっては人材確保が難しくなっている現状を表しています。

職業別に見ると、求人数が最も増加したのは「専門的、技術的、管理的職業従事者」で、前年同月より111人の増加が見られました。逆に、最も減少したのは「サービス職業従事者」で、176人の減少という結果でした。このことから、専門的なスキルや資格を要する職種に対する求人が伸びている一方で、サービス分野における求人はやや減少傾向にあることがうかがえます。

産業別に見ると、最も大きな減少幅を示したのは建設業で、前年同月比179人の減少となりました。一方で、製造業や情報通信業、福祉関連業種では一定の求人数を維持しており、地域産業における人材需要のバランスに変化が見られます。特に製造業の中でも「プラスチック製品製造業」では前年比で129人増と大きく伸びており、技術系職種への需要が高まっている様子が読み取れます。

男女別に見ると、男子の求職者数は1,695人、そのうち県内希望者は1,328人で、通信制課程を除いた場合の求人倍率は4.58倍となっています。一方、女子の求職者数は1,155人で、県内希望者は966人、求人倍率はやや低めの傾向ですが、依然として高水準を保っています。通信制課程の卒業予定者も含めて統計が取られるようになった点は、より現実的な就職状況を反映するものとなっています。

また、企業の規模別に見た場合、最も求人が多かったのは「従業員数29人以下」の中小企業で3,943人を占めており、全体の約39%を構成しています。次いで「30~99人」の企業が2,884人、「100~299人」が1,787人と続いています。規模の大きな企業ほど求人の伸びは鈍化しており、中小企業が地元高校生の雇用を支えている実情が浮き彫りとなっています。

安定所別に見ても、仙台が最も多く5,601人の求人を受理しており、県全体の半数以上を占めています。次いで石巻が832人、大和が679人となっていますが、塩釜や白石、築館といった地域では前年比10%以上の減少が見られるなど、地域によって雇用環境にばらつきがあることが確認されました。特に塩釜では前年に比べ14.4%の求人減となっており、地元雇用の確保が今後の課題といえそうです。

なお、令和8年3月卒業予定の生徒に関しては、学校推薦による応募開始が令和7年9月5日から、選考および採用内定開始が同月16日からと定められており、今回の統計にはまだ内定者の数は反映されていません。そのため、実際の就職決定状況については9月末のデータで報告が行われる予定となっています。

今回の報告から読み取れる大きなポイントは、高卒予定者を取り巻く雇用環境が企業側にとって依然として売り手市場であるという点です。求人倍率が高水準にあることからも、人材を確保したい企業にとっては、早期の採用活動開始がカギとなるでしょう。特に、専門的技術や管理職志向の学生へのアプローチを強化することで、将来的な人材育成にもつながる可能性があります。

また、求人が減少傾向にあるサービス業や建設業などでは、より魅力的な雇用条件の提示や教育制度の整備が急務とされています。若年層にとっては、給与面や勤務環境、福利厚生の充実度が職場選びの基準になることが多いため、企業側は自社の魅力を正確に伝える取り組みも求められます。さらに、通信制高校の卒業生を含めたデータ管理が導入されたことで、多様な学生層への就業支援が進みつつあります。企業にとっては、これまでリーチできなかった層への採用戦略の見直しも検討材料になるかもしれません。

求人動向全体を見渡すと、ここ数年で着実に求人倍率が上昇しており、令和3年3月卒では2.75倍、令和5年では3.48倍、そして令和6年には4.13倍、令和7年には4.57倍と推移しています。令和8年には若干減少して4.38倍となりましたが、それでも過去10年間で最も高い水準の一つにあります。この傾向が続く限り、企業は競争力のある採用活動を求められ、学生側もより選択肢の多い環境で進路を決定することが可能になります。

人材不足が深刻化する中、企業の採用戦略はより柔軟かつ個別対応が求められる時代に突入しているといえます。宮城労働局が発表した今回のデータは、そうした状況下での重要な指標であり、企業の人事担当者や採用責任者にとっては、今後の採用活動に向けた現状把握と戦略立案の貴重な情報源となるはずです。

この記事の要点

  • 令和7年7月末時点での新規高卒者向け求人は10,051人
  • 求人倍率は4.38倍で前年よりわずかに減少
  • 求職者のうち約8割が県内での就職を希望
  • 専門的職種の求人が増加し、サービス職種は減少傾向
  • 建設業の求人が前年より179人減少し最も大きな減少幅
  • 最も求人が多かったのは従業員数29人以下の中小企業
  • 通信制課程卒業予定者も統計に含まれるようになった
  • 内定状況は9月以降に反映予定

⇒ 詳しくは宮城労働局のWEBサイトへ

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