2025年9月17日
労務・人事ニュース
令和7年7月 埼玉県の新規求人倍率が2.22倍に上昇、採用競争が激化する企業現場
- 精神科訪問看護の正看護師/未経験OK/車通勤可/即日勤務可
最終更新: 2025年9月17日 07:04
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最終更新: 2025年9月17日 01:48
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最終更新: 2025年9月16日 23:00
- 鍼灸師/天神南駅/福岡市中央区/福岡県
最終更新: 2025年9月16日 08:08
埼玉労働市場ニュース(令和7年7月分)(埼玉労働局)
この記事の概要
令和7年7月時点における埼玉県内の雇用情勢は、求職者数が高水準を維持する一方で、求人がそれを上回る形で推移しており、全体としては緩やかな回復基調にあります。有効求人倍率や新規求人倍率が上昇し、企業の採用意欲が高まっている様子がうかがえますが、業種別では依然として差があり、回復の足取りには偏りが見られます。
埼玉労働局が令和7年8月29日に公表した最新の労働市場統計によると、同年7月における有効求人倍率は1.18倍となり、前月の数値から0.01ポイント上昇しました。この数値は、1人の求職者に対して1.18件の求人があることを意味しており、雇用環境が引き続き企業側に有利な「売り手市場」であることを示しています。求人数は104,429人で前月比1.3%の増加、有効求職者数も88,127人と前月に比べて0.1%増加しており、求職・求人の双方が緩やかながら増加傾向にあります。
特筆すべきは、新規求人倍率が2.22倍と、前月比で0.20ポイントも上昇している点です。新たに登録された求人件数は36,659人で、前月より11.0%も増加しました。これに対して新規求職者数は16,497人で、前月比1.1%の増加にとどまっています。この差から、新規採用を積極的に行おうとする企業の動きがより鮮明になっていると言えるでしょう。つまり、埼玉県内の企業は労働力の確保に向けて積極的に動き始めており、採用担当者にとっては人材確保に向けたタイミングの見極めが重要になる局面です。
このような全体傾向の中で、職業別にみると求人の動きにはばらつきが見られます。製造業関連では、機械組立のような熟練技能を要する分野で求人が堅調に推移している一方、出荷調整や軽作業といったパートタイム中心の仕事においては横ばい、あるいはやや減少傾向となっています。また、介護や看護などの福祉分野における求人は依然として高い水準にあり、慢性的な人手不足を背景に新規求人の割合も多くなっています。特に介護職では、離職率の高さもあり、継続的な人材確保が課題とされています。
一方、サービス業の中でも、外食産業や観光業などの一部業種では求人の動きに足踏みが見られています。これは物価の上昇による消費行動の抑制や、業種特有の労働条件に起因する就職意欲の低迷が背景にあると考えられます。とりわけ長時間労働や休日の確保が困難な業種では、求人倍率が上昇しても応募数が思うように伸びないという課題を抱えています。このような構造的なミスマッチの存在は、今後の労働市場における大きな課題の一つとなるでしょう。
企業の採用戦略にとって重要なポイントとして、求人を出しても採用に至らないケースが多い業種では、賃金水準の見直しや柔軟な勤務形態の導入が求められています。たとえば、介護や飲食業では時給や休日制度の改善が求職者の関心を集める上での大きな要素となっており、実際に待遇面の改善を行った企業では、応募数や定着率に明確な変化が見られるという報告もあります。
さらに、ハローワークインターネットサービスの機能拡充が求職活動に大きな影響を与えている点も見逃せません。令和3年9月以降の統計には、オンライン上で求職登録を行った人々や、ハローワークのWebサイト経由で直接応募した求職者も含まれています。これにより、在宅で求職活動を行う層や、子育て・介護などで時間的制約のある層の活動が反映されやすくなっており、労働市場の裾野が広がっているのが現状です。
また、今回の統計では、ハローワークで取り扱う求人と求職者の動きのみが反映されています。民間職業紹介業者や求人広告による採用活動のデータは含まれておらず、全体の労働市場動向を把握するには、あくまでも「公的機関に登録された動き」として位置付ける必要があります。とはいえ、ハローワーク経由での採用活動は依然として多くの中小企業にとって主力であり、ここでの数字の変化は企業経営に直結する非常に重要な指標となっています。
今後の課題としては、企業が求人を出しても人が集まらないという「求人難」と、求職者が仕事を見つけられない「就職難」が同時に存在する、いわゆる「構造的ミスマッチ」の解消が挙げられます。これは単に雇用の数の問題ではなく、条件や働き方の不一致に起因するものであり、企業は単なる人手確保にとどまらず、働きやすさやキャリアパスの提示といった定性的な面でのアプローチが求められます。
労働局の統計データからは、雇用市場が回復に向かう中でも、業種や職種、地域によって状況が大きく異なっていることが明らかです。企業の人事担当者にとっては、単に求人倍率だけで判断せず、自社が属する業界の特性や地域の雇用傾向を正しく分析した上で、効果的な採用戦略を構築することが求められています。これにより、限られた人材市場の中で、いかにして自社に適した人材を確保し、定着させていくかが今後の大きなテーマとなるでしょう。
この記事の要点
- 埼玉県の有効求人倍率は1.18倍で前月から0.01ポイント上昇
- 新規求人倍率は2.22倍と大きく上昇し採用意欲の高まりが顕著
- 新規求人数は36,659人で前月比11.0%増加、新規求職者数は1.1%増
- 介護や福祉分野は依然として高水準の求人が続いている
- 一部サービス業では求人の足踏みが続き、ミスマッチが顕在化
- ハローワークのオンライン機能拡充で求職の裾野が広がっている
- 採用成功には待遇改善や柔軟な働き方の導入がカギとなる
⇒ 詳しくは埼玉労働局のWEBサイトへ