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2025年9月17日

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令和7年7月 東京の有効求人倍率1.68倍、求人は依然として求職を上回る状況が継続

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一般職業紹介状況(令和7年7月分)(東京労働局)


この記事の概要

東京労働局が公表した令和7年7月分の労働市場データによると、有効求人倍率は1.68倍と前月よりわずかに低下しましたが、新規求人倍率は3.49倍に上昇し、採用活動は依然として活発であることが明らかになりました。この記事では求人・求職の実数をもとに、東京の労働市場の現状と企業側が取るべき対応について詳しく解説します。


東京労働局が令和7年8月29日に発表した最新の労働市場統計によると、東京都における有効求人倍率(季節調整値)は1.68倍となり、前月と比較して0.02ポイントの低下となりました。有効求人倍率が1倍を上回る状態が続いていることは、求人数が求職者数を上回っている、いわゆる「売り手市場」の傾向が続いていることを示しています。ただし、微減とはいえ倍率が低下している背景には、景気の先行き不透明感や物価上昇の影響が少なからず影響していると見られます。

有効求人数(原数値)は361,492人となり、前年同月と比較すると4.0%の減少となりました。これは2か月連続で前年同月を下回ったことになり、企業側の求人活動にやや慎重さが出てきている兆候といえます。反対に、有効求職者数は214,260人で前年同月比2.0%の増加となっており、22か月連続で前年を上回っています。つまり、求職者の動きは引き続き活発である一方、企業側の求人がやや減少傾向にあるという、需給のギャップがわずかに縮小しつつある状況が伺えます。

一方、新規求人倍率(季節調整値)は3.49倍と、前月より0.04ポイント上昇しました。これは新たに発生した求人に対して、求職者数が相対的に少ないことを示しています。新規求人数は128,012人で、前年同月比1.1%の増加となっており、3か月ぶりに前年同月を上回る結果となりました。また、新規求職者数も36,251人で、前年同月比4.3%の増加でした。企業が新たに人材を求めている一方で、求職者側も積極的に動いている様子が数値からも明らかです。

主要9産業別に見ると、情報通信業や学術研究・専門技術サービス業で新規求人数が前年同月比で増加しており、特にIT関連産業における人材ニーズが継続して高い状況にあります。これはテレワークの定着やシステム開発需要の増大に伴うもので、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業にとっては重要な人材確保の機会となっています。一方、製造業や宿泊業・飲食サービス業では、前年同月比で減少に転じた分野も見られ、業種ごとの回復スピードに差があることも明らかです。

こうした状況において、企業の採用担当者が注視すべき点は、求人倍率だけでなく、職種別の需給状況や業界全体の動向です。例えば、新規求人倍率が3倍を超えているにもかかわらず人材が集まらないケースでは、賃金水準や就業条件が市場平均に比べて見劣りしている可能性があるため、自社の条件を定期的に見直すことが必要です。また、オンラインでの求人活動が主流になっている今、求人票の表現や情報の透明性も求職者の応募意欲に大きく影響します。

注目すべきは、東京という都市特性が労働市場に強く影響している点です。東京都内では多様な業種が集積しており、若年層からシニア層まで幅広い求職者が活動している一方、家賃や生活コストの高さから一定の給与水準が求められるため、企業にとっては待遇面での工夫が欠かせません。また、外国人労働者や副業・兼業を希望する人材の増加も、採用戦略の柔軟性を必要とする要素として無視できない存在になっています。

東京都の雇用情勢に関して、東京労働局は「求人が求職を上回って推移しているものの、物価上昇などが雇用に与える影響に注意する必要がある」との見解を示しており、景気回復と同時にインフレやコスト高の影響を慎重に見極める必要があると指摘しています。企業としては、目先の人材確保にとどまらず、長期的な定着と育成を見据えた人事戦略の見直しが求められています。

このように、東京の労働市場は全体として活況を呈しているものの、業種別・職種別に見ると温度差があり、単純に求人数や倍率を追うだけでは本質的な採用活動に結びつかない現実があります。採用担当者にとっては、自社が置かれた環境を冷静に分析し、具体的な採用施策を柔軟に設計していく姿勢が不可欠です。また、ハローワークや各種公的支援サービスとの連携を強化し、ミスマッチの解消に向けた取り組みを積極的に行うことも、これからの人材確保における重要な鍵となるでしょう。

この記事の要点

  • 有効求人倍率は1.68倍で前月より0.02ポイント低下
  • 有効求人数は36万1492人で前年同月比4.0%減少
  • 有効求職者数は21万4260人で22か月連続増加
  • 新規求人倍率は3.49倍に上昇し、採用意欲の高さが続く
  • 新規求人数は12万8012人で前年同月比1.1%増加
  • IT・専門職分野での人材需要は依然として高水準
  • 生活コストの高い東京では賃金水準の見直しが必須
  • 求職者の多様化に対応した柔軟な採用戦略が求められる

⇒ 詳しくは東京労働局のWEBサイトへ

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