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2025年9月18日

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令和7年7月 石川県の有効求人倍率が1.60倍に低下、求人数27,314人でも求職者増で変化

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最近の雇用失業情勢(令和7年7月分)(石川労働局)


この記事の概要

石川労働局が発表した令和7年7月分の雇用統計によると、有効求人倍率は1.60倍となり、前月から0.02ポイント低下しました。新規求人倍率は2.73倍に上昇し、正社員有効求人倍率も前年同月比で0.23ポイント増加。県内の雇用情勢は持ち直し傾向にある一方、一部には注意が必要な点も見られます。


石川県内の令和7年7月時点における最新の雇用情勢が明らかとなり、石川労働局が公表したデータからは、地域における労働市場の回復傾向とともに、産業別の動向や求職者の動きなど、さまざまな実態が浮かび上がっています。まず、全体の有効求人倍率(季節調整値)は1.60倍と発表されており、これは求職者1人に対して1.6件の求人がある計算になります。前月からは0.02ポイントの減少となり、これで4か月連続の低下となりました。こうした動きから、雇用回復の勢いにやや減速の兆しがあることがうかがえます。

有効求人倍率が低下した背景には、有効求人数の減少と有効求職者数の増加という2つの動きが影響しています。具体的には、有効求人数(季節調整値)は27,314人で、前月比1.2%の減少となりました。一方、有効求職者数は17,083人で、前月から0.4%の増加が見られています。このように、求人が減少する中で求職者が増加する構図が、倍率の低下をもたらしています。

ただし、新規求人倍率に目を向けると、こちらは2.73倍となり、前月から0.08ポイント上昇しています。これは2か月連続の上昇であり、新たに発生する求人の数が依然として高水準であることを示しています。企業側の採用意欲が衰えていないことが読み取れ、これは将来的な雇用回復の兆しと評価できます。また、正社員の有効求人倍率(原数値)は1.44倍で、前年同月比で0.23ポイントの上昇となりました。安定した雇用を求める動きと、それに応える企業側の姿勢が確認できます。

産業別の動きを見ると、建設業では前年同月比で201人、27.0%の増加が見られました。製造業も25人(2.4%)増、情報通信業は36人(40.4%)増と、大きな伸びを示しており、いずれも積極的な人材確保の動きが背景にあります。とくに情報通信業における40%超の増加は、デジタル化やDXの進展を背景とした雇用需要の高まりが要因と考えられます。運輸業・郵便業は99人(18.5%)増、宿泊業・飲食サービス業は91人(14.9%)増と、コロナ禍からの回復基調が続いています。さらに、医療・福祉業でも85人(4.6%)の増加が見られ、人材不足が長期的に続いている分野での求人ニーズの高さが続いています。

一方で、卸売業・小売業では159人(8.6%)の減少、サービス業全体でも67人(6.2%)の減少が確認されており、業種ごとに雇用の動きに差があることが明らかになっています。これらの業種では、物価高騰や人件費の上昇などを背景に、採用計画を見直す動きが広がっている可能性があり、業績や経済環境によって左右されやすい業態であることが改めて示されました。

また、新規求職者(原数値)は前年同月比で1.3%の減少、在職者は968人で前年同月比8.9%増加、離職者は2,065人で6.9%減少という動きが確認されています。この点からも、現在職に就きながら新たな職を探す在職者の動きが活発化していることがわかり、転職市場が徐々に動きを取り戻している兆しと捉えることができます。

公共職業安定所別に見た有効求人倍率では、金沢所、白山所、加賀所、七尾所、輪島所の5つのハローワークで前年同月比で上昇傾向が見られた一方、小松所では低下が確認されています。これは地域ごとの産業構造や求人ニーズの違いを反映しており、地域別の雇用対策や支援の在り方に工夫が求められる局面です。

石川労働局は今回の雇用情勢について、「県内の雇用情勢は持ち直しの動きが続いているものの、一部注意を要する状態にある」との基調判断を示しています。この「注意を要する状態」という表現は、表面的な数字が好転している一方で、業種ごとの採用動向のばらつきや、景気の不確実性、物価やエネルギー価格の上昇といった外的要因によるリスクが内在していることを暗示しています。

企業の採用担当者にとっては、これらの数値と背景を踏まえたうえで、今後の採用活動をどのように展開していくかが重要です。求人倍率が高いということは、一見すると採用しやすい環境に見えるかもしれませんが、実際には競争が激化しており、魅力的な条件や職場環境を整備しなければ優秀な人材の確保は困難です。特に若年層や中堅層に対しては、キャリアアップの機会や働きがいを明示することが求められています。また、在職者の転職活動が活発化している点からは、現在の従業員の定着対策や働きやすい職場づくりも、採用活動と同等以上に重視すべきテーマです。

このような情勢のなかで、石川県の労働市場は回復と再編の狭間にあり、各企業にとっては慎重かつ戦略的な人材戦略の見直しが求められているといえるでしょう。

この記事の要点

  • 有効求人倍率は1.60倍で4か月連続の低下
  • 有効求人数は27,314人で前月比1.2%減少
  • 有効求職者数は17,083人で前月比0.4%増加
  • 新規求人倍率は2.73倍で2か月連続の上昇
  • 正社員有効求人倍率は1.44倍で前年より0.23ポイント上昇
  • 建設業では求人が27.0%増加し需要の高さを示す
  • 情報通信業では前年比40.4%の求人増加でDX関連需要が明白に
  • 宿泊・飲食サービス業や医療福祉分野でも堅調な求人傾向
  • 卸売業・小売業、サービス業では求人が減少傾向
  • 在職者の転職希望が増加し、転職市場が活発化

⇒ 詳しくは石川労働局のWEBサイトへ

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