2025年9月18日
労務・人事ニュース
令和8年3月卒予定 高卒求人倍率3.83倍、福井県で見えた採用市場(令和7年7月末現在)
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最終更新: 2025年11月3日 09:35
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最終更新: 2025年11月3日 01:04
令和8年3月新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況(令和7年7月末現在)(福井労働局)
この記事の概要
福井労働局が発表した令和8年3月新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況によると、令和7年7月末時点において福井県内の高卒求人倍率は3.83倍となり、前年同月比で0.16ポイントの低下が見られました。求人数は4,238人で前年比5.9%減少し、就職希望者数も1,106人と2.0%減少しました。
福井県における高等学校卒業予定者の就職市場に関する最新の動向が、福井労働局により公表されました。この調査は、令和8年3月に卒業を予定している高校生のうち、学校やハローワークを通じた職業紹介を希望した生徒を対象に行われたものであり、県内の労働需給の現状を把握する上で非常に重要な資料となっています。調査の基準日は令和7年7月末であり、各企業が提示した求人数や生徒の就職希望状況が反映されています。
まず注目すべきは、県内の求人数が4,238人であった点です。これは前年同月と比較して5.9%の減少であり、経済活動の動向や採用方針の見直しなど、企業側の事情が反映された結果と言えます。一方で、就職を希望する高校生の数は1,106人となり、前年に比べて2.0%の減少が確認されました。人口減少や進学志向の高まりなど、若年層の就職動向の変化がその背景にあると考えられます。
求人数に対する就職希望者数の割合を示す求人倍率は、3.83倍となりました。この数字は、1人の求職者に対して約3.8件の求人があるという状況を示しており、高水準ではあるものの、前年同月の3.99倍と比較すると0.16ポイントの低下が見られます。これは、求人数の減少幅が就職希望者数の減少幅を上回っていることを意味しており、企業側の採用意欲がやや弱まっていることが示唆されます。
福井県の高卒求人市場は、全国平均と比較しても高い水準にあります。これは、県内の産業構造や中小企業の比率が高いこと、また若年層の人材確保が企業にとって喫緊の課題となっていることが影響しています。しかし、今回のデータからは、コロナ禍以降の景気回復がある程度進んだ中でも、採用活動を抑制する動きが一部で見られることがうかがえます。とくに、人手不足が慢性化している業種においても採用計画を見直す企業が増えている可能性があります。
こうした中で、採用担当者が留意すべき点として、今後の就職活動スケジュールや高校生の職業観の変化があります。高卒採用は時期が非常に限られており、7月から10月にかけての数ヶ月が勝負となります。その間に企業が自社の魅力を十分に伝え、ミスマッチを避けた採用活動を行うことが求められます。また、若年層の間では、給与や勤務時間だけでなく、働きがいや職場の雰囲気、成長機会といった要素も重視されるようになっています。そのため、企業側は職場環境の整備やインターンシップの導入、SNSなどを活用した情報発信などを積極的に進めていくことが重要です。
加えて、福井県のように人口規模が比較的小さく、若年人口の流出が続いている地域では、地元志向の強い生徒に向けたアプローチが鍵を握ります。地域に根差した活動を行っている企業は、自社の地域貢献性や安定性をアピールすることで、就職希望者の関心を高めることができるでしょう。さらに、保護者や学校関係者と連携し、企業説明会や見学会を通じて情報を共有する取り組みも効果的です。保護者の意向が高校生の進路決定に大きな影響を与えることを踏まえれば、その意向を的確に捉えた採用広報が必要です。
今回の調査結果は、求職者側と求人側の動向が共に減少している点で特徴的です。これは、一方的な景気後退とは異なり、双方の動きが連動していることを意味しており、労働市場全体の構造的な変化の兆しとも読み取れます。少子化やデジタル化の進展により、今後ますます人材確保は困難になると予想される中で、企業が高卒人材をいかに確保し育成していくかが、地域経済の持続性を左右する重要なポイントとなります。
福井県内の企業においても、従来の採用手法だけでなく、ICTを活用した新たな人材アプローチや、若年層が求める柔軟な働き方への対応が求められる時代に突入しています。働き方改革やワークライフバランスの確保など、企業の姿勢が採用結果に直結することも増えてきており、今後は「選ばれる企業」であることがますます重視されるようになるでしょう。中長期的な視点で人材戦略を見直し、単なる人手の補充ではなく、将来の担い手としての育成を意識した採用活動が求められます。
こうした背景を踏まえると、令和7年7月末時点の求人倍率3.83倍という数字は、単なる統計データではなく、地域の雇用構造や経済活動、さらには若年層の価値観までもが反映された結果であることが理解できます。今後も継続的なモニタリングと柔軟な対応を通じて、企業と求職者双方にとってより良いマッチングが実現されることが期待されます。
この記事の要点
- 福井県内の高卒求人倍率は3.83倍で前年から0.16ポイント低下
- 求人数は4,238人で前年同月比5.9%減少
- 就職希望者数は1,106人で前年同月比2.0%減少
- 若年層の進学志向や職業観の変化が背景にある
- 採用活動では企業の魅力を的確に伝える工夫が重要
- 地元志向の強い生徒への対応や保護者・学校との連携が求められる
- 求職者と求人側の双方が減少し、労働市場の構造変化が示唆されている
- 中長期的な人材育成戦略が地域経済の鍵となる
⇒ 詳しくは福井労働局のWEBサイトへ


