2025年9月22日
労務・人事ニュース
令和6年度調査で判明した高校生の社会保障・労働施策への関心度、医療63.6%、賃金80.0%
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最終更新: 2025年9月21日 01:36
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令和7年版厚生労働白書 第1部 第2章 社会保障・労働施策に関する若者の意識と知ることの意義(厚労省)
この記事の概要
本記事は、令和6年度に実施された厚生労働省の調査をもとに、日本の若者が社会保障や労働施策に対してどのような意識を持ち、どの程度理解し関心を抱いているかを詳細に解説します。特に高校生を対象としたアンケート結果から、アルバイト経験や教育の有無が関心度や理解度に与える影響、情報取得手段の現状と課題、さらには地域共生社会への若者の参加事例まで幅広く紹介し、若者の主体的な生活設計の重要性についても触れています。これにより、企業の採用担当者が若者の価値観やニーズを把握し、適切な支援やコミュニケーション戦略を検討するための基礎資料となる内容です。
令和6年度に行われた厚生労働省の調査によると、高校生を中心とした若者の社会保障や労働施策に対する関心は高いものの、その具体的な理解度にはばらつきが見られます。医療や年金、介護、福祉、公衆衛生などの社会保障分野において、「とても関心がある」または「やや関心がある」と答えた割合は、医療で63.6%、年金58.3%、介護43.3%、福祉49.2%、公衆衛生47.5%でした。一方、労働時間の規則や賃金の決まりに関しては、79.5%と80.0%という非常に高い関心が示されており、若者が働く環境に強い関心を持っていることがうかがえます。
この調査は全国の高校生3000人を対象にWebフォームで匿名回答を得ており、進学率や就職率を考慮した補正を経て集計されています。こうした方法論により、信頼性の高いデータとして若者の意識動向を把握しています。さらに、社会保障制度や労働施策の具体的な内容についての理解度を尋ねたところ、「よく知っている」「何となく知っている」を合わせた割合は約5~6割に達しました。例えば、「働く時間が一定時間を超えたら休憩がもらえる」というルールについては60.2%が理解していると回答しています。
興味深い点として、アルバイト経験の有無が社会保障や労働施策への理解度に大きく影響していることが挙げられます。アルバイト経験者の中では労働施策の理解度が高い傾向が顕著であり、逆に経験のない若者は理解度が低い傾向にあります。このことは、実際に働くことで労働法令や権利義務に対する認識が深まることを示唆しています。また、社会保障教育や労働法教育の経験がある若者は、それぞれの分野に対する関心度や理解度が高いことも明らかになっています。教育内容を覚えている若者ほど理解度が特に高いという結果も出ており、教育の質と記憶の定着が理解促進に寄与していることがわかります。
若者が社会保障や労働施策を知る手段としては、インターネット(68.4%)やSNS(56.5%)、学校(48.5%)、家族・知人(45.9%)が主な選択肢となっています。しかしながら、SNSなどの情報の正確性に不安を感じている若者が多く、54.9%が「情報が正しいかわからない」と回答しています。特にインターネットやSNSを利用したいと考える若者の90.6%が情報の信頼性に疑問を持ちながらも利用している現状が浮き彫りになりました。これは情報リテラシーの向上や公的機関の情報発信の工夫が今後の課題であることを示しています。
若者自身の声としては、20歳で年金を払い始めた学生が将来の自立に向けて知識の重要性を認識していることや、世代間対立を煽らず全世代に目を配る社会保障の在り方を望む意見、DX技術を活用した過労死防止への期待など、多様な視点が聞かれました。ユース年金学会の学生からは、社会保障制度を学ぶことで制度への信頼感が増し、未来に備える心構えができるとの指摘もありました。農福連携に取り組む東海大学の学生は、地域活動への参加には「意欲」と「きっかけ」が必要であり、地域住民との双方向の協力が不可欠だと述べています。
ヤングケアラー支援の取り組みも注目されており、神戸市では学校や関係機関との連携を強化し、個別ケース会議や事例検討会議を通じて支援体制を整備しています。高校生による啓発動画作成や老人ホーム運営企業との連携による就労支援も行われており、若者の社会参加と支援のモデルケースとなっています。こうした支援は、当事者の思いや意見を尊重し、負担感の違いにも配慮した丁寧な対応が特徴です。
労働法令の基本的な知識と相談窓口の周知も重要視されており、特にアルバイトを始める時期に合わせて「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンが展開されています。最低限知っておくべきポイントとして、労働時間の規定、残業手当、有給休暇、労災保険の利用、解雇の制限などが挙げられており、トラブル事例も具体的に示すことで若者の理解を促進しています。相談先として総合労働相談コーナーや労働条件相談ほっとラインが紹介されており、一人で悩まず相談できる環境づくりが進んでいます。
将来の生活設計に関しては、女性の出産後の働き方による世帯の生涯可処分所得の試算が示されており、正社員継続、非正規雇用、パートタイム再就職、離職など複数のケースごとに収入の変化が分析されています。これにより、ライフコースや働き方の選択が長期的な生活水準に大きく影響することが理解できます。若者が主体的に将来を選択し、生活設計を行うためには、こうした情報を踏まえた判断が不可欠です。
困ったときの対応については、高校生の61.5%が「なるべく自分や家族の力だけで解決すべき」と考える一方で、44.3%が「地域の人に頼るべき」、68.4%が「友人・知人に頼るべき」、59.5%が「行政に頼るべき」と回答しています。特に社会保障教育の経験がある若者は「行政に頼るべき」と考える割合が高く、教育が公共支援への理解と受容を促進していることが示唆されます。
地域共生社会の実現に向けては、東海大学とNPO法人熊本福祉会の連携による農福連携活動が紹介されており、学生が障がい者の育てた野菜を販売し、被災地支援の募金活動も行っています。こうした活動は学生の意識変革や社会貢献意欲の醸成につながっており、地域社会との相互理解と支え合いの好循環を生み出しています。また、岐阜県東白川村の労働者協同組合や東京都新宿区のひきこもり・不登校経験者による労働者協同組合創造集団440Hzの事例も紹介され、多様な背景を持つ若者が自らの経験を活かしながら社会参画を果たしている姿が描かれています。
最後に、地域での付き合いについての調査では、高校生の33.0%が「地域の行事や会合に参加したり、困ったときに助け合う」ことを望ましいと考えており、地域社会への関心と参加意欲が一定程度存在することが確認されました。社会保障や労働施策の理解を深めることは、若者が自らの生活や将来に責任を持ち、地域社会の一員として積極的に関わるための基盤となるでしょう。
この記事の要点
- 社会保障や労働施策に対する若者の関心は高いが、具体的な理解度には差がある
- アルバイト経験や教育の有無が関心度・理解度に大きく影響している
- インターネットやSNSが主要な情報源だが、情報の信頼性に不安を感じている若者が多い
- 社会保障教育や労働法教育は若者の理解促進と制度への信頼感向上に寄与している
- ヤングケアラー支援や地域共生社会の実践例が若者の社会参加を促進している
- 労働法令の基本知識と相談窓口の周知がトラブル防止に重要である
- 将来の生活設計にはライフコースや働き方の選択が大きく影響し、主体的な判断が求められる
- 地域社会への参加意欲は一定程度存在し、支え合いの精神が育まれている
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ