2025年9月22日
労務・人事ニュース
女性支援新法施行後の2023年度DV被害者相談44,085人と全国共通短縮ダイヤル#8778の役割
- 「夜勤なし」/正看護師/デイサービス/オンコールなし
最終更新: 2025年9月21日 22:37
- 「駅チカ」/正看護師/整形外科/外科/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年9月21日 22:37
- 「駅チカ」/准看護師・正看護師/クリニック/車で通えます
最終更新: 2025年9月21日 22:37
- 「車通勤OK」/正看護師/介護施設/研修が充実で安心
最終更新: 2025年9月21日 22:37
令和7年版厚生労働白書 第2部 第3章 自立した生活の実現と暮らしの安心確保(厚労省)
この記事の概要
本記事では、地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体制の整備や生活困窮者自立支援制度、生活保護制度の現状と見直し、成年後見制度の推進、戦没者遺骨収集事業および戦傷病者・遺族への援護など、多岐にわたる厚生労働省の施策を丁寧に解説します。特に2024年から2025年にかけての最新動向や具体的な数値を交え、社会福祉の質の向上と持続可能な地域づくりに資する取り組みを詳述しています。
日本社会は少子高齢化や人口減少、地域社会の脆弱化という構造的課題に直面しており、その中で住み慣れた地域で自分らしく暮らせる「地域共生社会」の実現が急務となっています。このため、各市町村では地域住民の多様な生活課題に対応できる包括的な支援体制の整備が進められており、福祉分野だけでなく他の政策領域との連携も重視されています。2024年6月からは「地域共生社会の在り方検討会議」が開催され、今後の支援体制のあり方について活発な議論が行われています。
ひきこもり支援に関しては、2022年度から都道府県や指定都市に設置されていた「ひきこもり地域支援センター」を市区町村にも拡充し、「ひきこもり支援ステーション事業」や「ひきこもりサポート事業」の強化を図りました。これにより、より身近な場所で相談や支援が受けられる環境が整備されつつあります。
また、国主導で支援者の研修を充実させ、2023年度からは中堅職員や指導的立場の支援者も対象に含めるなど、支援の質の向上と支援者自身のケアにも注力しています。2024年度には新たな指針として「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~」が策定され、地域住民の理解促進や孤立防止のための普及啓発活動も展開されています。
災害時の被災者支援も重要な柱であり、東日本大震災以降、仮設住宅等で避難生活を余儀なくされた被災者に対し、孤立防止の見守りや日常生活の相談支援を行う「被災者見守り・相談支援等事業」が継続的に実施されています。2019年度以降は特定災害に限定せず、災害発生時に自治体が速やかに事業を展開できる体制が整備されました。さらに、24時間365日の無料電話相談窓口も設置され、困難を抱える人々の悩みに寄り添い、必要に応じて面接や同行支援を提供しています。
消費生活協同組合(生協)は、地域や職域を基盤とした相互扶助組織として、宅配や店舗での商品供給、共済、医療、福祉事業を展開するとともに、高齢者の見守りや子育て支援、災害時の被災者支援など地域コミュニティづくりに積極的に貢献しています。2021年には生協法施行規則が改正され、地域課題解決に取り組む組織への物品供給が円滑になるよう措置が講じられ、能登半島地震でも生活支援物資の提供や職員派遣、募金活動などの支援が継続的に行われました。
矯正施設退所者の福祉サービス利用を支援する「地域生活定着促進事業」は2009年度から実施されており、全国48か所の地域生活定着支援センターが矯正施設や保護観察所、福祉機関と連携して退所後の生活支援を行っています。2021年度からは被疑者や被告人に対する福祉サービス利用調整や継続的援助も開始され、再犯防止と地域共生社会の実現に寄与しています。
成年後見制度は認知症や精神障害などにより判断能力が不十分な人を支える重要な仕組みであり、2022年には第二期基本計画が閣議決定され、市民後見人の育成や権利擁護支援の充実、意思決定支援の浸透など制度運用の改善が進められています。
社会福祉法人制度改革は2017年に本格施行され、ガバナンス強化や透明性向上、財務規律の強化、地域公益活動の責務創設などが実施されました。2024年度には574法人が会計監査人を設置し、1623法人が社会福祉充実計画を策定しています。また、2022年からは社会福祉連携推進法人制度が始まり、30法人が設立され、地域福祉の推進や経営基盤強化に貢献しています。
生活困窮者自立支援制度は2015年の施行以来、新規相談者約315万人、継続的支援を受けた約83万人のうち約30万人が就労・増収に至るなど成果を挙げています。2024年度には支援員の加配やアウトリーチ支援員の配置、民間団体への助成、居住支援モデル事業の実施、交通費負担軽減支援などが行われ、切れ目のない支援体制の全国的整備が進んでいます。コロナ禍による特例貸付の償還開始に伴い、フォローアップ支援も強化されています。
生活保護制度は約200万人の受給者を抱え、保護率は1.62%で9年5か月連続減少傾向にある一方、受給世帯数は約165万世帯で増加傾向です。世帯類型別では高齢者世帯の増加率は横ばい、母子世帯は減少、その他の世帯はコロナ禍以降増加しています。
申請件数は世界金融危機後減少していましたが、コロナ禍で増加に転じています。生活保護基準は一般低所得世帯の消費実態に合わせて定期的に見直され、2025年10月には食費や光熱費に対応する生活扶助基準に月額1500円の加算が行われました。
女性支援に関しては、2022年に成立した「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づき、包括的な支援体制が構築され、全国共通短縮ダイヤル#8778の開設や特設サイトの運営、全国フォーラムの開催などが行われています。DV被害者の相談件数は2023年度に79,345人に達し、そのうち55.6%が暴力被害を訴えており、関係機関との連携強化が求められています。
自殺対策は1998年から14年連続で年間3万人超だった自殺者数が2019年に20,169人と最少を記録しましたが、2020年に21,081人へ増加し、2024年は20,320人に減少しました。原因は健康問題、経済・生活問題、家庭問題、勤務問題の順で多く、特に小中高生の自殺者数は過去最多の529人に上っています。政府は2026年までに自殺死亡率を2015年比で30%以上減少させる目標を掲げ、第4次自殺総合対策大綱を策定し、地域レベルでの取組み支援や専門家チームの設置、学校教育でのSOS教育推進など多角的な対策を推進しています。
戦没者遺骨収集事業は1952年度から開始され、現在も約112万柱の未収容遺骨が存在します。2016年制定の遺骨収集推進法に基づき、2029年度まで集中実施期間が延長され、2024年度は1288柱のDNA鑑定用検体採取と204柱の遺骨収容が行われました。
硫黄島や沖縄、旧ソ連・モンゴル地域、南方戦闘地域でも遺骨収集が継続されており、科学的鑑定体制の強化や身元特定DNA鑑定も進められています。慰霊巡拝や慰霊碑建立、戦傷病者・遺族への年金や給付金支給、中国残留邦人等への帰国支援や自立支援も引き続き実施されています。2025年は戦後80年の節目として、弔慰の意を示す特別弔慰金支給や平和の語り部事業の充実など、記憶の継承に向けた取り組みが強化されています。
この記事の要点
- 地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制の整備が進展し、ひきこもり支援や災害被災者支援も強化されている
- 生活困窮者自立支援制度は約315万人の相談者に対応し、約30万人が就労・増収を達成している
- 生活保護受給者は約200万人で減少傾向だが、受給世帯数は増加しており、基準の見直しも行われている
- 成年後見制度や社会福祉法人制度改革により、権利擁護やガバナンス強化が推進されている
- 女性支援新法に基づく包括的支援体制が整備され、DV被害者の相談件数は高水準で推移している
- 自殺者数は減少傾向にあるものの、小中高生の自殺者数は過去最多であり、多面的な対策が進められている
- 戦没者遺骨収集事業は2029年度まで延長され、科学的鑑定や身元特定が強化されている
- 戦傷病者・遺族への年金支給や中国残留邦人等への帰国支援、自立支援も継続されている
- 戦後80年を迎え、弔慰金支給や平和の語り部事業など記憶の継承に向けた取り組みが強化されている
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ