労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 2024年12月から健康保険証新規発行停止、マイナ保険証利用促進で全国医療情報共有基盤が本格稼働へ

2025年9月22日

労務・人事ニュース

2024年12月から健康保険証新規発行停止、マイナ保険証利用促進で全国医療情報共有基盤が本格稼働へ

エラー内容: Bad Request - この条件での求人検索結果表示数が上限に達しました

Sponsored by 求人ボックス

求人情報が見つかりませんでした。

令和7年版厚生労働白書 第2部 第5章 医療関連イノベーションの推進(厚労省)


この記事の概要

本記事では、日本における医療関連イノベーションの推進状況について、医療DXの取り組みから医薬品・医療機器開発の基盤整備、研究開発の振興、倫理指針の改定、医療産業の活性化、そして国際展開まで幅広く解説します。特に2024年度以降の最新動向や法改正、具体的な数値データを交えながら、政策の背景と今後の展望を丁寧に説明しています。


我が国は世界に先駆けて超高齢社会を迎えており、その中で健康寿命の延伸や社会保障制度の持続可能性確保が喫緊の課題となっています。このため、保健・医療・介護情報の積極的な利活用を通じて、質の高い医療・介護サービスの効率的提供や医療現場の業務効率化、公衆衛生の向上、さらには医学・産業の振興を目指す医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が国家戦略として位置づけられています。厚生労働省は2023年6月に総理を本部長とする医療DX推進本部が策定した「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、「マイナ保険証」の利用促進、全国医療情報プラットフォームの構築、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXなど多岐にわたる施策を着実に進めています。

2024年度にはこれらの取組みをさらに加速させるため、医療法等の一部改正案が国会に提出され、必要な電子カルテ情報の共有や公的データベースにおける仮名化情報の二次利用推進、社会保険診療報酬支払基金の改組などが盛り込まれました。オンライン資格確認の義務化やマイナ保険証への完全移行も進んでおり、2024年12月2日以降は従来の健康保険証の新規発行が停止され、マイナ保険証が基本となります。これにより患者は全国どこでも自身の医療情報を安全かつ迅速に共有でき、災害時や救急時にも服用薬の情報閲覧が可能になるなど、安心して医療を受けられる環境が整備されています。また、電子処方箋の普及も進み、2025年3月末時点で病院844施設が導入し、オンライン資格確認との連携によって医療機関や薬局の事務負担軽減に寄与しています。

全国医療情報プラットフォームは、保健・医療・介護の情報を一元的に管理・共有する仕組みとして構築が進められており、2025年2月からは電子カルテ情報共有サービスのモデル事業が複数地域で開始され、2025年度中の本格稼働を目指しています。異なる医療機関間での電子カルテ情報の標準化も重要視されており、既存の電子カルテシステムの標準規格への改修費用補助やクラウド型標準電子カルテの開発・提供が進行中です。これらの施策は医療機関の事務効率化や誤入力防止、残業時間削減など働き方改革にも貢献し、医療の質向上とともに職場環境の改善にもつながっています。

医療情報の二次利用も大きな柱であり、匿名加工医療情報や仮名加工医療情報の利活用を促進するための法整備が進められています。2023年5月には匿名加工医療情報に関する法律の一部改正が公布され、2024年4月に施行されました。これにより約470万人分の医療情報が収集され、67件の利活用実績があるほか、NDB(国民健康保険データベース)等との連結解析も可能になりました。こうしたデータ利活用は革新的医薬品や治療法の研究開発を加速し、ヘルスケア産業の振興にも寄与しています。

医薬品・医療機器の研究開発面では、2014年に成立した健康・医療戦略推進法に基づき、内閣総理大臣を本部長とする健康・医療戦略推進本部が設置され、重点分野ごとに計画的な研究支援が行われています。2025年2月に策定された第3期健康・医療戦略では、医薬品、医療機器・ヘルスケア、再生医療、感染症、データ利活用、基礎研究、橋渡し研究、イノベーションエコシステムの8つの統合プロジェクトに再編され、基礎から実用化まで一貫した研究開発の加速が図られています。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)は、各府省庁の医療研究予算約479億円を集約し、創薬標的探索から臨床研究まで幅広く支援しています。

また、研究者が守るべき倫理指針も近年の技術進展に対応して見直され、2021年には生命科学・医学系研究に関する倫理指針が統合され、2023年には更なる改正が施行されました。これにより個人情報保護や研究対象者の権利保護が強化され、信頼性の高い医学研究の推進が期待されています。

医療関連産業の活性化に向けては、医薬品ビジョン2021に基づき、革新的創薬、後発医薬品、医薬品流通の三本柱で競争力強化が図られています。2024年度税制改正では、国内での研究開発拠点の競争力強化を目的に、特許権やAI関連プログラムのライセンス所得に対して30%の所得控除を認める「イノベーションボックス税制」が創設され、医薬品産業の投資促進が期待されています。創薬力強化のためには、アカデミア、スタートアップ、製薬企業、政府が連携するエコシステムの構築が不可欠であり、2023年12月には構想会議が立ち上げられ、2024年7月には官民協力の創薬エコシステムサミットが開催されました。さらに、医療系ベンチャー支援のための相談体制やマッチングイベントも継続的に実施されており、2024年12月末までに1,607件の相談実績があります。

臨床研究・治験環境の整備も重視されており、2015年から15の臨床研究中核病院が設置され、質の高い臨床研究や医師主導治験の推進に努めています。疾患登録システムの活用による効率的な治験実施も進められ、クリニカル・イノベーション・ネットワークの形成により、新薬の早期開発が期待されています。臨床研究の信頼性確保のため、2015年にモニタリング・監査規定を含む倫理指針が施行され、2018年からは臨床研究法に基づく透明性の高い運営が義務付けられています。これらの情報はWeb上で公開され、国民が参加可能な臨床研究を容易に検索できるようになっています。

医薬品・医療機器の承認審査の迅速化も進展しており、希少疾病用医薬品の指定要件見直し、小児用医薬品の開発計画策定促進、海外での臨床開発を踏まえた日本人第Ⅰ相試験の原則不要化など、多様な施策が段階的に実施されています。PMDAは2024年度からの中期目標期間において、審査の質向上と高度化を図り、世界最先端の医療製品の早期提供を目指しています。2024年11月には米国ワシントンD.C.に事務所を設立し、国際的な薬事規制協力を強化しています。さらに、未承認薬や適応外薬の開発促進、医療機器の優先審査指定なども実施され、医療機器のライフサイクル全体を見据えた規制整備も進んでいます。

緊急承認制度は2022年に創設され、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、緊急時に条件付きで医薬品等の承認を迅速に行う仕組みとして機能しています。2025年5月からは再生医療等の安全性確保に関する法律改正も施行され、基礎研究から臨床申請まで伴走型支援が強化されます。

医療機器の研究開発及び普及促進に関する基本計画は2014年に制定され、2022年に第二期計画へ改定されました。ここでは我が国の医療機器研究開発の中心地としての地位確立、革新的医療機器の早期上市、国民へのアクセシビリティ確保が掲げられています。医薬品の安定供給問題も深刻で、2025年4月時点で限定出荷や供給停止が全体の15%に達していることが報告されています。特に後発医薬品の数量シェアは2024年9月に85.0%に達し、医療費適正化の観点から金額シェアやバイオ後続品の普及目標も設定されています。これらの課題に対し、後発医薬品製造基盤整備基金の造成や品目統合支援など産業構造改革が進められています。

国際展開においては、日本の医療システムや医薬品・医療機器の高品質さが世界的に評価されており、経済成長著しい新興国では医療ニーズの増大と制度構築の遅れが課題となっています。厚生労働省は2013年以降、20か国以上の新興国保健省と協力関係を築き、政策形成支援や人材育成を推進しています。国立国際医療研究センターを拠点に研修や派遣を行い、2023年度までに105回のセミナーで3,155人が参加しました。アジア健康構想の下、国際規制調和やレギュラトリーサイエンスの発信を強化し、ユニバーサルヘルスカバレッジの達成に貢献しています。訪日外国人患者の受入れ環境整備も進められ、多言語資料作成や医療通訳配置、医療コーディネーター養成など多面的な支援が行われています。

このように、日本の医療関連イノベーションは、デジタル技術の活用、法制度の整備、研究開発の体系的推進、産業競争力強化、国際協力の深化という多角的なアプローチで進展しており、国民の健康寿命延伸と医療の質向上、さらにはグローバルな医療貢献を目指す包括的な戦略が展開されています。

この記事の要点

  • 医療DX推進によりマイナ保険証の利用促進や電子カルテ情報の共有が進展し、2024年12月から健康保険証の新規発行が停止される。
  • 匿名加工医療情報の利活用促進により約470万人分の医療情報が収集され、研究開発や産業振興に活用されている。
  • 第3期健康・医療戦略では8つの統合プロジェクトにより基礎から実用化までの一貫した研究開発を加速。
  • 医薬品産業の競争力強化のため、2024年度にイノベーションボックス税制が創設され、30%の所得控除が適用される。
  • 臨床研究中核病院15施設が質の高い臨床研究・治験を推進し、疾患登録システムの活用で治験効率化を図る。
  • PMDAは審査の迅速化と質向上を目指し、2024年に米国ワシントンD.C.事務所を設立し国際連携を強化。
  • 緊急承認制度により新型コロナ禍での医薬品承認が迅速化され、再生医療等の伴走型支援も充実。
  • 医薬品の安定供給課題に対し、限定出荷・供給停止が15%に達し、後発医薬品の数量シェアは85.0%に。
  • 国際展開では20か国以上と協力し、アジア健康構想の下で研修や規制調和を推進し、訪日外国人患者受入れ環境も整備。
  • 医療関連イノベーションはデジタル化、法整備、研究開発、産業振興、国際協力の多角的戦略で推進されている。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ
パコラ通販ライフ
PR記事作成サービス受付フォーム