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2025年9月23日

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2024年4月施行の障害者総合支援法改正で強化された地域生活支援体制と就労選択支援の具体的内容とは

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令和7年版厚生労働白書 第2部 第8章 障害者支援の総合的な推進(厚労省)


この記事の概要

本記事では、日本における障害者支援政策の総合的な推進について、法律改正の経緯や具体的施策、精神保健医療福祉の現状と課題、発達障害児者支援、高次脳機能障害者支援、依存症対策など多岐にわたる内容を丁寧に解説します。最新の法改正や報酬改定、地域生活支援体制の強化、虐待防止策、専門的医療提供体制の充実など、障害者の自立と社会参加を促進するための取り組みを詳細に紹介し、企業の採用担当者にも役立つ情報を提供します。


日本の障害者支援は、2013年4月に「障害者自立支援法」から「障害者総合支援法」へと移行し、その後も数度の見直しを経て2024年4月には最新の改正法が施行されました。この法律改正は、障害者等が希望する生活を実現するために、地域生活の支援体制の充実、多様な就労ニーズへの対応、精神障害者への包括的支援、難病患者や小児慢性特定疾病児童への適切な医療と療養支援、そしてデータベース整備など幅広い分野で措置を講じています。

例えば、グループホームの支援内容に一人暮らし希望者への支援や退居後の相談を明確化し、市町村に基幹相談支援センターや地域生活支援拠点の整備を努力義務化しました。また、就労支援では就労アセスメントを活用した「就労選択支援」を新設し、ハローワークがアセスメント結果を参考に職業指導を行う仕組みを整えています。さらに、週所定労働時間10時間以上20時間未満の重度障害者に対しても雇用率算定の対象とし、企業の職場定着支援助成を強化しています。

精神障害者支援に関しては、医療保護入院制度の見直しが行われ、家族の同意が得られない場合でも市町村長の同意で入院可能とし、入院期間の法定化や定期的な要件確認を義務付けました。入院者訪問支援事業の創設により、本人の気持ちを聴き必要な情報提供を行う体制が整備され、精神科病院での虐待防止措置の義務化や通報義務も規定されています。これらの施策は精神障害者の権利擁護と適切な医療提供を目的としており、2024年5月からは精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会も開催されています。

障害福祉サービスの報酬改定も2024年度に実施され、人材確保のため介護並みの処遇改善が図られ、サービスの質向上に資するメリハリある報酬設定が行われました。具体的には、地域生活支援拠点のコーディネーター配置加算や強度行動障害者支援の加算、感染症対策加算、虐待防止措置未実施減算などが新設・見直しされ、就労系サービスでは利用定員の引き下げや工賃に応じた報酬体系の見直し、就労選択支援の基本報酬設定などが盛り込まれています。

施設系サービスでは生活介護の時間評価導入や医療的ケア対応加算、短期入所の緊急受入評価強化などが行われ、相談系サービスでは質の高い相談支援事業所の整備促進や地域移行支援体制加算、自立生活支援加算の新設などが特徴です。これにより、障害者の地域生活の実現と就労継続がより手厚く支援される体制となっています。

また、障害者虐待防止に関する法律は2012年10月に施行され、障害者虐待の禁止、早期発見の努力義務、通報義務などを定めています。虐待の類型は身体的虐待、放棄・放置、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待の五つに分類され、市町村や都道府県に専用の窓口やセンターを設置し、連携協力体制を整備しています。養護者、施設従事者、使用者による虐待防止措置の実施責任も明確化されており、障害者の尊厳と安全を守るための体制が全国的に構築されています。

発達障害児者支援は2004年の「発達障害者支援法」成立以降、早期発見・早期支援、生活全般の支援が進展しています。2016年の法改正により、都道府県に発達障害者支援地域協議会の設置が促進され、全67都道府県・指定都市に発達障害者支援センターが整備されました。2018年度からはピアサポートや青年期の交流支援も開始され、2024年度には研修動画コンテンツの配信や支援者向けセミナーが実施されています。

医療面では、専門医療機関ネットワークの構築や診断待機解消事業が進められ、アセスメント強化や外部委託、ケースワーカーによる行動観察など多角的な支援が行われています。教育と福祉の連携推進事業も2019年度から始まり、家庭・教育・福祉の協議の場設置やコーディネーター配置により切れ目のない支援体制が整備されています。

高次脳機能障害者支援は、事故や病気による脳損傷後の認知機能低下に対応するもので、国立障害者リハビリテーションセンターを中心に支援普及事業が展開されています。各都道府県には支援コーディネーターが配置され、専門的相談支援や関係機関との連携調整を担い、研修や普及啓発活動も積極的に行われています。情報発信や事例分析を通じて、当事者や家族への支援充実が図られていることも特徴です。

障害者の社会参加支援では、補装具費支給制度や意思疎通支援、移動支援、補助犬育成、文化芸術活動支援など多彩な事業が実施されています。障害者による文化芸術活動の推進法や基本計画に基づき、全国で障害者芸術文化活動普及支援事業が展開され、2024年には大規模な文化祭も開催されました。視覚障害者の読書環境整備も法律に基づき計画的に推進されており、情報取得や意思疎通支援の法律施行に伴い、支援者養成や支援体制の強化が進んでいます。

精神保健医療福祉の現状では、2023年時点で精神疾患患者は約603万人にのぼり、入院患者は約26.6万人、外来患者は約576万人です。長期入院患者は減少傾向ながら15万人超が入院中であり、精神科医療の需要は多様化しています。精神保健福祉法の改正により、医療保護入院の期間法定化や退院支援措置の強化、虐待防止義務化などが進められています。

心の健康対策としては、地方自治体の精神保健福祉センターや保健所での相談支援、心のサポーター養成、うつ病の早期発見・治療体制の充実、公認心理師の資格登録者数は2025年3月末で7万3千人超に達しています。労働者のメンタルヘルス対策も法令に基づき推進され、ストレスチェック制度の周知や休業者の職場復帰支援が行われています。

依存症対策はアルコール、薬物、ギャンブル等を対象に複数の基本法と計画に基づき、地域の相談支援体制や専門医療機関の整備、回復支援プログラムの実施、普及啓発活動が展開されています。2021年には飲酒に関するガイドラインが公表され、2024年には純アルコール量や分解時間を把握できるWebツール「アルコールウォッチ」が作成されました。依存症理解促進のためのシンボルマークも制定され、全国的な普及啓発イベントが開催されています。厚生労働省は依存症対策全国拠点機関を指定し、地域支援ネットワークの構築や研修、情報発信を推進しています。

このように、日本の障害者支援政策は法制度の整備とともに、地域生活支援、就労支援、医療福祉体制の充実、虐待防止、発達障害や高次脳機能障害への専門的支援、精神保健医療の質向上、依存症対策の強化など多面的に進展しています。これらの施策は障害者の自立と社会参加を促進し、企業の採用担当者にとっても障害者雇用の質向上や多様な就労ニーズへの対応に資する重要な情報となります。

この記事の要点

  • 障害者総合支援法は2013年施行以降、2024年に最新改正が施行され、地域生活支援や就労支援の充実が図られている
  • 精神障害者の医療保護入院制度の見直しや虐待防止措置の義務化により権利擁護が強化された
  • 2024年度の障害福祉サービス報酬改定では人材確保とサービス質向上のため多様な加算・減算が導入された
  • 障害者虐待防止法により通報義務や連携体制が整備され、虐待の早期発見と防止が推進されている
  • 発達障害児者支援は全国に支援センターが設置され、医療・福祉・教育の連携強化や診断待機解消事業が進む
  • 高次脳機能障害者支援は専門コーディネーター配置や研修、情報発信により地域支援体制が整備されている
  • 障害者の社会参加支援は補装具費支給や意思疎通支援、文化芸術活動支援など多方面で推進されている
  • 精神疾患患者は600万人超で、精神保健医療福祉の充実やメンタルヘルス対策が強化されている
  • 依存症対策は法令に基づき専門医療機関の整備や普及啓発、相談支援体制の充実が図られている
  • 企業の障害者雇用促進には、就労アセスメントや職場定着支援助成の強化が重要なポイントとなっている

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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