2025年9月23日
労務・人事ニュース
厚生労働省が2010年度から2024年度までに約2兆6,230億円の無駄削減を達成
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令和7年版厚生労働白書 第2部 第10章 行政体制の整備・情報政策の推進(厚労省)
この記事の概要
本記事では、厚生労働省が推進する行政体制の整備と情報政策について、統計改革から独立行政法人の運営、広報体制の充実、情報化の推進、個人情報保護、行政機関における情報公開や公益通報者保護まで、多角的な取り組みを詳細に解説します。特に2024年度以降の具体的施策や数値データを交え、国民生活に密接に関連する厚生労働行政の現状と課題対応を丁寧に紹介しています。
厚生労働省は2019年に「統計改革ビジョン2019」を策定し、その後も工程表を改訂しながら統計の品質向上と業務効率化を図っています。2022年には公的統計の総合的な品質向上に関する建議を踏まえた新たな工程表を作成し、統計の品質保証、システム適正化、ガバナンス強化、人材育成、データ利活用、そして証拠に基づく政策立案(EBPM)の推進という五つの柱を掲げています。これらの柱に基づき、2024年度には調査計画のPDCAサイクルの徹底やマニュアルの標準化、次期統計処理システムへの移行、研修の充実、調査票情報提供手続きの迅速化、EBPM推進プロジェクトチームによる分析など多面的な取組みを展開しています。こうした改革は専門家の助言を受けながら継続的に進められており、統計の信頼性と透明性の確保に努めています。
また、無駄削減にも積極的に取り組んでおり、2010年度から2024年度までの15年間で約2兆6,230億円もの経費削減を達成しました。毎年度の削減額は数百億円単位で推移しており、行政事業レビュー等を通じて効率的な予算執行を目指しています。独立行政法人に関しては、2025年4月時点で18法人を所管し、制度や組織の見直しを含む改革を着実に推進しています。中期目標期間終了時には業務全般の検討を行い、例えば年金積立金管理運用独立行政法人では長期的な運用利回りの確保やリスク管理の強化を図っています。
広報面では、従来の報道発表やホームページに加え、X(旧Twitter)やフェイスブックといったSNSを活用し、国民への情報発信を強化しています。Xは2010年開始で約100万フォロワーを持ち、月平均200件の投稿を行っているほか、フェイスブックも30万フォロワーを有し月50件程度の投稿を継続しています。これにより幅広い層へタイムリーな情報提供が可能となっています。
情報化の推進においては、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づき、健康・医療・介護・福祉・労働・行政サービス分野でIT技術を活用した改革を進めています。利用者中心の行政サービス改革として、デジタル3原則(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)を掲げ、行政手続のオンライン化やオンライン利用率の向上に注力しています。さらに、マイナンバー制度の活用促進により、住民票や課税証明書の提出省略、資格届出の電子化など利便性向上を実現しています。国家資格のオンライン化も進み、2024年8月からはデジタル庁が構築した国家資格等情報連携・活用システムの運用が始まりました。地方公共団体の基幹業務システムの標準化も進められ、2025年度末までの全国標準準拠システムへの移行を目指していますが、一部機能については2028年度末までの経過措置も設けられています。
個人情報保護については、2005年施行の個人情報保護法に基づき、厚生労働省所管分野での適正運用を図るためガイドラインを整備し、医療・介護・医療保険分野での個人情報取扱いの基本方針を示しています。2017年の法改正に伴うガイドラインの見直しも行われ、最新の法律に準拠した管理体制を維持しています。2023年度の開示請求件数は17,257件にのぼり、これは全府省庁で3番目に多い数字です。開示決定件数は16,559件であり、全部開示が3,041件、一部開示が12,046件、不開示が1,472件でした。
行政機関情報公開法の下でも、厚生労働省は2023年度に11,111件の開示請求を受け付け、全府省庁で3番目に多い件数となりました。開示決定件数は9,821件で、全部開示が1,723件、一部開示が7,085件、不開示が1,013件となっています。公益通報者保護法の施行により、厚生労働省は公益通報窓口を設置し、秘密保持のもとで通報内容の調査や必要な処分を行っています。2022年度から2023年度にかけては24,133件の公益通報を受理し、全行政機関の98.7%を占める高い割合となっています。
国民の声を反映させる仕組みとしては、2009年から「国民の皆様の声」の集計と対応を行い、2023年度には198,889件の意見が寄せられています。これらの意見は省内で共有され、業務改善に活用されています。また、2001年創設の「厚生労働行政モニター制度」では、地域や性別のバランスを考慮した約450名のモニターがインターネットアンケートや会議を通じて施策に対する意見を提供し、企画立案に役立てられています。2024年度のモニター会議では「マイナンバーカードの健康保険証利用」と「厚生労働省ホームページ」について意見交換が行われました。
政策評価に関しては、2022年度から2026年度までの第5期基本計画に基づき、EBPMの観点から定量的かつ客観的な評価を実施しています。2024年度は個別研究事業27件、規制関連31件、租税特別措置8件の事前評価を行い、事後評価では16件の施策実績評価、重要施策2件の総合評価、規制32件と個別研究298件の事業評価を実施し、公表しています。独立行政法人の評価も外部有識者の知見を活用し、17法人の業務実績評価や主要法人の中期目標期間の評価を行っています。
さらに、国民目線に立った制度・事業の改善を目的に2010年にアフターサービス推進室を設置し、2020年には「国民目線に立った業務プロセス改善推進チーム」がひとり親家庭支援の現状把握と課題抽出を行い、改善策を提案しました。今後も国民ニーズを踏まえた業務プロセスの改善に省内横断的に取り組む姿勢を示しています。
以上のように、厚生労働省は統計の質向上や無駄削減、情報発信の多様化、デジタル化推進、個人情報保護、情報公開、公益通報者保護、国民参加型の施策評価と改善など、多岐にわたる施策を体系的かつ継続的に推進しています。これらの取り組みは国民の信頼確保と行政サービスの質向上に資するとともに、変化する社会情勢や技術革新に柔軟に対応するための基盤整備として重要な役割を果たしています。
この記事の要点
- 厚生労働省は統計改革を2019年から推進し、2024年度には品質保証やシステム更新、研修強化など多面的な取組みを実施している
- 2010年度から2024年度までに約2兆6,230億円の無駄削減を達成し、独立行政法人の改革も着実に進めている
- SNSを活用した情報発信により、Xで約100万フォロワー、フェイスブックで約30万フォロワーを獲得し、国民への情報提供を強化している
- デジタル3原則に基づく行政手続のオンライン化やマイナンバー制度の活用促進により、利便性向上と効率化を図っている
- 個人情報保護法に基づき厳格な管理を行い、2023年度の開示請求は17,257件で全府省庁3位の多さを記録している
- 行政機関情報公開法に基づく開示請求も多く、2023年度は11,111件の受付があった
- 公益通報者保護法により、2022~23年度に24,133件の公益通報を受理し、全行政機関の98.7%を占めている
- 国民の声を反映する仕組みとして「国民の皆様の声」や「厚生労働行政モニター制度」を活用し、施策改善に役立てている
- 政策評価はEBPMの視点で定量的かつ客観的に実施し、2024年度は多数の施策や研究課題の評価結果を公表している
- 国民目線に立った業務プロセス改善推進チームが設置され、ひとり親家庭支援など具体的な改善策を提案している
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ